児童養護施設を辞めたい6つの理由。辞める方法とおすすめの転職先を解説
「児童養護施設の仕事を辞めたい」
「自分に合う転職先は一体どこなんだろう」
と思うことはありませんか?
児童養護施設は、子どもたちにとって家なので、ときには感情を震わせて向き合う必要があり、きついと感じることが多いです。
では、児童養護施設を辞めてこれから転職したい、という方は一体どうすればいいでしょうか。
そこで今回は、
- 児童養護施設を辞めたい理由
- 施設を辞める前にすること
- 児童養護施設の経験を活かせる転職先
について解説していきます。
この記事を読めば、児童養護施設を辞めたい人の悩みを解決でき、転職までにやることがわかります。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
児童養護施設の職員を辞めたい6つの理由
児童養護施設では、さまざまな資格を持つ職員が働いており、チームとして子どもたちを支えています。
たくさんのやりがいを感じられる職業ですが、労働環境が悪いので辞めたいと思う人は多いのです。
- 給料が安い
- 休みが不安定
- 体力が持たない
- サービス残業が当たり前
- 子どもとの関係性が難しい
- 職場の人との人間関係が複雑
それぞれ順番にみていきましょう。
1.給料が安い
児童養護施設で働く職員は、仕事内容に給与が見合っていないと感じる人が多いです。
体力と精神力を使う仕事なのに、全産業の平均給与より下回っていることから、不満が想定されるからです。
- 児童養護施設で働く児童指導員の平均給与は、月25〜28万
- 全産業の平均給与は、月30〜38万円
児童養護施設の職員は、家庭を持っているとプライベートな時間を削ってしまう恐れがあります。
ですので、十分な給与がないと辞めたくなるでしょう。
2.休みが不安定
早出や夜勤、宿直などがあるので休みが不安定になりがちです。
普通の会社で働いていると週休2日は取れますが、施設によっては人手不足も重なって規則正しく休めないこともあるからです。
例えば月曜に日勤し、そのまま夜勤をして火曜も普通に出勤、家に帰れるのは火曜の深夜となることも。
誰かが休むと代わりにシフトに入るので、休みが不安定なのはデメリットでしょう。
3.体力が持たない
不規則な勤務が続くと体力が持たなくなるので辞めたくなるでしょう。
宿直の場合でも、施設では休めず睡眠不足になることはよくあるからです。
2歳からおおむね18歳までの子どもがいるので、排泄のお世話から反抗期の児童との関わりなど、体力を使う場面は多々あります。
さらに20人以上の施設となると、20人分の炊事や掃除、洗濯をするので大変なので辞めたいと感じてしまうでしょう。
4.サービス残業が当たり前
児童養護施設での勤務は、サービス残業が当たり前になることはよくあります。
子どもたちの為に関わりが長引いたときでも、時間外手当を払わない所もあるからです。
児童養護施設の特徴としても自立を支援する関わりが求められるため、どうしても勤務外だから終わりとはできないでしょう。
残業したくない気持ちは、次第にストレスとなり退職を考えるきっかけとなるのです。
5.子どもとの関係性が難しい
児童養護施設は保育園や学校とは異なり、家庭に代わって過ごす場所なため、子どもとの関わりは課題です。
なぜなら子どもたちは「ネグレクト(育児放棄)」や「母親の精神疾患」などさまざまな事情で入所してくるからです。
寂しさから表面では仲良く接することはできても、心を許してくれないこともあるので、コミュニケーションは悩みの種となるでしょう。
ダメなことはしっかりと注意する必要があるので、信頼関係を築いていけないと仕事はきつくなります。
6.職場の人との人間関係が複雑
施設の人間関係は大切で職員同士がとげとげしいと、職場に行きたくないのが本音です。
下記のように、児童養護施設での支援はチームワークが鍵といえるからです。
- 保育士、児童指導員
- 家庭支援専門相談員
- 自立支援担当職員、自立支援コーディネーター
- 臨床心理士
- 栄養士
- 調理員
- 事務員
例えば、暴言を吐く子どもを見て見ぬふりする管理職員だと、ほかの職員は子どもの支援ができず歯がゆい思いとなるでしょう。
「仕事を辞めたい…」ストレスで限界がきたときの7つの症状や対処法を解説児童養護施設の職員を辞めるか迷っても仕方ない
児童養護施設を辞めるか迷っている人は、ご自身の状況を振り返ってみてください。
- 心身に負担がかかる
- 暴力や暴言を受けることもある
- 10年未満で70%近くが離職している
働き続けることで、ストレスに耐えきれずうつ病になる人もいます。
冷静な判断ができないか、初心に返って考えていきましょう。
1.心身に負担がかかる
児童養護施設の規模は、大・中・小と分かれており、小規模の場合は責任ある業務をひとりで任されることもあります。
そのため、職員が精神的に疲弊する事例はよくあるのです。
新卒の職員だと、上手くいかないと「自分は向いてないのでは」と落ち込んでしまいます。
子育てと一緒で子どもとの関わりに正解はないので、真面目な人ほど悩みやすく、負担がかかりやすい仕事なのです。
