仕事の「欠勤」を理解しよう!欠勤控除やよくある疑問5選・注意点

公開日: 2021.04.29
更新日: 2024.01.04
仕事の「欠勤」を徹底解説!欠勤控除やよくある疑問5選、注意点まで詳しく

仕事をしていると、どうしても休みたいときはあるものです。

そんななか、

「欠勤って有給や公休と何が違うの?」
「欠勤が理由で解雇されることってある?」
「欠勤するときの注意点は?」

と疑問に思う方もいるでしょう。

仕事には休むための制度がさまざまにあります。

今回は、

  • 欠勤やほかの休む制度との違い
  • 欠勤についての疑問
  • 欠勤するときの注意点

などについて詳しくご紹介します。

「仕事を休むことについての知識を身につけたい!」という方は、ぜひ最後まで読み進めてくださいね。

欠勤について

欠勤について

「仕事を休む」というと、一般的には「有給を使う」ことをイメージすることが多いでしょう。

一方で、「欠勤」とはどういう意味なのでしょうか。

ここでは、欠勤と有給をはじめとする休みの制度についてご紹介します。

  1. 欠勤とは
  2. 有給との違い
  3. 公休との違い
  4. 休業との違い
  5. 休職との違い

それぞれ意味の違いがわかりにくいですよね。

しっかり見ていきましょう。

1.欠勤とは

「欠勤」とは、「勤務を休む」ことで、「契約における労働提供義務の不履行」を意味します。

つまり、出勤しなければならない日に勤務を休むことです。

主に、労働者側の事情によって勤務を休んだ場合を指し、欠勤日の分は給料が支払われません。

欠勤は減給や欠勤控除の対象になります。
月給制では、固定給や基本給など変動しない月の賃金から欠勤した分だけ差し引かれ、減給となります。

もし、月給20万円の社員が月20日の勤務日数のうち3日欠勤をした場合、月給から3万円が減給されるでしょう。

2.有給との違い

「有給」とは有給休暇のことで、労働者が事前に申請し、労働義務のある日にその義務を免除されて休むことです。

欠勤との大きな違いは次になります。

  • 労働義務が免除されるか
  • 給料の支払いがあるか

有給の場合、労働者の権利として労働義務は免除され、給料は支払われます

なお、労働基準法の改正により、2019年4月からは、年10日以上有給がある労働者に対して、5日以上取得させることが義務付けられました。

3.公休との違い

公休は、会社側の事情によって会社全体、あるいは組織の一部が休みとなることを意味します。

欠勤は労働者側の都合の休みですが、公休は会社側の都合の休みであることが違いです。

「土日休み」などは土日が公休と定められている状態となります。
また、年末年始の休業日なども公休の一例です。

公休は給料の支払いがありません

ただし、公休に出勤した場合は、休日出勤手当や代休(休日出勤)などの措置があります。

4.休業との違い

休業も仕事を休むことです。

欠勤との違いは、会社側か労働者側のいずれかに特別な事情があり、労働者に対して業務が免除されている点となります。

会社側の特別な理由の例は次の通りです。

  • 不況で業績が悪化して会社が操業できない
  • 災害によって会社が操業できない

また、労働者側の特別な理由は次が挙げられます。

  • 身内の看病
  • 老親の介護
  • 本人の病気療養

労働者側の都合によって休業する場合は、基本的に給料が支払われません。

ただし、雇用者側の都合によって休業する場合、労働基準法の定めにより、平均賃金の60%以上の休業手当を受け取れます。

5.休職との違い

休職は、労働者が働けない状態になり長期的に休むことを意味します。
主に労働者側の事情によって、雇用主から勤務しないよう命じられます。

ただし、休職について法律などによる明確な規定はありません。

会社ごとに休職が適用される条件は異なります
休職については就業規則に規定されていることが一般的です。

また、多くの会社では、欠勤の連続を休職の条件の1つとして規定しています。

基本的に、休職期間中は給料が支払われません。


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欠勤控除とは

欠勤控除とは

