個人向けのリスキリング補助金一覧!対象者や金額について徹底解説

リスキリングには、国や自治体では個人の学び直しを後押しするための補助金や給付金制度がいくつも用意されています。
条件を満たせば、数十万円単位の支援が受けられることもあるため、知っておくかどうかで損失を大幅に減らすことが可能になるでしょう。
今回は、個人が利用できるリスキリング補助制度をわかりやすく紹介していきます。
リスキリングとは?
リスキリングとは、仕事の変化に対応するために新しいスキルを学び直すことを指します。
現状、デジタル技術の進化や業務内容の多様化が進む中で、今もっているスキルだけでは通用しなくなるシーンが増えています。
「将来の働き方を見据え、自分の市場価値を高める手段」として、リスキリングは今や多くの人にとって欠かせない選択肢となりつつあります。
個人のリスキリング支援が広がっている背景
近年、個人のリスキリング支援が拡充されている背景には、「急速なデジタル化やAI技術の進展による職業構造の変化」があります。
したがって従来のスキルでは対応できない新たな業務が増加し、労働者が新しいスキルを習得する必要性が高まっています。
さらに、少子高齢化による労働力不足や、グローバル競争の激化も影響しています。
これらの課題に対応するため、政府はリスキリング支援に注力し、補助金制度や教育訓練給付金などの施策を展開しているのです。
これらの取り組みは個人が新しいスキルを習得し、キャリアの幅を広げる機会として提供されているので、今後もリスキリング支援の重要性は増していく可能性は高いです。
個人のリスキリングで使える補助金・給付金
ここからは、個人のリスキリングで使える補助金や給付金の種類、また対象者や対象講座について解説します。
①専門実践教育訓練給付金
将来を見据えて本格的なスキルを習得したい方に向けたのが、専門実践教育訓練給付金で、年間最大40万円(受講費の50%)が6ヶ月ごとに支給されます。
さらに、資格取得後に1年以内の就職+賃金5%アップが条件を満たせば、最大80%(上限64万円)まで補助率が引き上がります。
45歳未満の初受講者には追加支援が出る場合もあり、キャリアチェンジを本気で目指す人にとって心強い制度となります。
対象者
専門実践教育訓練給付金に関しては、雇用保険に2年以上加入していた在職者や離職者が対象です。
離職者は離職から1年以内である必要がありますが、妊娠や介護など特別な事情がある場合は延長が認められるケースもあります。
パートや契約社員でも条件を満たしていれば申請可能です。
対象講座
厚生労働大臣が指定した講座が対象となっており、大学や専門学校での学び直し、資格取得を目指す通信講座などが該当します。
たとえば介護福祉士、調理師、建築士などの養成講座も含まれており、実務に直結した内容が中心です。
②教育訓練給付金
教育訓練給付金は、スキルアップやキャリアチェンジを支援する目的で、指定講座を受講した人に対し、受講費用の一部を国が負担する制度です。
- 給付金の種類は、
一般 - 特定一般
- 専門実践(前章で解説)
の3つがあり、最大で80%の補助が受けられるケースもあります。
どの講座が対象かは厚生労働省が指定しており、条件を満たせば正社員だけでなく、パートや契約社員でも活用できるのが魅力です。
対象者
教育訓練給付金の対象となるのは、雇用保険の加入歴が一定期間以上ある在職者または離職者です。
一般教育訓練では1年以上、特定一般・専門実践教育訓練では2年以上の加入が基本条件になります。
ただ、離職者の場合は受講開始日が退職後1年以内であることが必要です。
また、以前給付を受けたことがある方は、再度利用する際に一定の間隔が求められるなどの注意点もあるため、事前確認が大切です。
対象講座
講座の対象範囲は非常に幅広く、ビジネススキルやIT、医療・福祉系など多彩なジャンルが揃っています。
たとえば一般教育訓練では、簿記やパソコンスキルなど比較的短期間で学べるものが多く、特定一般や専門実践では、より専門性の高い国家資格や職業訓練校、プログラミングスクールの長期講座が対象になります。
講座の指定は厚労省が行っており、以下から確認できます。
③キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用で働く人の安定した雇用とスキル向上を後押しするために設けられた制度です。
有期契約・短時間勤務・派遣といった雇用形態の従業員を対象に、正社員登用や処遇改善を行った企業に対して支給されます。
キャリアアップ助成金には、以下の6つのコースが存在します。
分類 | コース名 | 内容 |
正社員化支援 | 正社員化コース | 有期雇用労働者等を正社員に転換する取り組み |
障害者正社員化コース | 障害のある有期雇用労働者等を正社員に転換する取り組み | |
処遇改善支援 | 賃金規定等改定コース | 基本給の規定を見直し、3%以上の賃上げを行う |
賃金規定等共通化コース | 非正規と正規雇用者の賃金規定を統一し、平等な待遇を整える | |
賞与・退職金制度導入コース | 非正規雇用者にも賞与や退職金制度を導入し、実際に支給・積立を実施 |
対象者
前述したとおり、対象者は有期雇用やパートタイム、派遣社員として働く方々です。
正社員ではない立場で企業に貢献している方に対し、より安定した働き方への移行を支援する形で設計されています。
なお、助成金はあくまで企業に支払われるため、個人での申請はできませんが、制度を活用するには企業側が「キャリアアップ計画」を策定し、所定の手続きに沿って実施していることが条件です。
対象講座
キャリアアップ助成金では「講座」という形ではなく、企業内で行われる具体的な処遇改善策が対象となります。
代表的な内容には、
- 有期雇用者の正社員化
- 賃金規定の改定による3%以上の基本給引き上げ
- 正規雇用と同等の賃金制度の適用
- 賞与や退職金制度の新設
- 社会保険の新規適用
といった施策があります。
これらの取り組みを行うことで、企業は数十万円~100万円以上の助成を受けられるケースもあります。
④若者雇用促進助成金
若者の安定した雇用を支援するために設けられたのが「若者雇用促進助成金」。
中でも「ユースエール認定企業」に認定された企業は、若年層の雇用や育成に力を入れているとみなされ、以下の助成金の加算対象となります。
- キャリアアップ助成金
- 人材開発支援助成金
- トライアル雇用助成金
- 特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)
雇用環境の改善や人材定着を促進するうえで、企業にとってもメリットが大きく、若者にとっても安心して働ける環境づくりが進む仕組みとなっています。
対象者
35歳未満の若年求職者を雇用する企業が対象ですが、雇用主側が「ユースエール認定」を受けている必要があります。
認定の条件には、
- 残業時間の抑制や有給取得率の確保
- 若手の定着率
などが含まれており、「若者にとって働きやすい職場環境が整っていること」が前提となります。
対象講座
講座そのものが直接の助成対象ではないものの、ユースエール認定企業が
- 若年労働者の育成の一環として実施する訓練
- 研修に関連する助成金制度
などで、加算が受けられる仕組みになっています。
たとえば
- キャリアアップ助成金の対象講座
- 処遇改善のための教育訓練
などを行う際に加算対象となるため、リスキリングとも相性が良い制度といえるでしょう。