作業所を辞めたい5つの理由とは?必要な手続きと取るべき行動を解説

公開日: 2022.07.28
更新日: 2024.01.06
作業所-辞めたい

「作業所に行きたくないので辞めたい」
「作業所を辞めたら、どうなるのかわからない」

と思うことはありませんか。

作業所に通う障害者は、通うのを希望していなかったり、病気や障害への理解が出来ていなかったりすることもあるので、辞めたいと感じる方が多いです。

では、作業所を辞めたいという方は、一体どうすればいいのでしょうか。

そこで今回は、

  • 作業所を辞めたい理由
  • 作業所を辞める前にすること
  • 作業所の探し方やポイント

について解説していきます。

この記事を読めば、作業所を辞めるべきか、辞めた後の生活について具体的に考えやすくなります。

ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

作業所を辞めたい5つの理由

悩む女性

作業所は、一般企業などに就職することが難しい障害者や、一般就労を目指したい障害者に働く場を提供します。

福祉的就労から一般就労に移行できるメリットはありますが、障害の特性のため本人はきつく辞めたいと考える人は多いのです。

  1. 作業所に行く意味を見出せない
  2. 症状があってつらい
  3. 体力の消耗がきつい
  4. ほかの利用者と職員との人間関係がきつい
  5. 家から通うのが遠く、工賃も安いため

それぞれ順番に見ていきましょう。

1.作業所に行く意味を見出せない

「作業所なんてどうでもいい」と行く理由がわからない人は多いため、辞めたいと悩む方は多いです。

なんとなく勧められて通っている人は、作業所に行っても得られるものはないと思っているからです。

具体的には、彼らのやり場のない気持ちが隠れています。

  • 作業所を辞めると生活費が払えない
  • 一般就労したいけど上手くいかない
  • 辞めると障害年金がもらえなくなるのではないか
  • 病気(障害)を認めたくない

