個人事業主が請求書で気をつけるべき3つのポイントとは?記載が必要な5項目も解説
個人事業主は、契約を結んで仕事をした後、自分で請求書を作成して送付し報酬を受け取ります。
しかし、請求書作成に慣れていないと、
「個人事業主が作成する請求書ってどんな項目が必要なんだろう?」
「請求書を作成するときに注意しなければならないことは?」
と疑問に思うこともあるかもしれません。
請求書の作成は個人事業主なら必ず行うものです。
請求書について確認し、正しく扱えるようになりましょう。
今回は、
- 請求書の保存期間と保存方法
- 個人事業主の請求書の項目と書き方
- 請求書で気をつけるべきポイント
- 記入ミスをしてしまった場合の対処法
などについてご紹介します。
請求書について正しい知識を持っておくことで、いざというときも困らずに済みますよ。
「個人事業主が作成する請求書について詳しく知りたい!」という方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
請求書の作成が必要な2つの理由
そもそも、なぜ請求書が必要なのかを考えたことがあるでしょうか。
「仕事をした契約のたびに請求書を作成するのは面倒だな」と思ったこともあるかもしれません。
請求書の作成は、法律上作成が義務付けられているわけではありません。
しかし、請求書は経理上とても大切な書類です。
請求書が必要な理由を知り、適切に作成できるようにしましょう。
請求書の作成が必要な理由は2つあります。
- 入金処理のスムーズ化
- トラブル予防
さっそく見ていきましょう。
1.入金処理のスムーズ化
請求書には、入金処理をどうするかの詳細が記載されています。
どの仕事に対して、どれくらいの金額を、いつまでに、どの口座に振り込むのか。
これらが明確に記録として残るので、請求側も請求される側も入金処理について認識を共有できるのです。
すると、スムーズに入金処理を進めることができるようになります。
2.トラブル予防
入金処理の認識が共有されていないと、トラブルにつながります。
特に多いのが、仕事を終えて報酬を受け取るタイミングになって、契約金額などに認識のズレが生じるケースです。
「◯◯円を◯月◯日までに振り込むはずだったのに、話が違う」といったトラブルになり、最終的には裁判にまで発展するなど、大変な事態になることも。
金銭トラブルは、解決に多くの手間や時間がかかります。
このようなトラブルを避けるために、請求書を発行してお互いの認識を共有しておくことが大切です。
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請求書の保存期間と保存方法を解説
請求書には税法で義務付けられた保存期間と保存方法があります。
請求書の保存期間は、青色申告・白色申告ともに5年間です。
保存方法の定めはなく、任意の方法で保存します。
取引先ごとにファイルにとじてまとめたり、封筒に入れたり、データにアップロードして保存するのが一般的です。
なくさないように注意しましょう。
請求書に記載が必要な5項目
請求書を作成する場合、どんな内容を記載する必要があるでしょうか。
記載が必要な項目を理解しておけば、1から請求書を作らなければならないときも問題なく作成できます。
請求書に必要な項目をしっかり理解しておきましょう。
基本的に、請求書には次の5つの項目を記載します。
- 書類作成者の氏名または名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額(税込み)
- 取引先の氏名または名称
それでは、順番に見ていきましょう。
1.書類作成者の氏名または名称
書類作成者の氏名または名称を記載します。
個人事業主である自分の名前を記載しましょう。
書類を作成したのが誰かを明確にしておくことで、何かあった場合でもすぐに確認ができますよ。
2.取引年月日
取引年月日を記載します。
いつの取引かをわかるようにしておくことで、経理処理がスムーズになりますよ。
3.取引内容
請求する取引の内容を記載します。
商品名やサービス名、数量や金額を記載しましょう。
取引先の税務処理の都合上、書き方が指定される場合があります。
取引先に確認した上で取引内容を記載しましょう。
4.取引金額(税込み)
税込みの取引金額を記載します。
