【失業保険を徹底解説】失業給付金の手続きマニュアルはこれだ

公開日: 2018.01.18
更新日: 2024.01.29

雇用保険に加入していた場合、会社を退職するとお世話になるのが失業保険です。

普段も生活では、あまり馴染みがないものですが、退職した際には絶対に関わってきます。

そんな失業保険ですが、退職理由や年齢・給料などにより一人一人異なり、受給の手続きも簡単ではありません。

そこで今回は、失業保険をできるだけ詳しく説明していきます。

この記事を読めば、失業給付金の手続きはもちろん、自分が貰える金額の計算方法や受給額の増やし方なども完璧にマスターできると思います!

失業保険(失業給付金)とは

失業保険は、会社をや退職した際に受け取ることが出来る手当です。

しかし、失業保険は給付方法が異なり、理解が難しい部分も多いのではないでしょうか。

今回は、そもそも失業保険とは何かを詳しく解説した上で、失業保険を貰う手続きに必要な物なども説明して行きます!

そもそも失業保険ってなに?

失業保険…

失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日も早く再就職できるよう、求職活動を行った上で失業等給付を支給する制度

失業等給付には、通常の失業給付である基本手当の他に2種類の給付方法があります。

  • 失業給付(基本手当)
  • 就職促進給付
  • 教育訓練給付

このうち基本手当を受給するには、ハローワークでの手続きが必要です!

基本手当以外の2種類の給付について詳しく説明していきます。

就職促進給付

就職促進給付のうち、就業促進手当として「再就職手当」「就業促進定着手当」「就業手当」などがあります。

その中で今回は「再就職手当」を取り上げます!

再就職手当は、失業手当を受給している間に再就職した場合に受給される場合があります。

早く再就職が決まるほど、給付率は高くなります!

主な条件は以下の通りです。

  • 基本手当の支給残日数が3分の2以上の場合→支給残日数×70%×基本手当日額
  • 基本手当の支給残日数が3分の1以上の場合→支給残日数×60%×基本手当日額

その他、いくつか注意事項があるので詳しくはハローワークへ!

参考 就職促進給付:ハローワーク就職促進給付

教育訓練給付

  • 教育訓練受講に支払った費用の一部を支給
  • 基本手当が支給されない期間、受講の諸経費を支援(専門実践教育訓練を受講する45歳未満の離職者の方に対して)

雇用保険の支払い期間が3年以上などの条件を満たす人が、厚生労働大臣の指定する講座を受講・修了すると、教育訓練給付金を受給できます!

給付には上限があり、一般訓練は10万円、専門訓練は1年40万円です。

参考 教育訓練給付:ハローワーク教育訓練給付

失業給付金をもらうにはハローワークへ

失業給付金はハローワークでもらえます!

まずはじめに、自分の家から一番近いハローワークを調べましょう。

参考 全国ハローワーク所在案内厚生労働省

住居を管轄するハローワークに行き、「求職の申し込み」を行なったのち「雇用保険被保険者離職票」を提出します。

雇用保険の手続きは、月曜日~金曜日(休祝日・年末年始を除く)の8時30分~17時15分です。

手続きに時間がかかる場合があるので16時前には行くようにしましょう!

次にハローワークに持参するものです。

主な持ち物は以下の通りです。

  • 雇用保険被保険者離職票
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のいずれか一種類)
  • 身元(実在)確認書類((1)のうちいずれか1種類((1)の書類をお持ちでない方は、(2)のうち異なる2種類(コピー不可))(1)運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など(2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
  • 印鑑
  • 証明写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚
  • 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関あり)

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失業給付金を貰える条件は

失業給付金は誰でも貰うことが出来るのでしょうか。

失業給付金を貰える条件は3つあります。

  1. 失業状態であること
  2. 退職前の2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あること
  3. ハローワークで求職の申し込みをしていること

それぞれ詳しく説明していきます!

失業状態であること

一つ目の条件として失業状態であることがあげられます。

ただし、次のような状態の時は失業給付を受けることができません。

  • 病気やけがのため、すぐには就職できないとき
  • 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
  • 定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
  • 結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき

失業状態とは?

では、失業状態とはどんな状態を指すのでしょうか。

この場合の失業状態は、

いつでも就職できる能力があるにも関わらず、本人やハローワークの努力によっても、

職業に就くことができないこと

を指します!

退職前の2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あること

二つ目の条件として、離職日前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あることがあげられます。

ただし、特定受給資格者・特定理由離職者については、離職日前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可能です。

では、被保険者期間とはどのように計算すればいいのでしょうか。

被保険者期間は、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と計算します。

ハローワークで求職の申し込みをしていること

3つ目の条件として、ハローワークに行き求職の申し込みをしていることがあげられます。

同時に、就職しようとする積極的な意思が必要です!

失業給付金の手続きマニュアルはこれだ!

それでは、失業給付金の具体的な手続きを説明して行きます!

流れを大きくまとめると以下の通りです。

一つずつ抑えるべきポイントを説明していきます!