このように、将来が不安すぎて作業所の生活に価値を感じられないのです。

2.症状があってつらい

病気や障害の症状、または薬の副作用でつらいときもあります。

なぜなら、障害によって症状の現れ方に波があり、周りからの理解を得られにくいからです。

とくに精神障害者は、病気と障害が共存しているため、症状は安定しても、

  • 持続力の低下
  • 集中力の低下
  • 対人関係のつまづき

など、さまざまな要因があるでしょう。

このような原因から仕事が休みがちになり、辞めたいと思う人は多いのです。

3.体力の消耗がきつい

体力の消耗が激しく、きついと感じるときもあります。

仕事内容や勤務形態が合うかは、本人の体調次第で変わってくるからです。

仕事内容は、主に次のものがあります。

  • データ入力
  • ホームページ更新
  • ライティング
  • 衣類のクリーニング
  • 農作業
  • 清掃作業

体力の消耗がきつい場合は、通所日数を減らしたり、雇用形態を常勤からパートに変えたりして調整すると良いでしょう。

ですが、上記のような対応をしても、きついと思うこともあるので、辞めたい気持ちが変わらない方もいます。

4.ほかの利用者と職員との人間関係がきつい

職員には、障害者に対して共感性が欠けていたり、中には冷たい態度をする人もいるかもしれません。

障害者支援事業所によっては、過重労働のため職員に余裕がないときもあるからです。

作業所の職員に気持ちをわかってもらえないと、さらに辞めたくなることも。

このようなことから、利用者と職員の関わりで悩む人は多いでしょう。

5.家から通うのが遠く、工賃も安いため

作業書を辞めたい理由として、工賃が安いと嘆く声もあります。

工賃が低いと、時間をかけて遠い作業所まで「通う必要なんてない」と辞めたくなるからです。

具体的に障害者が受け取るお金は、

  • 就労継続支援A型事業所の場合「原則として最低賃金」が保障
  • 就労継続支援B型事業所の場合「原則、月額3,000円以上」

など、決まっており、B型事業所には就職困難な方もいます。

利用者には、規則正しい生活リズムや人付き合いを学んでいく側面もありますが、作業所の目的を理解していないことから、辞めたい気持ちに繋がるでしょう。

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作業所を辞めるときに必要な手続き

紙飛行機

いざ、作業所を辞めるとなると、自分でどのようなことをやっていく必要があるでしょうか。

  1. 公的な退所手続きは必要ない
  2. 辞めることを引き止められるときの対処法

辞めるときに必要な手続きを知っておくと、辞めたいときでも冷静に行動できます。

1.公的な退所手続きは必要ない

作業書は、障害者が辞めたいときに辞めることが可能。

なぜなら作業所は、就職を希望する方を対象とした障害福祉サービスだからです。

例えば就労支援には、以下の3つが挙げられます。

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型

必要な方が利用できるサービスなので、公的な退所手続きは必要ないのです。

退所したいときは、条件を事業所に聞いて進めましょう。

2.辞めるのを引き止められるときの対処法

職員に引き止められる場合は、契約書を市役所の障害福祉課や相談支援事業所に持っていき、辞められるか確認すると良いです。

基本的に、作業書は本人が辞めたいと伝えると辞められるからです。

具体的には、雇用契約の違いから結ぶ契約が異なります。

  • 就労継続支援A型事業所は「雇用型」のため労働基準法に基づいた雇用契約を結ぶ
  • 就労継続支援B型事業所は「非雇用型」のため事業所と利用契約を結ぶ

ですので「30日前までに伝える」などと契約内容に書かれた条件を確認して、契約に沿って辞めるようにしましょう。

一般的には事業所スタッフに伝えると、手続きに関する書類を渡してくれます。

就労支援が必要な理由を理解して、作業所を辞めた生活を考える

走る女性

障害者が仕事をおこなうまでには、段階を経て一般就労できる仕組みになってます。

ここからは、各福祉サービスを利用するメリットについて解説します。

  1. 一般就労する
  2. 就労移行支援
  3. 就労継続支援A型B型
  4. 地域活動支援センター
  5. ショートステイ

作業所を辞めた後の生活を考えながら見ていきましょう。

1.一般就労する

障害者の方でも、一般就労が可能です。

なぜなら、労働政策として障害者の雇用を義務化しているからです。

また、障害者の雇用率は一般企業で2.3%と言われています。

一般就労すると問題になるのが、障害をオープンにするか隠すかどうかですが、障害を開示する義務はなく、本人が決めていきます。

そのため、メリットとデメリットを理解して、自分に合うものを選択していきましょう。

メリット デメリット
障害を開示して就労する 通院日や不調時に休みがとりやすい 就職活動に時間がかかる
障害を開示せず就労する 求人も多く面接もスムーズに進む 通院日に休むとき、理由に困る

(参考:キーワードと22の事例で学ぶソーシャルワーカーの仕事)

2.就労移行支援

就労移行支援は、一般就労を希望しかつ雇用の見込みのある方を対象としています。

サービスの利用は原則2年間で、職場定着に向けた支援をおこなうからです。

例えば、

  • 技術
  • 就職に必要な能力
  • 社会性が身につくような就労トレーニング
  • 職場体験実習

などをおこないます。

仕事の適性を把握できるメリットがあり、仕事に就いた後も本人や就職先の職員にフォローアップが入るため、安心して仕事を始められます。

3.就労継続支援A型とB型

就労継続支援は、通常の企業に就職することが難しい障害者に、就労の機会や生産活動などの機会を提供します。

就労移行支援と違い、利用期限のない障害福祉サービスです。

雇用契約を締結するかどうかで、A型とB型が存在します。

対象者 契約
A型 一般就労を希望する雇用の見込みのある方
就労移行支援を利用のあと雇用に結びつかなかった方
雇用型
B型 就労移行支援を利用のあと雇用やA型に結びつかなかった方
年齢・体力面で雇用の困難な方
就労の機会を通じて能力の向上が期待できる方
非雇用型