軽減税率の対象とならない品目は単価の10%、対象となる品目は単価の8%が消費税です。
消費税を加えた総額を記載しましょう。
5.取引先の氏名または名称
取引先の氏名または名称を記載します。
請求書の作成についてさらに詳しく知りたい方は、国税庁の「No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた」をご覧ください。
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個人事業主の請求書の8項目と書き方
個人事業主が仕事をしたときの報酬を請求する場合、請求書に記載する項目は増えます。
個人事業主の請求書には、次の8項目が必要なことを覚えておきましょう。
- タイトル
- 請求番号
- 宛先
- 発行日
- 作成者
- 振込先
- 支払期限
- 源泉徴収額
ひとつずつ解説していきます。
1.タイトル
請求書のタイトルをつけます。
「御請求書」や「◯月分御請求書」などと記載しましょう。
タイトルがあることで、何の書類なのかがひと目で見てわかります。
2.請求番号
請求書には請求番号を振りましょう。
請求番号があることで、自社で請求書を管理しやすくなります。
請求書は必要なときには取り出せるよう保存しておく必要があるので、請求書番号を振っておけば書類を見つけやすくなり、安心です。
3.宛先
請求書を送付する宛先を記載します。
宛先は、取引先の会社名や事業部名、屋号名を記載しましょう。
担当者がいる場合は担当者名も記載します。
注意が必要な点として、社名・部署名・団体名などには「御中」、個人名には「様」の敬称を添えましょう。
次の例を参考にしてみてくださいね。
- 企業宛てに送る場合:◯◯株式会社 御中
- 企業の部署宛てに送る場合:◯◯株式会社 △△部署 御中
- 企業の部署内の個人宛てに送る場合:◯◯株式会社 △△部署 個人名 様
4.発行日
請求書の発行日を記載します。
請求書に記載する発行日は、実際に発行した日付ではなく、取引先の締め日を記載することが多いです。
請求書を発行した日付を請求日とするか、締め日を請求日とするか迷う場合は、事前に取引先に聞いておくといいですよ。
締め日も20日、月末など、企業によって異なります。
取引先に確認してから請求日を記載するようにしましょう。
5.作成者
請求書の作成者を記載します。
法人の場合は会社の角印を捺印するのが一般的です。
個人事業主も角印があれば使うと良いでしょう。
また、屋号や氏名と住所を記載すれば、印鑑は必須ではありません。
6.振込先
入金してもらう振込先の情報を記載します。
記載する振込先の情報は次の通りです。
- 銀行名
- 支店名
- 口座種類
- 口座番号
- 口座名、名義人名
振込手数料に関しては、請求する側と請求される側のどちらが負担するか事前に確認しておきましょう。
相手に負担して頂く場合は、「恐れ入りますが、振込手数料はご負担いただきますようお願いいたします」と記載します。
7.支払期限
報酬の支払期限を記載します。
月末締め翌月払いが一般的ですが、わからない場合は取引先に確認してから支払期限を記載しましょう。
確認のために毎回記載しておくと、支払い漏れを防ぐことができます。
8.源泉徴収額
取引先が法人の場合、個人事業主は税法で定められた区分によって源泉徴収税を差し引いた金額を請求します。
源泉徴収の対象となる主な報酬の区分は次の通りです。
- 原稿料
- デザイン料
- 講演料
- モデルやタレントなどの出演料
- 教授料
ライティングやデザインなどの業務に関する報酬にかかる源泉徴収税額は、請求額が100万円以下の場合、請求金額に対する10%の所得税と税額の2.1%(復興特別所得税)を足した金額になります。
復興特別所得税は、平成25年から令和19年の期間にかかる所得税です。
個人事業主の源泉徴収に対する対応は企業によって異なります。
源泉徴収額を差し引くかどうかは、事前に取引先に確認しましょう。
請求書で気をつけるべき4つのポイント
ここまで、請求書に記載する項目についてお伝えしてきました。
請求書を作成するときには、項目に漏れがないよう注意しましょう。
請求書の作成では、内容に不備があると後のトラブルにつながってしまいます。
気をつけるべきポイントを意識して作成すると、不備が生じにくくなりますよ。
