ITゼネコン業界の将来性はないの?問題視される理由から、就職する際の注意点まで解説

2024.01.03
ITゼネコン業界の将来性はないの?

「ITゼネコンってなんだろう」
「ITゼネコンが崩壊するって本当?」

と思うことはありませんか?

ITゼネコンに就職しようとしても、悪い評判を聞くと迷ってしまいますよね。

本当に、ITゼネコンの将来性はないのでしょうか?

そこで今回は、

  • そもそもITゼネコンとはなにか
  • ITゼネコンが問題視される理由
  • ITゼネコンに就職する際に注意すること

について詳しく解説します。

この記事を読めば、ITゼネコン業界の事実がわかります。

ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

ITゼネコンとは

ITゼネコンを説明する男性

ITゼネコンとは、ITインフラの企画・設計・導入・保守・サポートなどのITサービスを提供する企業のこと。

建設業界の「ゼネコン」が、IT業界で置き換えられた言葉です。

一般的なゼネコンと同じように、元請け、下請け、孫請などの構造で設計されています。

まずはそんなITゼネコンがなぜ誕生したのか、さらには構造の詳細を紹介していきます。

  1. ITゼネコン誕生の背景
  2. ITゼネコンの構造

1.ITゼネコン誕生の背景

ITゼネコンは、官公庁やメガバンクなどが大規模なシステム開発をする際、効率よくプロジェクトを遂行するために誕生しました。

自社のみでシステム開発を試みると、新たにシステムエンジニアを多く雇う必要があるため、コスト増大や人員不足の問題が発生するのです。

また大規模であるからこそ、あいまいなマネジメントになってしまったり、問題発生時に責任者が不明になったりする場合も。

このような問題を解決するために、ITゼネコンがプロジェクトを代わりに担っています。

2.ITゼネコンの構造

ITゼネコンの企業は、担う仕事の役割によって以下のピラミッド図のように分けられます。

「元請け」「下請け」「孫請け」について、それぞれ詳しくみていきましょう。

ITゼネコンの構造

元請け

元請けとは、クライアントから直接依頼を受ける企業のこと。

そのため一次請けや、直請け、プライムなどと呼ばれることもあります。

具体的な役割は、クライアントとの打ち合わせから始まり、システム開発から予算や納期までを提案することです。

要件定義書や設計書を提示しながら、双方が納得いくプロジェクト内容を決定します。

次に、引き受けた案件のすべてや一部を外部に依頼します。

この外部の企業に当たるのが、次で解説する「下請け」の企業です。

下請け

下請けとは、元請けから依頼された案件を遂行する企業のこと。

元請けが作成した設計書などに従って、

  • コーディング
  • プログラムの動作テスト
  • クライアントのための運用マニュアル

などをおこないます。

つまり、元請けが引き受けた案件を、主に遂行しているのは下請けということです。

孫請け

孫受けとは、さらに下請けから依頼される案件を遂行する企業のことです。

仕事内容は簡単なテストなどで、下請けと比較して単調な作業が多くなります。

現在このようにひとつの案件を、元請け、下請け、孫受け、四次請け…と続く多重下請け構造が問題になっています。

なぜなら業務委託契約を結んでいながら、実際には労働者派遣契約になっているためです。

違法ではないため、いわゆるグレーゾーンと思われるところでしょう。

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ITゼネコンの4つの役割

ITゼネコンの役割を話す男性

クライアントは、ITゼネコンに以下4つの役割を担ってもらうためにシステム開発などのプロジェクトを依頼します。

  1. 予算管理
  2. 安全管理
  3. 工程管理
  4. 品質管理

これらすべての工程を円滑に進めてくれるITゼネコンが高く評価されます。

各管理工程をそれぞれ詳しく解説していきます。

1.予算管理

予算管理は、人件費、材料費、諸経費のすべてを詳細に調べ、事前に設定した予算内に収まっているかどうかを確認します。

そのためには、市場や環境要因だけでなく、関連するすべてのコストを考慮に入れなければなりません。

さらにはプロジェクト固有のニーズに合わせて作成し、予想される変更も考慮する必要があります。

2.安全管理

ITゼネコンの安全管理は、建設業界と違って命の危険がともなう仕事はしません。

そのため安全管理の意味合いは異なりますが、ITゼネコンにおいても重要な役割です。

なぜなら開発するシステムは医療業界でも利用されるため、安全への意識は同じように持つ必要があるからです。

つまり、クライントは納期内にプロジェクトを完了させることはもちろん、その過程でどのようなリスク検知や対処法がおこなわれたのかまでを評価します。

3.工程管理

ITゼネコンの工程管理は、仕事の完成時期と密接に関係する重要な業務です。

計画を立て、リソースを配分し、作業の進捗を継続的に監視することで、