4.地域活動支援センター

地域活動支援センターは、障害者が社会と交流を図る機会や、生産活動をおこなう機会を提供するための施設です。

市町村の「地域生活支援事業機能強化事業」によって、Ⅰ型とⅡ型、Ⅲ型があります。

  • Ⅰ型:専門職員を配置して相談支援事業をおこなうことが義務
  • Ⅱ型:機能訓練や社会適応訓練、入浴サービスを提供
  • Ⅲ型:「基礎的事業」以外に活動に制約がない

上記のことから、Ⅲ型をゆっくり過ごす場として活用する人もいるのです。

(参考:3福祉士の仕事がわかる本 赤羽克子 編著)

5.ショートステイ

ショートステイは、家族などの介護者が病気や用事があるときに利用できる介護サービスです。

作業所を辞めた後の行き先として考える理由は、自立支援医療受給者証をもっている方も利用できるからです。

ショートステイを利用するメリットは、以下の2つが挙げられます。

  • 家族以外の人と交流できる
  • 介護者の精神的負担の軽減

日中活動できる場所として、検討しても良いかもしれません。

作業所を辞めたいときに取るべき行動5選

走る男性

作業所を辞めるか迷っているときは、辞める前に下記項目を実施してみてください。

  1. 主治医に相談する
  2. 関連機関に相談する
  3. 事業所のスタッフに相談する
  4. 通所日数を減らす
  5. 事業所を変える

作業所を急に辞めると環境も大きく変わるので、ストレスを感じます。

なので、少しずつ調整していきましょう。

1.主治医に相談する

主治医に作業所を辞めたいことを相談しましょう。

なぜなら、もし何かあったときに主治医が書いた診断書は、なによりも証拠になるからです。

診断書に現在の就労は厳しいと書いてあれば、辞めるときに相手の理解を得られやすくなります。

このように主治医を味方につけて、作業所を辞めたい理由を相談してみましょう。

2.関連機関に相談する

すぐに辞めさせてくれない場合は、関連機関に相談してください。

作業所を辞めたい方の潜在的な悩みに寄り添ってくれるからです。

主な機関には、以下が挙げられます。

  • 市役所の障害福祉課
  • 保健所
  • 相談支援事業者
  • 精神保健福祉センター
  • 障害者就労生活支援センター

精神障害者の場合は、精神保健福祉士に相談すると、専門的な意見が聞けるでしょう。

3.事業所のスタッフに相談する

いつも関わりのある職員は、よくあなたのことを知っているので、貴重な相談相手です。

事業所のスタッフに相談すると、辞める手続きの書類を渡してくれたり、個別にアドバイスをしてくれます。

とはいえ、身近な人からは引き止められる可能性もあるでしょう。

なので、話す相談者はひとりに絞って打ち明け、違うと感じるであれば、ほかの方法で調整してみてください。

4.通所日数を減らす

通所日数は、体調と雇用契約(利用契約)に合わせて調整してください。

基本的に作業所は、病気と向き合いながらマイペースにおこなえる場だからです。

通所日数を減らすと、体力の回復ができ結果的に継続して通所ができます。

気持ちに余裕が出ると、作業所を辞める理由も整理できるでしょう。

5.事業所を変える

事業所に、家族と一緒に見学に行くことをおすすめします。

なぜなら、実際にいきいきと働いている方を見れるからです。

事業所を検討する場合、就労に近い活動なのか、仲間作りを希望するのかといった利用する動機を考えることも大切になります。

事業所によっては雰囲気が全く違うので、変えることで上手くいくこともあるのです。

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自分に合った作業所の探し方3選

考える人達

ここからは、自分に合った作業所の探し方について解説します。

  1. ハローワークで探す
  2. 求人サイトで探す
  3. 市役所の障害福祉課で尋ねる

一般の求人を探すように、作業所が探せるので試したことがない方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.ハローワークで探す