2.暴力や暴言を受けることもある
子どもから暴言が飛び交うこともあって、叩かれたり蹴られたりする職員もいます。
多感な時期に子どもと向き合うのは大変なことです。
子どもたちの複雑な背景を理解できても、屁理屈を毎日聞いていると関わりがめんどくさくなるのが本音でしょう。
子どもたちも精一杯生活しているので、仕事を続けるなら、気持ちの波を汲み取ってあげる余裕が必要といえます。
3.10年未満で70%近くが離職している
児童養護施設の離職率は高いといわれています。
職場の労働環境や子どもへの関わりにおいて就労が難しくなるケースがよくあるからです。
具体的には、住居や生活をともにする特殊な勤務形態があります。
ほかにも思春期の子どもたちは、感情が不安定なため職員は気持ちを受け止めることが非常に大変です。
感情を扱う労働ですので、辞めたいと思っても仕方ないといえます。
「仕事ができないから辞めたい…」仕事ができないと思う理由と対処法5選を解説!児童養護施設の職員を辞める前に考えること3選
転職する前には、どのようなことに目を向けておけばよいでしょうか。
ここでは、転職する前に考えることについて解説します。
- 自分の本当にやりたいことを明確にする
- 辞めたい理由を家族や友人に相談してみる
- 資格を持っている30代前半までは転職は簡単
今の状況に自信のない方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.自分の本当にやりたいことを明確にする
やりたいことを理解していると、迷いが出たときも自信を持って転職に活かせます。
まずは一人の時間を持ち、自問自答してください。
- 自分は何が得意か
- やりたいことは何か
- 何をしてる自分が好きか
- 社会に役立つことはあるか
このように、自己分析すると本当にやりたいことがわかるので、自分史のひとつとして保管しておきましょう。
2.辞めたい理由を家族や友人に相談してみる
信頼できる家族や友人に相談すると、客観的に自分を知れるメリットがあります。
一人でどうにかしようと思うと、心身ともに疲れてしまうこともあるので思い切って打ち明けた方が良いからです。
伝えるデメリットとしては、転職を猛反対される可能性が考えられます。
とはいえ、しっかりと向き合うことで協力体制を得られるので心の支えになるでしょう。
3.資格を持っている30代前半までは転職は簡単
転職の難易度は、年齢が上がるにつれて難しくなります。
35歳前後からは役職の有無が問われ、40歳以上では経営能力が問われるからです。
なので、30代前半までは転職の機会は豊富にあります。
給与は高くなく、数合わせ的な採用になるかもしれませんが、児童養護施設の職員だと何かしら資格を持っている方が多いので転職は有利です。
「仕事を辞めたい」辞めてもいい8つの判断ポイントと円満退職について徹底解説児童養護施設の職員を辞めるための4つの方法
児童養護施設を辞める決意ができたら、下記の手順で退職を進めましょう。
- 2ヶ月前に上司に退職の意思を報告する
- 子どもたちの長期休み前に退職時期を決める
- 仕事の引き継ぎをおこなう
- 転職サイトに登録する
今の職場に不満がある場合も、なるべく円満退職をおこなう方が転職も前向きにいけます。
それぞれ順番に見ていきましょう。
1.2ヶ月前に上司に退職の意思を報告する
退職の意思を上司に伝える際は、就業規則に従うことが大原則なので早めに報告することをおすすめします。
急に辞めるてしまうと人員配置で迷惑がかかる場合もあるからです。
就業規則がある際は従い、ない場合は2週間前には伝えましょう。
強い退職の意思が決定しているのであれば、2ヶ月前に上司に報告すると引き継ぎをスムーズにおこなえます。
2.子どもたちの長期休み前に退職時期を決める
退職時期は施設のスケジュールに合わせる方が良いでしょう。
下記のスタッフが協力して「自立支援計画」を策定しているので、周りに迷惑のかからない長期休み前に退職時期を決める方が良いからです。
- 子どもの担当職員
- 自立支援担当職員
- 家庭支援専門相談員
- 主任職員
- 臨床心理士
自立支援計画に沿った支援が滞らないように、退職時期を合わせていくと円満退職できるでしょう。
3.仕事の引き継ぎをおこなう
後任が決まっていれば、業務の引き継ぎをおこないます。
子どもとの関わりは、職員本人しかわからない気付きもあるので、ほかの職員と共有できると支援に繋がるからです。
また、児童養護施設の仕事は事務作業も多いので、引き継ぎ内容をわかりやすく記録するのもよいでしょう。
報告書に漏れはないか、再確認するだけでも気持ちよく退職できます。
4.転職サイトに登録する
情報を仕入れるために転職サイトに登録しましょう。
- リクナビNEXT
- マイナビ転職
このような転職サイトは、求人の掲載広告料で成り立っているため、ハローワークと比べて採用の本気度が高いからです。
WEB上の履歴書、職務経歴書を入力する手間がかかりますが、条件に合った求人を知らせてくれるので、活用した方が良いでしょう。
