ゲーム開発におけるディープラーニングの成果・役割・将来性について

公開日: 2022.06.20
更新日: 2024.01.17
ディープラーニング-ゲーム

「ゲーム開発におけるディープラーニングの役割って何だろう」
「ゲーム業界でのディープラーニングの将来性はどうなのかな」

と思うことはありませんか?

ゲーム開発のためにディープラーニングを学習しようとしても、何を学習すべきかや、そもそも将来性があるのかどうかで迷ってしまいますよね。

では、ゲーム開発におけるディープラーニングの成果や将来性はどのようなものがあるのでしょうか?

そこで今回は、

  • ゲーム開発におけるディープラーニングの役割
  • ゲーム業界でディープラーニングが残している成果
  • ゲーム開発とディープラーニングの将来性
  • ゲーム開発とディープラーニングでおすすめの書籍

について詳しく解説します。

この記事を見ればゲーム業界におけるディープラーニングの成果や将来性がわかります。

ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

ゲーム開発におけるディープラーニングの基本

基板とディープラーニング

ゲーム開発において、ディープラーニングは重要な役割を担っています。

こちらではまず、

  1. ディープラーニングとは
  2. ゲームAIとは

という2点を解説し、本記事を進めていくための前提の知識を確認していきましょう。

ディープラーニングとは

ディープラーニングとは、機械が対象物の特徴を自ら定義して、分類・認識・理解するための学習方法です。

対して、機械学習では、人が定義した特徴を元に、機械が分類・認識・理解するための学習をします。

特長の定義を機械自らおこなうのがディープラーニングになります。

ディープラーニングは、学習の過程が不透明というデメリットもありますが、人の手によらない柔軟で高速な処理がメリットとして注目されています。

ゲームAIとは

ゲームAIとは、正式な定義ではありませんが、ゲーム開発に必要な人工知能技術全般のことを言います。

大きく分けて、下記の通り2種類のゲームAIが存在します。

  • ゲームそのものを管理するための3種類のAI
  • ゲーム開発支援のために使われるAI

とくにゲーム開発では、ゲームそのものを管理するために3種類のAIとその役割がとても重要です。

次章より、どのような役割のAIにディープラーニングの技術が関わっているのかを解説していきます。

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ゲーム開発におけるディープラーニングの役割

ディープラーニングと相関図

ゲーム開発において、AIを役割別にわけると、3種類あります。

  1. メタAI
  2. キャラクターAI
  3. スパーシャルAI

それぞれの概要を理解しておくことで、それぞれのAIの役割やディープラーニング技術がどう役に立つのかが理解できます。

それぞれ見ていきましょう。

メタAI

メタAIとは、場面に応じてゲーム全体の流れを制御する役割を担うAIです。

アクションゲームなどのキャラクターが中心のゲームではなく、ロールプレイングゲーム、ストラテジーゲームなどで、とくに重要な役割を担います。

なぜなら、ロールプレイングゲームやストラテジーゲームでは、単に強い敵や一つの指示を忠実にこなす敵ではなく、プレイヤーのレベルに合わせて空気が読める敵や空間が必要だからです。

ゲーム全体の頭脳として、リアルな世界とエンターテイメントとしての演出のバランスを整えるのがメタAIになります。

キャラクターAI

キャラクターAIは、登場人物を動かす役割を担うAIです。

アクションゲームで中心となるAIで、キャラクターの肉体的な動きを表現します。

主人公や敵キャラクターのレベルを認識、自律的な判断が必要になるAIです。

スパーシャルAI

スパーシャルAIは、ゲーム内の空間を操作する役割を担うAIです。

とくに、環境に影響を受けるストラテジーゲームでは、キーとなるAIになります。

メタAIやキャラクターAIのために、空間認識のためのデータを準備することや、ナビゲーション・データの管理をすることが必要なAIです。

ディープラーニング-機械学習-ai-違いAI・機械学習・ディープラーニングの違いを解説|詳細や参考になる導入事例も紹介

ゲーム業界でディープラーニングが残している成果

ディープラーニングとロボットアーム

ゲーム開発に必要なディープラーニングは、他の分野と比べると特殊な点がいくつかあります。

下記の事例から、現在までの成果や特殊性をご理解いただけます

  1. ゲーム内の敵AI作成でAIを制御
  2. ストーリー自動生成AI
  3. コンピューターサイエンスとの融合

一つずつ見ていきます。

敵AIの作成でAIを制御

株式会社Luminous Productionsでは、敵キャラクターAIを低コストで制作するためのAIを作成しています。

この試みの中の、強化学習を活用しながら、学習結果を調整する方法が成果として注目されています。

ただ単に強くなるための学習を繰り返すのではなく、わざとスキを作ったり、無駄な動きを加えたりの演出のために、学習結果を適切に調整できるようになりました。

ゲーム開発ならではの手法と言えるでしょう。

ストーリー自動生成AI

株式会社Alesは、人間が理解できるストーリーをディープラーニングにより生成するアプリケーション「フルコト一号」を開発しました。

フルコト一号では、多数の候補の中から適切な文章を選択し脚本を自動生成が可能です。

その際に使われている技術は、P-S-L技術といい、プロットライングラフ・感情分析・ログラインの3要素を複合的に評価する技術です。

結果として、起承転結に即したストーリーを自動で生成する技術が開発されました。

コンピューターサイエンスとの融合

昨今では、ゲーム開発の流れとコンピューターサイエンスが融合し、お互いに良い影響をもたらしながら発展しています。

なぜなら、ゲーム内の敵キャラクターなども、状況に応じたリアルタイムでの意思決定技術が必要になっており、ロボット技術のアルゴリズムを適用する流れになってきているからです。

