データサイエンティストはなくなる職業?需要と将来性を徹底予測
近年、「データサイエンティスト」という職業に注目が集まっています。
そんななか、
「データサイエンティストってどんな仕事?」
「データサイエンティストは無くなるの?将来性は?」
と、気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、
- データサイエンティストとは?
- データサイエンティストはなくなると言われる3つの理由
- データサイエンティストに必要な5つのスキル
- データサイエンティストの将来性
- 今後求められるデータサイエンティストになるには?
などについてご紹介します。
この記事を読めば、データサイエンティストの将来性や、需要の高いデータサイエンティストになるために必要なことがわかります。
データサイエンティストという仕事に興味のある方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
データサイエンティストとは?
データサイエンティストとは、一般的にAIの機械学習や統計学などを用いて、膨大なビッグデータを分析し、整理してまとめたり、ビジネスに活用する仕事と言われています。
「ビッグデータ」は、発生頻度や種類などに規則性のない、膨大なデータのこと。
データサイエンティストは、そのままではビジネスに使えないビッグデータを解析し、規則性や何らかの情報を発見をすることで、活用可能なデータにする役割があります。
また、AI開発にも関わる仕事で、AIに学習させることを目的にデータを分析したり、抽出したりします。
今後もデータサイエンティストの需要は高まると予測される
「データサイエンティストは無くなる」という声もあるので、心配になる方も多いでしょう。
しかし、実際にはデータサイエンティストの需要は高まると予測されています。
理由は、以下の3つ。
- AI開発・ビッグデータ分析の需要拡大
- 人手不足によるデータサイエンティストの獲得競争
- 高度な知識が求められ、育成に時間がかかる
詳しくみていきましょう。
AI開発・ビッグデータ分析の需要拡大
AI開発やビッグデータ分析は世界的にも需要が拡大しており、現在では、IT企業をはじめとするあらゆる企業がAIシステム導入に注力しています。
AI開発には、いかに効率良く必要なデータを収集し、学習に最適なかたちでアウトプットできるかが重要になります。
膨大なデータを扱い、より優れたAIシステムを開発するために、データサイエンティストが求められているのです。
人手不足によるデータサイエンティストの獲得競争
データサイエンティストは世界的な人手不足から、獲得競争が起きている現状です。
高いスキルや実績を持つデータサイエンティストは、どこの企業も求めています。
データサイエンティスト獲得のために、他の企業からヘッドハンティングしたり、まとまった人数がいれば企業ごと買収したりすることも。
それだけ人手不足であり、需要が高い職業なのです。
高度な知識が求められ、育成に時間がかかる
それだけ需要があるのに、データサイエンティストが少ないなら、育てればいいという考えもありますよね。
実際にデータサイエンティストを育成する機関は増えています。
しかし、高度な知識やスキルが求められ、育成には時間がかかります。需要に見合う人材を確保できるほどの教育体制は、整っていないのが現状です。
日本では、そもそも教育できる人材が少なく、企業内でもデータサイエンティストを育てる仕組みが整っていません。
育成体制が整うまでには、かなりの時間を要するでしょう。
国内でもデータサイエンティスト育成に注目が集まる
日本国内でも、データサイエンティストの育成には注目が集まっています。
AI分野の発展において、データサイエンティストは必要不可欠な存在。
ここでは、国内のデータサイエンティスト育成の現状についてご説明します。
日本のデータサイエンティストはアメリカに比べて大幅に不足
日本のデータサイエンティストの人数は、アメリカに比べて大幅に不足しています。
アメリカにおいてデータサイエンティストは、最も人気のある職業のひとつ。
多くの学生がデータサイエンスを専攻して、年間4,000人の統計学の修士が生まれます。
一方、日本では近年育成が始まったばかり。
さらに経済産業省から委託されて、みずほ情報総研が試算した調査では、日本のAI人材は2030年に最大14.5万人が不足する見込みと報告されています。(参照:『- IT 人材需給に関する調査 – 調査報告書』P60 表4−3 )
データサイエンティスト協会の発足
日本国内では、2013年に一般社団法人データサイエンティスト協会が発足されました。
データサイエンティストとして必要なスキル・知識を定義し、育成のためのカリキュラム作成や、評価制度の構築、コミュニティの形成を行なっています。
データサイエンティストについて、協会では次のように定義しています。
データサイエンティストとは、データサイエンス力、データエンジニアリング力を
