医療業界におけるIT化の現状や課題は?ITを活用したサービス7選も紹介

公開日: 2023.01.29
更新日: 2024.01.03
医療業界におけるIT化の現状や課題は?

「医療業界でITはどのように活用されているのだろうか?」
「医療業界におけるITの将来性が知りたい」

と思うことはありませんか?

ITを学習して、医療業界の役に立ちたいと思っても、本当に役立つのか迷ってしまいますよね。

では、医療業界のIT化の現状はどのようになっているのでしょうか?

そこで今回は、

  • 医療業界の現状と課題
  • 医療業界で注目されているIT技術
  • 医療業界でITを活用したサービス

について詳しく解説します。

この記事を読めば、医療業界でどのようにすればITのスキルを役立てられるのかが理解できます。

ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

医療業界におけるIT化の現状

医療業界のIT化の現状

医療業界の現状について見ていきます。

現状がわからなければ、どのように役立っているのかがわかりにくいからです。

  1. 医療業界の現状
  2. IT化とは
  3. 医療業界におけるIT化の現状

それぞれ見ていきましょう。

1.医療業界の現状

医療業界の現状として、専門性が高い人材の人手不足が挙げられます。

なぜ人手不足かというと、高齢化や新型コロナウイルス感染症などの蔓延により、以前よりも需要が高まってきているからです。

人手不足になることで以下のような状況になってきています。

  • 一人一人の業務量が増える
  • 離職率が上がる
  • 地域によって医師数に差が出る

人手不足に対しての対策が急務とされているのが、今の医療業界といえるでしょう。

2.IT化とは

IT化とは、ITにより業務を効率化することです。

なぜIT化が注目されてきているかというと、さまざまな業界の人手不足などをカバーできる可能性があるから。

例えば、ITに含まれるものとして以下のようなものがあります。

  • パソコン・スマホ
  • インターネット
  • アプリケーション・ソフトウェア

人手不足で困っている医療業界でも、IT化を進めることで、一部の問題を解決できるのではと考えられています。

3.医療業界におけるIT化の現状

医療業界におけるIT化は、年々加速してきているといえます。

なぜなら、IT化を実現することで、住んでいる地域に関わらず、質の高い医療サービスを提供できるようになるなどのメリットが多いからです。

ただし、すべての病院で、ITが受け入れられているわけではありません。

医師の平均年齢が高いことからも、ITに馴染めず、導入をためらっている病院もあるのです。

ただしこの人手不足を解消するためにも、IT化は必須の流れといえるでしょう。

IT化って何?IT化って何?IT化の事例3選やメリット・デメリットを解説

医療業界3つの課題

医療業界の課題

医療業界の課題を具体的に見ていきます。

なぜなら、課題は人手不足だけではないからです。

  1. 人材不足
  2. 情報・データ管理
  3. ITリテラシーの低さ

課題を具体的に見ていくことで、ITに何が求められているのかがわかります。

1.人材不足

医療業界の課題である人材不足について、もう少し詳しくみていきます。

病院を必要とする人が増えていながらも、医療従事者の人数はほとんど増えていないのが現状です。

例えば、外来患者数を5年前と今で比べると、年々増加傾向にあります。

医療従事者がほとんど増加していないことからも、人手が足りていないことがわかります。

2.情報・データ管理

情報やデータの管理も、医療業界の課題といえます。

その理由は、扱う情報量が多いのはもちろん、各患者の診断内容などを保管しなければならず、情報漏洩のリスクが大きいからです。

保管する期間も、保険医療機関及び保険医療養担当規則に定めらていて、3年から5年と長めです。

どのように情報やデータを管理していくかは、今後の医療業界の課題といえるでしょう。

3.ITリテラシーの低さ

医療業界のITリテラシーの低さは、解決すべき課題といえるでしょう。

なぜITリテラシーが低くなっているのかは、勤めている医師の平均年齢が約60歳と高めであることが理由のひとつです。

また日々の業務に負われて、新しいシステムなどを覚えるところまで手がまわっていません。

便利なシステムがあったとしても、結局使いこなせずに、浸透していないのが現状です。

ITリテラシーが低いことは、今の医療業界の課題といえます。

医療業界で注目されているIT技術7選

医療業界のIT技術

医療業界で注目されてきているIT技術について見ていきましょう。

ITがまだまだ普及しきっていない中でも、取り入れられている技術があるのです。