大手企業や積極採用企業とマッチングできる機会なので、転職活動に必要なのです。
児童養護施設の職員が転職先で活かせるスキル3選
実際にどのようなスキルが転職先で活かせるでしょうか。
ここでは、児童養護施設の経験が糧になるスキルについて、具体的に解説していきます。
- 生活力
- 時間管理能力
- コミュニケーション能力
転職する仕事に適性はあるのか、もう一度振り返って参考にしてください。
以降で、それぞれ解説していきます。
1.生活力
施設職員は、両親と暮らせない子どもたちに社会的自立ができるように働きかけます。
子どもによっては、小学校のうちから高校を卒業すると施設を出ると覚悟させる必要があるからです。
炊事や掃除、洗濯をはじめ、自立に向けて生活力を養う関わりをするので、施設経験が自分のセールスポイントになるでしょう。
経済的な自立や生きる知恵などは、児童養護施設の職員だから語れる強みといえます。
2.時間管理能力
施設職員が持っているスキルのひとつに時間管理能力があります。
子どもの成長を1年・3年・5年と目標を立てて自立支援計画書を作成するので、短期と長期の視点が身につくからです。
転職先で時間管理ができると、タスク管理を上手く評価されるので、役職にも挑戦できるでしょう。
ですので、子どもとの関わりと事務のハードワークをこなせる点は優れた能力といえます。
3.コミュニケーション能力
児童養護施設の経験は、子どもの介入が大半を占めるので、コミュニケーション能力を仕事で活かせます。
職員同士の繋がりが築ける点も、転職先で評価されるポイントだからです。
今はオンライン化が進んでいるため、対面のコミュニケーションを苦手とする人は多くいます。
ですので、児童養護施設の仕事ができると、対人関係の悩みが少なく新しい環境に入っていけるでしょう。
児童養護施設の職員におすすめの転職先5選
ここからは、具体的に児童養護施設の経験が活かせる転職先を解説していきます。
- 販売
- 営業
- 介護士
- 保育士
- 栄養士
児童養護施設からの転職は、これまでの人生経験や保有資格から広げることが可能です。
経験を存分に活かして、自分に合った転職先を見つけましょう。
1.販売
販売スタッフは、何か商品を売るための接客サービスをおこないます。
販売にもさまざまありますが、どれもコミュニケーション能力を活かせる仕事なので、学歴や資格がなくても転職できます。
- 小物やアクセサリー
- グッズ販売
- 枕販売
- パン製品
残業なしの職場もあるので、接客好きな方なら挑戦できるでしょう。
2.営業
営業職は、接客や販売スキルを活かせる転職先です。
やる気とコミュニケーション能力があれば、積極採用している企業もあるので、会社を選べるメリットがあるからです。
- 自動車保険の営業
- 人材紹介サービスの営業
- 食品メーカーの法人営業
転職エージェントを利用すると営業職の中でも詳しく条件を絞れるので、不安を解消しながらマッチングできます。
3.介護士
介護施設で働く職員にも、チームワークがとても重要視されています。
介護士資格を求められますが、児童養護施設の経験が役に立つ職場といえます。
主な業務は下記のとおり。
- 入浴と食事、排泄の介助
- 体位変換
- 口腔ケア
- 心身機能の維持と回復
介護施設ではケアマネジャーが介護計画(ケアプラン)を立てるので、児童養護施設での自立支援計画の視点が活かされるでしょう。
4.保育士
保育士の免許を持っている方は、職場を変えて保育士をすることが可能です。
保育士免許を活かせる職場は、多く存在しているので新しいやりがいを感じれます。
具体的には、
- 保育園
- 乳児院
- 小児専門病院
- 児童館
など、さまざまありますが、児童養護施設とは業務内容が大きく変わり、新鮮さも得られます。
保育の目的は変わらないので、子どもの発達に寄り添うことができるでしょう。
5.栄養士
栄養士の免許を持っている方は、病院や学校、保育園で働くことができます。
職場の配置によって変わってきますが、主な業務は下記のとおりです。
- 調理業務
- 発注業務
- 献立作成
栄養士の実務経験が3年あれば、管理栄養士の資格を受験できるので、さらにキャリアアップが期待できます。
栄養士は子どもから感謝される仕事なので、子どもとの関わりが好きな方は、病院勤務よりも保育園や学校勤務がおすすめです。
まとめ:児童養護施設を辞めたい方は、転職後のプランを明確にしよう
本記事では、児童養護施設を辞めたいと思った方に向けて、辞めたい理由やおすすめの転職先を紹介しました。
- 児童養護施設は、子どもたちとの関わりと事務作業に追われてきつい
- 施設を辞める場合は、円満退職できるように努めよう
- 児童養護施設での経験は辞めた後でも活かせるので、転職先は豊富にある
児童養護施設の職員は、子どもたちの感情と向き合う仕事なので、常に勉強し続ける必要があります。
施設経験はとても貴重で、転職先でも高く評価されやすいので、この機会に自分に合った職場を探していきましょう。
自分に合った転職先がわからない場合は、転職サイトを活用するのもおすすめ。
転職サイトを利用してご自身の強みを活かせる場所を探してみてください。