ここでは、請求書で気をつけるべき4つのポイントをご紹介します。
作成時の参考にしてみてくださいね。
- 印鑑の種類
- 消費税の書き方
- 封筒のサイズと書き方
- 入金の確認も忘れずにおこなう
それでは見ていきましょう。
1.印鑑の種類
請求書には、印鑑を押しても押さなくても問題ありませんが、押印を求められる取引も存在します。
印鑑を押すと、請求書を作成したことを認め、信頼感を持たせる効果があるからです。
ただし請求書に使用する印鑑は実印でなくてもよく、通常の丸印や角印で問題ありません。
請求書の作成で印鑑に迷った際は参考にしてみてください。
2.消費税の書き方
消費税の内訳として、軽減税率の対象とならない品目は10%、なる品目は8%で分けて記載し、それぞれの消費税額を明確にします。
さらに、内税(消費税込)か外税(消費税別)かを記載しましょう。
また、自分が免税事業者である場合も、取引先に消費税を請求することは可能ですよ。
面積事業者であっても、売上に対する仕入れや美品の購入時に消費税を支払っています。
そのため、取引先に消費税を請求しなければ、自分がその消費税分を負担することになるのです。
「自分は免税事業者だから消費税は請求しない」と誤って理解していると損してしまうので、注意しましょう。
3.封筒のサイズと書き方
請求書を送付するときの封筒のサイズと封筒の書き方にも注意しましょう。
封筒のサイズは「長形3号(長3)」または「角形2号(角2)」を選ぶのが一般的です。
長形3号(長3)はA4サイズの書類を三つ折りで入れられる大きさで、定形郵便として取り扱われ、総重量が25g以下なら82円切手、50g以下なら92円切手で送れます。
角形2号(角2)はA4サイズの書類を折らずにそのまま入れられる大きさで、定形外郵便に区別され、総重量が50g以下なら120円切手、100g以下なら140円切手で送れますよ。
書き方は通常の封筒の書き方に加え、「請求書在中」と表記します。
封筒が縦書きなら左下に縦書き、横書きなら右下に横書きで記載しましょう。
4.入金の確認も忘れずにおこなう
請求書を作成後、支払期限を過ぎたらきちんと入金がされているかを確認しましょう。
入金確認をしていないと、実際の入金がされていない場合に気づくのが遅れ、対応が遅くなってしまいます。
入金がない場合、取引先に連絡して確実に入金してもらう必要があるので、支払期限を過ぎたら確認することが大切です。
記入ミスをしてしまった場合の対処法
請求書を作成していると、記入ミスをしてしまうことがあるかもしれません。
取引先に送付前に気づいた場合は、修正して新しく印刷するか、新しい請求書で書き直します。
一般的なビジネス書では二重線で哀悼箇所を取り消して訂正印を捺印した上で正しい情報を記載しますが、請求書の場合は正確さが求められるので新たに作成しましょう。
また、送付後にミスに気づいた場合は、請求書の内容に誤りがあることを早急に連絡し、正しい請求書を再度送付します。
請求書が誤っていたことを丁寧にお詫びすることも大切です。
請求書が新しい方式に変わる「インボイス制度」にも注意
「インボイス制度」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
インボイス制度は、2023年10月1日から導入される、課税対象者が対象の新しい制度です。
導入後は、消費税の仕入税額控除の適用を受けるための条件として、帳簿や「適格請求書」などの保存が求められます。
消費税率が10%になり、軽減税率8%と混同するようになったため、インボイス制度が導入されることになりました。
インボイス制度は「適格請求書等保存方式」とも呼ばれます。
現行の「区分記載請求書」に代わる新しい請求書・適格請求書の作成が必要なので、注意しましょう。
まとめ:必要事項をしっかりと記入して、トラブルのない請求書を作成しよう
今回は、個人事業主の請求書作成についてご紹介しました。
請求書は経理上とても大切な書類です。
適切に作成することで、トラブルを避けることができます。
個人事業主なら請求書の必要項目や注意点を理解し、しっかりとした形式で請求書を扱いたいものです。
また、新しい方式に変わる「インボイス制度」はよく理解しておきたいポイントでしょう。
今回の記事を参考に、請求書を作成してトラブルのない経理業務に生かしてくださいね。