ベースにデータから価値を創出し、ビジネス課題に答えを出すプロフェッショナル(参照:一般社団法人 データサイエンティスト協会 沿革より「ミッション、スキルセット、定義、スキルレベル」)
また、データサイエンティスト協会では、データサイエンティストとデータサイエンティストを目指す人に向けた情報サイト「JOURNAL」も運営しています。
データサイエンティスト育成のための教育機関の増加
日本国内では、データサイエンティスト育成のための教育機関が増加しています。
下記は、データサイエンティストとしての能力を育成する主な学部・学科です。
- 2017年 滋賀大学 データサイエンス学部
- 2018年 横浜市立大学 データサイエンス学部
- 2019年 滋賀大学 大学院データサイエンス研究科
- 2019年 武蔵野大学 データサイエンス学部
- 2020年 立教大学 大学院人工知能科学研究科
- 2020年 東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 人工知能専攻
滋賀大学は、2017年に日本初のデータサイエンス学部を設置。また2019年に日本初の大学院データサイエンス研究科を設置しました。
この他にも、学部や学科を横断して履修可能なデータサイエンスプログラムを設置する大学や、学科内にデータサイエンスコースを設置する大学が増えています。
なぜデータサイエンティストはなくなると言われるの?3つの理由とは
需要もあり、育成にも注目が集まっているデータサイエンティスト。
なぜ、「データサイエンティストはなくなる」という声があるのでしょうか。
そのように言われる3つの理由をご説明します。
- AI技術の大幅な進化
- 定義が曖昧なため、細分化される可能性がある
- 人材育成の加速により、スキルの低い人は淘汰される
1.AI技術の大幅な進化
実は、「AI技術が発達すれば、AIがデータサイエンティストに取って代わる」という意見があるのです。
実際、性能の高いAIは膨大なデータを収集し、分類したり未来を予測しています。
しかし、AIの未来予測はあくまで過去のデータの蓄積によるもの。
新たな定義を与えたり、新たな課題解決に活用したりすることはできません。
新しいクリエイティブな領域は、データについて高い知識を持つ人間、つまりデータサイエンティストの力が必要なのです。
2.定義が曖昧なため細分化される可能性がある
データサイエンティストは、定義が曖昧で細分化される可能性があることから、「なくなるのでは?」と言われています。
定義が曖昧なことで「データサイエンティスト」という言葉だけが流行り、実際の人材が持つスキルとイメージが一致せず、クライアントから不信感を持たれてしまう問題があるのです。
そのギャップを解消するために、「データサイエンティスト」を業務の領域によって、「データアナリスト」と「データエンジニア」に細分化するという可能性が出てきました。
細分化することで、データサイエンティストと呼ばれる職種がなくなるのでは?と指摘されています。
3.人材育成の加速によりスキルの低い人は淘汰される
人材育成が加速し、スキルの低い人が淘汰されるという意味で、「データサイエンティストの仕事がなくなる」とも言われています。
データサイエンティストは、とても高度な専門知識を持つ技術職。
企業の現場では、高いスキルや実力が求められます。
そのため、スキルの低いデータサイエンティストは不要となり消える可能性も。
一部のプロフェッショナルなデータサイエンティスト以外がいなくなることから、「データサイエンティストはなくなる」ということになります。
データサイエンティストに必要な5つのスキルとは
高度なスキルを持っていなければ、生き残れない可能性もあるデータサイエンティスト。
では具体的に、どのようなスキルを習得している必要があるのでしょうか。
データサイエンティストに必要な5つのスキルをご紹介します。
- ビジネスマインド
- 統計学・アルゴリズム
- ソフトウェア工学
- ITスキル
- ソフトスキル
1.ビジネスマインド
高度な技術が必要とされるデータサイエンティストですが、最も重要なのはビジネスマインドです。
データサイエンティストは、ただデータを分析するだけではなく、データを活用したビジネス戦略の立案や新たな価値創造が求められます。
さらに、あらゆる業界事情に精通し、クライアントに対してわかりやすく説明するスキルが必要です。
2.統計学・アルゴリズム
データを解析するためには、統計学やアルゴリズムのスキルが必須。
統計学のなかでは、データ分析ソフトやデータ分析処理手法を用いて、データを分析します。
統計を理解するための数学知識も必要になるでしょう。
統計やアルゴリズムを構造から理解することで、効果的にデータ収集や分析を行うことができるのです。
3.ソフトウェア工学
データサイエンティストはプログラミングを行うこともあるため、ソフトウェア工学の知識やスキルも習得する必要があります。