また、融合したことによりゲーム内のバーチャル環境でたくさんの試験がおこなえるようになりました。

結果として現在ではロボット業界より意思決定技術が上回っているほどです。

発展した技術は、ゲーム産業外にも必要とされ、AI業界全体にも好影響をもたらす結果となっています。

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ゲーム開発とディープラーニングの将来性

ディープラーニングのプレゼン

ゲーム開発とディープラーニングの今後はどのようになっていくのでしょうか?

下記の3つに注目し、今後の可能性を探っていきます。

  1. アニメーション分野の発展
  2. AI人材の不足
  3. ゲーム業界ならではの独自の手法

それぞれ見ていきましょう。

アニメーション分野の発展

ゲーム業界でも徐々に機械学習やディープラーニングによる開発が進んでいるものの、コントロールできないことも多いことから完全にシフトしていく流れはありません。

現状でディープラーニングに大きな動きがあるのは、アニメーションの分野です。

大量のアニメーションデータを学習させることで、アニメーションを自動生成できるようになってきています。

ゲームの中でも重要なアニメーション分野でのディープラーニングの発展は今後に期待できるでしょう。

AI人材の不足

エンターテイメント業界のプロを育成するアミューズメントメディア総合学院は、2021年からゲームプログラマー学科の専攻として、ゲームAI専攻を新設しました。

背景としては、AI技術の発展に伴い、ゲーム業界でもディープラーニングをはじめとするAI分野の人材が必要であることが指摘されています。

とくに、ゲームAI、ディープラーニング、自然言語処理の3つに精通できる人材が必要なことから、ディープラーニング学習はゲーム業界においてとても重要です。

ゲーム業界ならではの独自の手法

前述の通り、ゲーム業界におけるディープラーニングや機械学習の手法は特殊です。

ユーザーの心理を読み取り、キャラクターの行動に反映させるメタAIや実際に動作の役割をするキャラクターAIはとても重要になります。

これらに加えて、バーチャル上でさまざまな試みができることからAI業界全体の発展にも貢献しています。

ゲーム開発とディープラーニングでおすすめの書籍

勉強するロボット

ディープラーニングを学習し、ゲーム開発に役立てたい方におすすめの書籍を紹介します。

本記事でおすすめする本は、

  1. 戦略ゲームAI 解体新書
  2. 最強囲碁AI アルファ碁 解体新書
  3. 強い将棋ソフトの創り方
  4. 生成 Deep Learning

の4つです。

ひとつずつ見ていきましょう。

戦略ゲームAI 解体新書

戦略ゲームAI解体新書は、ゲーム開発者、AI開発者、意思決定に興味を持っている方に向けて、戦略ゲームAIの仕組みを学ぶことができる書籍です。

2004年からデジタルゲームにおける人工知能の開発や研究に専念してきた著者だからこそ書ける専門性の高い内容となっています。

最強囲碁AI アルファ碁 解体新書

アルファ碁解体新書は、専門的な論文を、実際の囲碁の画面などを交えながら視覚的にわかりやすくまとめた書籍になります。

アルファ碁で利用されている深層学習や強化学習の仕組みについて学べるのが特徴です。

強い将棋ソフトの創り方

強い将棋ソフトの創り方は、世界将棋AIで優勝した経験のある開発者がより強い将棋AIを創る方法を解説した書籍です。

ディープラーニングを使って、将棋ソフトを創る方法が学べます。

生成 Deep Learning

生成 Deep Learningは、絵を書いたり、曲を作ったりする創造的な作業を機械におこなわせる技術を学べる書籍です。

基礎編と応用編に分かれていることから、ご自身のレベルに合わせて読み進めることができるのが特徴になります。

まとめ:ゲーム業界では独自のディープラーニング活用が必要

本記事では、ゲーム業界におけるディープラーニングの成果や将来性について解説してきました。

  • ゲーム開発におけるディープラーニングの役割は主に3種類
  • ゲーム開発におけるディープラーニングは他と比べて特殊
  • ゲーム開発でのディープラーニング分野は今後に期待

ゲーム開発におけるディープラーニング分野は人材不足もありまだまだ可能性を秘めています

本記事を通じて、少しでも興味が沸いた方は書籍などを通じてぜひたくさん触れてみることをおすすめします。

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