ひとつずつ見ていきます。

1.画像認識技術

医療業界の現場では、画像上の人や物をコンピューターで自動認識できる画像認識技術が注目されてきています。

なぜなら、人の目では見落としてしまう小さな変化や異常を、コンピューターが検知できる実例が出てきているからです。

例えば、機械学習を使って学習したコンピューターが、レントゲンなどで取った静止画を読み込み、がん細胞を検知することに成功しています。

コンピューターであれば、その精度や速度が人より早く処理できる可能性があるため、とても注目されているのです。

2.映像認識技術

映像認識技術も、医療業界で注目されてきている技術です。

その理由は、まさにリアルタイムで、異常を検知できるようになるから。

例えば、エコー検査とAIによる自動判定を組み合わせて、乳がんを自動で判定するシステムが発表されています。

人の目で確認することはもちろんですが、コンピューターも使って判定できることのメリットは大きいでしょう。

今後の医療業界において、映像認識技術の発展は、とても重要といえます。

3.自然言語処理

目でみる画像や映像だけでなく、テキストを扱う自然言語処理も、医療業界で注目されています。

自然言語処理を使うことで、過去から蓄積されている大量の事例や文献を読み込んで、将来に活かせるからです。

例として、自然言語を使った症状特定や病名の特定が挙げられます。

過去のさまざまな症例を読み込むことで、ある症状を持つ患者がどのような病気であるかを特定する技術です。

まだまだ発展の余地があるものの、同時にたくさんのテキストを処理できる自然言語処理技術は、医療業界の発展には不可欠といえるでしょう。

4.計算処理

ITで扱うハードウェアの計算処理能力にも期待がかかっています。

なぜなら、病院の会計方法が、非常に複雑だからです。

例えば、患者が支払う医療費も、診療点数などから細かく計算されています。

早く処理ができるハードウェアがあってこそ、より良いサービスが提供できるのです。

5.クラウドサービス

医療業界において、クラウドサービスも今注目されている技術のひとつです。

なぜなら、個人情報の取り扱いが厳しくなっていることに伴い、病院内で保管するのがリスクになってきているからです。

例えば、退職者が持ち出してしまうことや災害により紛失してしまうことなど、病院内での保管がリスクとなり得ます。

クラウドサービスを活用することで、アクセス者に制限をかけたり、コピーや改ざん等を防げたりすることは、個人情報を取り扱う医療業界では必要とされている技術です。

6.データベース

データベースの必要性も医療業界で年々高まってきています。

その理由として、医薬品の安全対策など、データ収集・分析が重要視されていることが挙げられます。

とくにデータ収集では、1,000万件以上の医薬品の副作用などのデータを保管しておく必要があり、さまざまな地域での連携が必要です。

安全に大量のデータを保管できるデータベースが必要とされてきています。

7.ロボット

医療業界で期待されていることのひとつとして、ロボットの製造技術も挙げられます。

なぜなら、ロボットで手術がおこなえるようになれば、その精密な動きが役立つと考えられるからです。

例えば、国産手術支援ロボットとして、hinotoriが発表されています。

4本のアームが取り付けられたロボットを遠隔地にいる医師が操作します。

ロボットの発展により、人手不足の解消や人為的な手術ミスなどが避けられる可能性があるでしょう。

データベースデータベースとは?初心者でもすぐわかる情報管理の基礎を解説

医療業界のITを活用したサービス7選

ITを活用したサービス

医療業界ですでに活用されているIT関連のサービスについてご紹介します。

すでに普及してきているサービスを見れば、どのようにITが役立っているのか実感できるでしょう。

具体的なサービスをご覧ください。

1.オンライン予約機能

ITを活用した例として、オンラインの予約機能が挙げられます。

なぜなら、スマホの普及により、医療業界だけでなく、さまざまな業界でオンライン予約は必要とされている機能だからです。

オンライン予約機能は以下のようなメリットがあります。

  • 24時間いつでも予約できる
  • 混雑状況が把握しやすい
  • 電話の必要がない

とくにスマホに慣れている若い世代を相手にするのであれば、必須のサービスといえるでしょう。

2.オンライン診療

オンライン診療も、普及してきているサービスのひとつです。

自宅から出ることなく、診断や薬の処方が受けられるサービスになります。

通信環境やカメラ、端末などの発展により、気軽にリモートで診察ができるようになりました。

まさにITがもたらした画期的なサービスのひとつといえるでしょう。

3.見守りカメラ