ソフトウェア工学とは、ソフトウェアを開発・保守するための技術を扱う学問分野。つまり、プログラミングを含む技術の学問のことです。
ソフトウェア工学は、プログラミングに関わる上で理解していると役立つ学問分野だと言われています。
4.ITスキル
ビッグデータを活用するには、ITスキルが必要です。
具体的には、以下のようなITスキルの取得が求められています。
- SQL(データ操作を行うための言語)のスキル
- オープンソースソフトウェアを扱うスキル
- Pythonなど機械学習に必要なプログラミングスキル
Pythonのおすすめの学習方法については、以下の記事を参考にしてみてください。
5.ソフトスキル
ソフトスキルとは、ヒューマンスキルとも呼ばれる「自己および対人関係に関するスキル」です。
データサイエンティストは、あらゆる業界・職種・部門の人と関わって仕事をします。
そのため、
- コミュニケーション力
- 協調性
- 自発性
- 営業力
などのソフトスキルが重要なのです。
良好な人間関係を築き、協力してデータサイエンスをビジネスに活かす能力が求められます。
データサイエンティストの将来性
結局のところ、データサイエンティストの将来性はどうなるのでしょうか。
データサイエンティストは需要が高い一方で、なくなる可能性が指摘されているとお伝えしました。
ここまでの内容を踏まえて、データサイエンティストの将来性をご説明します。
AIが発展して仕事が減ってもモデル作成や開発は残る
AIが発展すると、確かにこれまでデータサイエンティストが行なっていた仕事の一部は取って代わられる可能性があります。
そうなると、データサイエンティストの仕事は減ることになるでしょう。
しかし、モデル作成や新しい開発の仕事は残ります。
AIは過去のデータから予測はできても、全く新しいものを生み出すことは不可能。
データサイエンティストとして、創造力や開発力が求められていくでしょう。
データ分析だけでなく業界知識や問題解決能力が求められる
現在は、データサイエンスのスペシャリストとして位置付けられているデータサイエンティスト。
将来的には、データ分析だけではなく、業界知識や問題解決能力を持ち、より高い次元でデータをビジネスに応用する能力が求められます。
ビジネスマインドを身につけ、今後も求められる人材を目指しましょう。
今後求められるデータサイエンティストになるには?
データサイエンティストの将来性から、今後求められるデータサイエンティストの人物像が見えてきたのではないでしょうか。
さいごに、今後求められるデータサイエンティストになるために必要なことをお伝えします。
- 求められる業界の知識や課題について学ぶ
- AIの得意分野と苦手分野を理解しうまく活用する
- 常にアンテナを張り新しい知見を身につける
これらを意識していれば、今後もデータサイエンティストとして活躍していくことができるでしょう。
ひとつずつ確認し、ぜひ参考にしてください。
求められる業界の知識や課題について学ぶ
ひとつめは、求められる業界の知識や課題について学ぶということです。
データサイエンティストは、あらゆる業界と関わって仕事をすることになります。
そこでは業界知識から業界全体の課題まで、積極的に学ぶ姿勢が必要です。
現場で得た業界知識や課題が、そのままビジネスに直結するからです。
得意な業界分野を持ち、専門性を高めたデータサイエンティストを目指してもいいでしょう。
AIの得意分野と苦手分野を理解しうまく活用する
データサイエンティストはデータ分析だけでなく、AIの得意分野と苦手分野を理解してうまく活用する能力が求められます。
データを収集しても、活用するAIシステムについて理解していなければ、意味がありません。
まずは、AIはどんなことが得意なのか、どんなことが苦手なのかを知りましょう。
そしてAIの特性を理解した上で、ビジネスに掛け合わせて考え、活用方法を見出すことが重要です。
常にアンテナを張り新しい知見を身につける
データサイエンティストは、AIでも取って代わることのできない、データを用いた新たな創造や開発を担う必要があります。
そのためには、常に世の中に対してアンテナを張り、新しい知見を身につけましょう。
新しい情報に触れることで、新たなアイデアを生み出せるようになります。
特にIT業界やAI分野では情報の流れが早く、日々新しい情報に触れることが可能。
意識的に情報をインプットし、創造的なアウトプットに繋げましょう。
まとめ:データサイエンティストはなくならないが更なるスキルが求められる
今回の記事では、データサイエンティストの将来性や今後求められるスキルについてご紹介しました。
データサイエンティストは、データの分析だけをすればいいわけではありません。
将来的にも求められる人材になるには、データサイエンスをあらゆる業界のビジネスに活用する能力が最も重要なのです。
そのためには、さらなるスキルアップが必要になります。
自分に必要なスキルを磨き、将来も活躍し続けられるデータサイエンティストを目指しましょう。