  • 各工程のミスや遅延を最小限に抑える
  • 生産効率と信頼性を保証できる

など、このようなメリットがあります。

万が一、納期が少しでも遅れるとクライアントから、マイナス評価を受けてしまいます。

4.品質管理

ITゼネコンの品質管理は、各工程の成果物のチェックが基本になります。

建設業界のゼネコンとまったく異なるのは、実際にチェックする成果物がソフトウェアとその実行結果であることです。

チェックの具体的な内容は、

  • テストケース
  • 互換性テスト
  • 性能テスト

など、それぞれ異なる基準があり、継続的な評価が求められるのが特徴です。

しかし、各ソフトウェア製品が採用している品質保証のプロセスによって、性能テストのスタイルは大きく異なることなります。

例えば、重要なアプリケーションでは回帰テストを含む厳格な評価プロセスを経る必要がありますが、社内使用のソフトウェアでは基本的な機能と出力の調子をチェックするスモークテストだけで済むかもしれません。

そのためクライアントの要求水準を満たしていることを確認するために、業界標準を常に意識していなければなりません。

ITゼネコンが問題視される3つの理由

ITゼネコンの就職が上手くいかない男性

ここまでITゼネコンがどのような企業なのか解説してきましたが、実は働き方や労働環境が問題視されています。

  1. 給与格差
  2. 人材育成
  3. 労働環境

「将来崩壊する」とまでいわれているITゼネコン業界。

それぞれ、どのような点が指摘されているのかみていきましょう。

1.給与格差

ITゼネコンは、上流企業の利益率が下流企業より高くなるようにするため、給与格差が発生します。

この給与格差は下流企業に所属する労働者にとって、計り知れない経済的な問題になっているのです。

そもそも下流企業は、上流企業から渡される契約書に沿って任務を遂行するため、交渉力を持ちません。

つまり、上流企業に利用されやすい立場に置かれていることが多いということです。

その結果下流企業は賃金の低下に加え、

  • 資源の枯渇
  • 契約の短期化

など、さまざまな問題を抱えています。

この問題を解決するには、上流・下流双方の企業間の透明性を高めつつ、平等で公正な労働条件を実現することが不可欠となります。

2.人材育成

ITゼネコンでは、各階層で必要とされる知識やスキルが偏在しており、人材育成の観点で問題があります。

その理由は、経験豊富な人材が採用されず、新しい人材の育成が十分でないからです。

また、組織のスタッフが限られている場合、その知識やノウハウを、必要なスキルを持たない新しいスタッフに伝えることが難しくなり、企業の専門的な資源や能力に悪影響を及ぼす可能性まであります。

さらに、技術やプロセスは常に流動的で、時間とともに予測不可能に変化するため、組織が保有する特定のスキルセットだけを訓練した人材を確保することは、長期的には実行不可能かもしれません。

そのためITゼネコンの業界では、知識の移転、トレーニング、開発、効果的なリソース管理を促進する戦略を考案することが重要です。

3.労働環境

ITゼネコンにとって、過酷な労働環境は悩みの種です。

なぜなら、システム開発におけるプロジェクトは、納期があるにもかかわらず、予定通りに進むことがほとんどないからです。

そのため、プロジェクトマネージャーは、実際のシステムの設計仕様だけでなく、スタッフ、顧客、経営者の期待など、常にさまざまな課題に直面しています。

また多くの場合、顧客要求の予期せぬ変更に直面し、引き起こされた混乱を回復するための時間がほとんどありません。

さらに、システムのある部分の完成に厳しい時間枠というプレッシャーが加わり、時間通りに仕事を終わらせるために深夜残業やダブルシフトをしなければならなくなることもあります。

この現象はとくに納期が厳しく、毎週納品されるようなプロジェクトで顕著に見られます。

その結果、ITゼネコンは、極めて不利な条件、場合によっては健康を害するような条件に直面することも少なくありません。

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ITゼネコンに将来性はあるのか?

ITゼネコンに将来性を感じる男性

ITテクノロジーを取り巻く環境が変化していることを考えると、これは興味深い問いかけです。

なぜなら、

  • モバイルコンピューティング
  • クラウドベースのストレージ
  • その他のクラウドベースのサービス

これらの成長により、物理的なITリソースやインフラの必要性は減少しているからです。

そのため、多くの人が「ITゼネコンは過去の遺物になってしまった」と考えるのは自然な流れかもしれません。

しかし、多くのITゼネコンがこの新しい環境に適応し、顧客に新しい価値を提供する方法を見出しています。

これらのサービスは、企業が今日のテクノロジー優位の市場で競争するために不可欠であるだけでなく、ITゼネコンが提供するサービスを多様化し、長期的に自らの事業利益を増大させる機会にもなります。