障害者枠採用の企業や作業所も、ハローワークで探せます。

事業所の情報が、ハローワークで公開されているからです。

ハローワークを利用するメリットは、以下が挙げられます。

  • その場で担当者に聞け、事業所に問い合わせもできる
  • 「医師の意見書」をもとに求職者登録すると応募ができる
  • 紹介状を発行してもらえる

自分に合った作業所を見つけるために、複数プリントアウトして候補をあげてみましょう。

2.求人サイトで探す

作業所は、求人サイトからでも探せます。

インターネット環境があれば利用できるので、自宅でも検索できるのです。

主な求人サイトには、

  • エンゲージ
  • インディード
  • げんきワーク
  • ジモティー

など、豊富にさまざまなサイトがあります。

事業所名やパート、地域などで絞り込み検索ができるので、便利でしょう。

3.市役所の障害福祉課で尋ねる

市役所の障害福祉課では、事業所の情報が公開されていることもあるので、問い合わせてみると良いです。

窓口に行くなら事業所のパンフレットがないか聞いてみたり、相談支援員から事業所の特徴の説明を受けてみたりするのもおすすめです。

自立支援医療受給者証や、障害者手帳が作業所の申し込みで必要になるのか、申し込みの手順も合わせて確認しましょう。

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作業所を選ぶときに見るポイント3選

本と男性

作業所の候補が決まったら、具体的にどのような項目を確認していけば良いでしょうか。

ここでは、作業書を選ぶ際の重要視すべき点について紹介していきます。

  1. 通勤距離や賃金(工賃)を確認する
  2. 作業内容や勤務時間をチェックする
  3. 見学して作業所の雰囲気や職員の人柄を確認する

順番に見ていきましょう。

1.通勤距離や賃金(工賃)を確認する

選ぶときの大切なポイントは、自宅から近い方が通いやすいか調べておきましょう。

通勤距離が遠いと、そもそも工賃と見合わなくなってしまうからです。

障害の程度にもよりますが、通勤方法は、

  • 電車
  • バス
  • 徒歩

といった、どれかなのか、また雨天の場合なども想定して、通える範囲を確認しましょう。

A型事業所なら、最低賃金は保障されているか、B型事業所なら月額3,000円以上の工賃になっているかをチェックすると良いです。

2.作業内容や勤務時間をチェックする

作業内容や勤務時間は、優先度の高い方から決めていきましょう。

  • 事務作業がいいのか
  • 身体を動かす作業がいいのか
  • 勤務時間は休憩を挟む方が良いのか

このように、ひとつずつ確認することが大切です。

求人情報だけではわからないこともあるので、直接電話するとか、見学にいってみるなどすると「やっぱり違った」ということも防げます。

ネットやサイトのおすすめよりも、自分の障害に合った作業を選ぶことで長続きしやすいでしょう。

3.見学して作業所の雰囲気や職員の人柄を確認する

仕事内容よりも、作業所の雰囲気や職員を見て決める方もいます。

なぜなら、施設では障害に対する理解や職員の見守りが必要だからです。

例えば、いい利用者や職員に恵まれれば、悩みを打ち明けたり相談し合ったりできます。

作業所を利用して自立した生活を送る人からは勇気を分け合うこともできるからです。

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まとめ:作業所を辞めたい方は、主治医や信頼できる人に相談しよう

本記事では、作業所を辞めたいと思った方に向けて、辞めたい理由や辞める前に取るべき行動ついて解説しました。

  • 作業所を辞めたい人は将来の不安からストレスを抱える人が多い
  • 作業所を辞めるときは、雇用契約(利用契約)を確認して契約に従って進める
  • 作業所から段階を経て一般就労を目指すことは可能である

作業所を「就労というイメージに、ほど遠い」と消極的に思う方は多くいます。

辞めたい気持ちを抱えては辛い通所生活となるので、主治医や関係機関に相談してご自分の環境を調整することから始めてみましょう。

思い切って自分に合った事業所に変えてみるのも良いです。

ハローワークや求人サイトを利用して、居心地の良い場所を探してみてください。

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