離職

このステップでのポイントは以下の2つです。

  • 在職中に「雇用保険被保険者証」の有無を確認する
  • 離職後に「雇用保険被保険者離職票」を用意する

できれば在職中に「雇用保険被保険者証」の有無を確認するようにしましょう。

離職後、会社から「雇用保険被保険者離職票」が届きますが、交付されない場合・事業主が行方不明の場合は、住居地を管轄するハローワークに問い合わせてください。

受給資格決定

このステップでのポイントは以下の3つです。

  • 住宅を管轄するハローワークに行き「求職の申込み」をする
  • ハローワークに「雇用保険被保険者離職票」を提出する
  • 「雇用保険受給資格者」のしおりを受け取る

住宅を管轄するハローワークに行き、求職の申込みを行なったのち、「雇用保険被保険者離職票」を提出します。

ハローワークでは、受給要件を満たしていることを確認した上で、受給資格の決定を行ないます。

このときに、離職理由も判定するので、離職理由に異議がある場合はハローワークに相談するようにしましょう。

受給資格が決定されると、雇用者保険受給者初回説明会の日時が知らされ、「雇用保険受給資格者のしおり」を受け取れます。

雇用保険受給者初回説明会に参加

このステップでのポイントは以下の2つです。

  • 説明会に必ず出席する
  • 話をよく聞き制度を理解する
  • 「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を受け取る

説明会は、受給資格の決定の際に伝えられた日時に開催されます。

ここでは、雇用保険の受給について重要な事項の説明があるので必ず出席するようにしましょう!

持ち物は、「雇用保険受給資格者のしおり」・印鑑・筆記用具です。

また、「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」が渡され、第一回目の「失業認定日」が知らされます。

4週間に1度の失業認定

このステップのポイントは1つです。

  • 4週間に一度の指定された日にハローワークに行き「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を提出する

原則として、4週間に一度失業状態であることの確認が行われます。

指定された日に管轄のハローワークに行き、「失業認定申告書」に求職活動の状況等を記入した上で「雇用保険受給資格者証」と一緒に提出します!

基本手当の支給を受けるには

基本手当の支給を受けるには、失業の認定を受けようとする期間(認定対象期間)中に原則として2回以上の求職活動の実績が必要です。

しかし、基本手当の支給に係る最初の認定日における期間中は1回の求職活動で手当が受給できます!

また、自己都合で退職した場合、離職理由によっては、待期期間満了後3か月間は基本手当が支給されません。

この場合、支給されない期間とその直後の認定対象期間をあわせた期間で、原則として3回以上の求職活動の実績が必要となります。

どこまでが求職活動の範囲?

基本手当の受給には求職活動の実績が必要ですが、求職活動とはどんな活動を指すのでしょうか。

求職活動とは

就職しようとする意思を具体的かつ客観的に確認できる積極的な活動のこと

をいいます!

では、その主な範囲はどこまでなのでしょうか。

求職活動の主な範囲は以下の通りです!

  • 求人への応募
  • ハローワークが行う、職業相談、職業紹介等を受けたこと、各種講習、セミナーの受講など
  • 許可・届出のある民間機関(民間職業紹介機関、労働者派遣機関)が行う、職業相談、職業紹介等を受けたこと、求職活動方法等を指導するセミナー等の受講など
  • 公的機関等((独)高齢・障害・求職者雇用支援機構、地方自治体、求人情報提供会社、新聞社等)が実施する職業相談等を受けたこと、各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会等の受講、参加など
  • 再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験の受験
注意

単なる、ハローワーク・新聞・インターネットなどでの求人情報の閲覧や知人への紹介依頼だけでは、この求職活動の範囲には含まれない。

不正受給とは

不正受給をした場合、それ以後の支給がすべて停止され、厳しい処分が行われます。

不正受給…本来は、基本手当を受けられないにもかかわらず、虚偽の申告などにより基本手当の支給を受けようとすること

したがって、以下のことは絶対に行わないようにしましょう!

  • 求職活動の実績がないにもかかわらず、失業認定申告書にその実績について虚偽の申告をする。
  • 就職や就労(パート、アルバイト、日雇、試用期間なども含む)をし、また、自営を開始した場合に、そのことを失業認定申告書で申告しない。
  • 内職や手伝いをした事実や収入を隠したり、偽った申告をする。

受給

このステップでのポイントは以下の3つです。

  • 失業認定日から通常5営業日で、指定した預金口座に基本手当が振り込まれる
  • 再就職決定まで、所定給付日数を限度として「失業の認定」と「受給」を繰り返しながら仕事を探すことができる
  • 基本手当を受けられる期間は、原則として離職の翌日から1年間

失業の認定を行った日から通常5営業日で、指定した預金口座に基本手当が振り込まれます。

再就職が決まるまでの間は「失業の認定」と「受給」を繰り返しながら仕事を探すことができます

しかしその際、所定給付日数(基本手当が支給される最高日数)が限度です。

注意

所定給付日数は、離職理由・離職時の年齢・被保険者であった期間等によって異なる

もし就職が決まったら?