医療業界で普及しているサービスのひとつとして、見守りカメラなどのリモートカメラ技術が挙げられます。

なぜ見守りカメラが医療業界で役立つかと言うと、高齢の入院患者が増えてきているからです。

病床の多い病院などで、カメラを取り入れることで以下のような効果があります。

  • ベッドからの転落や室内での転倒を防ぐ
  • 徘徊への対策
  • マットセンサーの誤報対策

見守りカメラの導入により、最小限の人数で、病院内に目が行き届くようになるのです。

4.電子カルテ

電子カルテの導入も、医療業界がすでに取り入れているITサービスのひとつといえます。

電子カルテを使うことで、紙でなく、PC上で診察の過程が記録できるようになりました。

電子カルテによるメリットを挙げると以下のとおりです。

  • 業務が効率化できる
  • 遠隔にある診療所とも連携できる
  • 間違いが見つけやすい
  • 置き場所の確保が不要

電子カルテの導入がもたらしたメリットはとても大きいといえるでしょう。

5.画像保存通信システム

医療業界ですでに使われているサービスとして、画像保存通信システムがあります。

とくに大きな病院では、さまざまな部署での連携が必要になり、診察で取得した画像などを各部署で共有しなければなりません

画像を保存し、通信することで、リアルタイムでの共有・保管が可能になっているのです。

6.乳がん検知システム

活用されているITサービスの中に、乳がんの検知システムがあります。

AI技術を使ったシステムを導入することで、リアルタイムでがん細胞を発見することができるのです。

医師の目で確認するのはもちろんですが、機械により小さながん細胞も検知できるようになってきています。

技術の発展とともに、今後にも期待できるサービスのひとつといえるでしょう。

7.手術ロボット

世界各国でも、手術用ロボットは医療業界で普及してきています。

普及してきている理由は、人為的なミスを削減することや経験者の不足を払拭するためです。

例えば、米国のインテュイティブ・サージカル社が開発したダヴィンチというロボットがあります。

日本でも300台ほど納入されて、各地で使用例がでてきているロボットです。

簡単な手術であれば、ロボットのほうが正確にできる、という時代も近いかもしれません。

医療業界におけるIT化・デジタル化への将来性

医療業界の将来性

これまでのIT化の現状をふまえて、将来性を見ていきましょう。

もしITの技術を身につけて、医療業界で活躍したいなら、将来性の有無はとても重要です。

  1. ITが活躍できる分野とは
  2. IT化により解消される問題
  3. IT化に向けた方針

ひとつずつ解説していきます。

1.ITが活躍できる分野とは

ITが活躍できる分野として以下のようなものが挙げられます。

  • 機械学習・ディープラーニング
  • ロボット
  • クラウド・データベース

ITの活用によって、過去から積み上げてきたたくさんのデータを、将来に活かせるようになってきました。

IT業界に携わりながら医療業界で活躍したいなら、これらの分野がおすすめといえるでしょう。

2.IT化により解消される問題

IT化が医療業界にもたらすものは、仕事の効率化による、人手不足の解消です。

人手そのものが増やせなくても、IT化により、時間や手間のかかる作業を減らせる可能性があります。

オンライン予約機能や電子カルテなど、物理的な時間や場所にとらわれないようになるのは大きなメリットといえるでしょう。

3.IT化に向けた方針

医療業界の中でも、IT化に向けて、前向きな方針を立てている団体は多いです。

その理由は、現状の課題を解決できる可能性があるにも関わらず、世界的にも日本は遅れを取っているからです。

日本医師会総合政策研究機構によれば、電子カルテも普及率は50%を切っています。

ますます高齢化が進む日本社会では、IT化が急務であると、認識している団体が増えてきているのです。

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まとめ:医療業界でのITに対する需要は高まってきてる

当記事では、医療業界におけるIT化の現状やさまざまな活用されているサービスについて、解説してきました。

  • 医療業界の現状として、ITリテラシーの低さが挙げられる
  • 医療業界の課題は、地方による格差と人材不足
  • 医療業界でITを活用したサービスは、今の課題解決が望めるものは多い

医療業界において、IT化は必須ともいえる大切なことです。

その理由は、今の人材不足を解消できる可能性があるから。

今後もますます、IT化に向けた人材確保が重要となってくることでしょう。

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