さらにITゼネコンは、

  • デジタル変革
  • ITガバナンス
  • ビジネスプロセスの自動化
  • ソフトウェアエンジニアリング

など、今日の技術にあふれた環境でビジネスを成功させるための重要な要素に関する貴重な知識を提供できます。

このようにITゼネコンには、未来を明るいものにするためのツールやノウハウがあるといえるでしょう。

ITゼネコンの企業ランキングBEST3

ITゼネコンの企業口コミをみる

以下の3つの企業は、ITゼネコン業界で人気のある企業です。

  1. 野村総研
  2. 電通国際情報サービス
  3. 日本オラクル

実際に働いた社員の口コミも交えて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

1.野村総研

野村総合研究所は、高品質で革新的なソリューションの提供で知られる大手ITゼネコン。

40年以上の経験を生かし、お客様に最高級のサービスを提供しています。

具体的には、

  • カスタムソフトウェア開発
  • クラウドコンピューティングサービス
  • ビッグデータ分析
  • データセンターの統合やコンサルティングサービス

など、お客様が常に最先端の技術に対応できるように努めています。

さらに高度な専門家チームは、戦略的プランニングやプロジェクト管理からITトレーニングやメンテナンスに至るまで、あらゆる顧客の要望に応えられるのです。

そんな野村総研は就活生から人気を集めている企業でもあります。

なぜなら、早くから活躍の場を広げるだけでなく、ライフサイクルの変化に対応できる社内制度を充実させ、中長期的な目標を持ってキャリアアップを目指せる環境があるからです。

2.電通国際情報サービス

電通とGEの提携により設立された電通国際情報サービスは、革新的な思考と最新のテクノロジーを融合させた多様なITプロフェッショナル集団として進化を遂げてきました。

「人とテクノロジーで、その先を作る」をビジョンに設定し、時代の先を見据えたサーボスを提供しています。

一般的に、IT業界は離職率が高いとされますが、電通国際情報サービスは年間2.1%とかなり低いです。

また、平均残業時間は28時間以下、平均年収は1,000万円を超えるなど、働く側も嬉しい労働環境が整っています。

ITゼネコンはブラックという概念を覆してくれる企業といえるでしょう。

3.日本オラクル

日本オラクル株式会社は、米国オラクル社の日本法人として1985年に設立されました。

日本を拠点に、情報システム構築のための

  • ソフトウェア・ハードウェア製品
  • ソリューション
  • コンサルティング
  • サポートサービス
  • 教育

などの事業を展開しています。

女性にとっても働きやすく、評価制度に透明性があることが人気の理由です。

また、グローバル展開でビジネスが右肩上がりであることから、非常に働きがいがあるとの声が多数挙げられます。

ITゼネコンに就職する際に気をつけること

ITゼネコンの就職に気を付ける男性

ITゼネコンはいくつかの問題点が見受けられますが、まだまだ求人数も多く見受けられます

もしも就職を希望する場合は、以下の2点を必ず確認しておきましょう。

  1. ピラミッド図のどこに属する企業であるか
  2. 大手だから安心と捉えない

それぞれ解説していきます。

1.ピラミッド図のどこに属する企業であるか

ITゼネコンの構造

ITゼネコンに就職する場合は、入社志願する企業が「元請け」「下請け」「孫受け」のどこに属するのか必ず調べましょう。

どこのポジションに属するかによって、給与や身につくスキルは大きく異なります。

例えば、孫受けの企業の場合、先述したとおり簡単な動作テストなどの業務がメインであるため、将来的にキャリアアップは困難になる可能性も。

まずは自身がどんな業務に携わりたいかを明確にした上で、企業に応募するべきです。

そうすることで、入社前と入社後のギャップをなくし、満足のいく環境で長く働くことが可能です。

2.大手だから安心と捉えない

ITゼネコンで働く場合、大企業だからといって安心してはいけません。

たとえ大企業であっても、経験の浅い人材や旧式の機器を使用している可能性があり、依頼した業務に適しているとは言えません。

さらに、こうした大企業では、優れた顧客サービスを提供するよりも利益を得ることを優先するのが普通であり、プロジェクトの実行を急がせたり、ずさんなものにしたりすることがよくあります。

このような場合、何度も繰り返したり、スケジュールを拡大したりする必要があるため、時間がかかり、コストが高くなる可能性があります。

これは通常、不十分な要件定義、不適切なテスト、経験の浅い担当者などの結果です。

したがって、ITサービス・プロバイダーを探す際には、プロジェクトにコミットする前に、そのプロバイダーの専門知識のレベルと仕事の質を調べることが不可欠です。

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まとめ:ITゼネコン業界は企業によって働き方や給与が大きく異なる

ここまで、ITゼネコンについて詳しく解説してきました。

  • ITゼネコンは、ITサービスを提供するサービスのこと
  • ITゼネコンは給与格差や労働環境、人材育成の問題が挙げられる
  • ITゼネコン業界ではまだまだ新しい人材の需要が高い

ITゼネコン業界で生き残るには、常に新しいスキルを身に着けていく必要があります。

本文でも解説したとおり、下流企業が担う簡単な作業だけではキャリアアップが見込めないからです。

就職する前に、しっかり企業リサーチをしたり、まずはIT技術を学んだりしましょう。

そうすることによって、自分の理想の働き方ができます。

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