失業保険の受給中に就職が決まった場合は、すぐにハローワークに報告する必要があります。

給付は、内定してすぐに打ち切りになるわけではなく、基本的には入社日の前日まで支給されます。

また、要件を満たす場合は、就業促進手当が支給されます!

参考 就職促進給付:ハローワーク就職促進給付

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失業給付金って実際いくらもらえるの?

失業給付金の受給までの流れを見てきました!

失業保険の金額は、退職した会社から支払われていた給料の50~80%がもらえる決まりになっています。

では失業給付金は実際いくらもらえるのでしょうか。

今回は、失業給付金の計算方法を説明して行きます!

計算の仕方は3ステップ

  1. 離職前6ヶ月間の給料の「合計金額」を調べる
  2. 合計金額から1日あたりの「賃金日額」を算出
  3. 離職時の年齢と賃金日額に基づいて「基本手当日額」を求める

それぞれ詳しく説明して行きます!

①離職前6ヶ月間の給料の「合計金額」を調べる

給与明細や離職前に会社からもらう離職票を参考に合計金額を調べます。

注意

給料総額にはボーナスを含めず、残業代や住宅手当・通勤手当などの各種手当を含める

②合計金額から一日あたりの「賃金日額」を算出

離職前6カ月間の給料総額÷180日=賃金日額

離職前6カ月間の総支給額を180日(30日✕6カ月)で割り、1日あたりに換算した賃金日額を求めます。

③離職時の年齢と賃金日額に基づいて「基本手当日額」を求める

離職時の年齢と自分の賃金日額を参考に1日にもらえる失業給付金(基本手当日額)を求めます。

賃金日額のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。

「基本手当日額」は、年齢ごとに上限額が決まっているので、確認するようにしましょう!

所定給付日数はどう決まるのか

「所定給付日数」とは失業手当が貰える日数のことをいいます。

この日数は、退職理由や年齢・雇用保険に加入していた期間によって異なります

自分の所定給付日数は以下を参考にしてください!

1.会社都合や会社都合や怪我や病気などが理由で退職した方の場合(特定受給者及び一部の特定理由離職者)

2.自己都合退職した方の場合(1・3以外の離職者)

3.就職困難者

失業保険の増やし方は〇〇!?

上記で失業給付金がどのくらい貰えるのかを説明しました。

では、その失業給付金を増やす方法はあるのでしょうか。

失業給付金の増やし方は、退職前6ヶ月間の給料を増やすことです!

1日あたりに貰える失業給付金は、先ほども説明した通り、退職前6ヶ月の給料の平均から算出しています。

このことから、賃金日額を上げることでその分の受給額が増えることがわかります!

しかし、

  • すでに基本手当日額が上限額の場合
  • 退職後に任意継続被保険者になる場合

は注意が必要です!

詳しく見ていきましょう。

すでに基本手当日額が上限額の場合は増やせない

先ほど、年齢ごとに基本手当日額の上限が決まっていることを説明しました。

現時点で上限額に達している場合は、それ以上の手当をもらうことはできません

一度、自分がどれくらい受給できるのかを計算してみると良いと思います!

任意継続被保険者になると保険料が上がる

会社によって異なりますが、退職後に「国民健康保険に加入する」か「会社の健康保険を任意継続する」かのどちらかを選択できます。

会社の健康保険を任意継続する場合に注意が必要です。

任意継続する場合、在職中の4月から6月の給料をもとに健康保険の保険料が決まります

そのため、4月から6月が退職前の6ヶ月間に含まれる場合、この期間の給料を増やすとその後の保険料も上がってしまうので気をつけましょう!

失業給付金のよくある疑問を一括解決!

ここまでで失業給付金についてある程度理解できたのではないでしょうか。

最後によくある疑問を解説していきます!

家族の扶養に入ったら受給可能?

病気や怪我・妊娠などを契機に退職し、家族の扶養に入ることを検討する方も多いのではないでしょうか。

家族の扶養に入る場合、「働く意思がない」とみなされてしまうため、失業保険は受けられません

しかし、配遇者の収入だけでは生活が厳しい時に職を探している場合は、「失業の状態」となり、受給資格が得られれば給付を受けることができます!

受給中にアルバイトはしていいの?

失業保険の受給中、給付制限期間中にアルバイトをすることは可能です!

しかし、アルバイトの日数が多いと、失業認定の際に「就職」とみなされる場合もあるので注意しましょう。

アルバイトの日数や時間は、それぞれのハローワークで異なるので、確認してみるといいと思います!

まとめ

失業保険の給付は人それぞれ違います。

まずは、管轄のハローワークへ行き、自分の失業保険について知ることが大切です!

そもそも、失業保険は雇用保険に加入していないと受けることができません。

パートでも自分を守るために、雇用保険に加入させる会社を選ぶことも必要です!

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