欠勤とそのほかの休みの制度についてお伝えしました。
自分の目的に合わせて休みを使い分けましょう。

欠勤するときには、「欠勤控除」が使えます。

1.ノーワーク・ノーペイの原則

労働者による欠勤があると、労働者は労働義務がある日に労働をしていないことになります。

「ノーワーク・ノーペイの原則」は、労働義務がある日に労働をしていない(ノーワーク)ならば、給料を支払う義務はない(ノーペイ)という考え方です。

また、始業時間が午前9時なのに遅刻して午前9時30分から仕事を始めた場合、会社側は遅刻した30分の賃金を言及できます。

欠勤した日や時間の分だけ賃金を差し引くことは、法的に認められているのです。
また、労働者には欠勤分の給料を請求する権利がありません。

2.欠勤控除の方法

欠勤して労働をしなかった分の賃金を固定の給料から差し引くことを、「欠勤控除」といいます。

日本の労働基準法においては、欠勤控除について特に規定がありません。

そのため、欠勤控除の方法は会社ごとの就業規則の規定によって定められます

欠勤控除をするときの分母を定める方法は、次のいずれかであることが一般的です。

  • 労働者の1ヶ月の平均所定労働日数
  • 労働者のその月の所定労働日数
  • 一律に固定する方法(30日と固定するなど)
  • その月の暦日数

上記のどの方法を用いても、法的な問題はありません。

3.欠勤控除の計算方法

欠勤控除の方法には、主に次の2種類があります。

  • 欠勤控除(1日)=固定給÷所定労働日数
  • 欠勤控除(1時間)=固定給÷所定労働日数÷1日の所定労働時間

たとえば、1日欠勤した場合について考えてみましょう。

固定給が20万円の労働者について、月の所定労働日数が20日だった場合、1日あたりの賃金は1万円です。
そのため、欠勤控除によって1万円を20万円から控除できます。

また、同じ条件で1時間遅刻した場合についても考えます。

ある日1日の所定労働時間を8時間とした場合、1時間当たりの賃金は「1万円÷8」で1,250円です。
そのため、欠勤控除では1,250円を差し引きます。

欠勤についての疑問5選

欠勤についての疑問が解消されるイメージ

欠勤控除についてお伝えしました。
正しい知識をもとに、適切に活用しましょう。

欠勤についてはまだわからないことが多いかもしれません。

いざ欠勤する場面になって困ることのないように、疑問は解消しておきたいですよね。

ここでは、欠勤についての疑問5選についてご紹介します。

  1. あとから有給に振り返られるのか
  2. インフルエンザの場合は欠勤になるのか
  3. 残業時間との相殺はできるのか
  4. 休日出勤との相殺はできるのか
  5. 欠勤が理由で解雇されることはあるのか

知っていれば、欠勤するかを決める判断材料にもなるでしょう。

さっそく見ていきます。

1.あとから有給に振り返られるのか

もし有給が残っている場合は、あとから欠勤した日を有給として申請できる場合があります

有給は事前申請が前提のため、あとから振り返る場合は会社側の承諾を得て、事後に有給を申請することになるでしょう。

ちなみに、欠勤に有給を振り返るかどうかは労働者側に選択肢があります。
会社側が勝手に欠勤を有給として振り返ることはありません。

2.インフルエンザの場合は欠勤になるのか

インフルエンザは、「季節性インフルエンザ」か「新型インフルエンザ」かによって対応が分かれます。

  • 季節性インフルエンザ:欠勤扱い
  • 新型インフルエンザ:有給扱い

毎年冬になると流行する季節性インフルエンザは、法律上の出勤停止には該当しません。
そのため、通常は労働者側の事情による自主的な欠勤となります。

しかし、インフルエンザの診断を受けた労働者が自主的に欠勤せず、会社が強制的に休ませる場合は休業手当を支払う義務が生じます

労働基準法第26条において、次のように定められているためです。

第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

(出典:労働基準法)

一方で、新型インフルエンザの場合は、法律上の就業制限に該当します。

そのため、会社が法律をもとに強制的に休業を命じることができ、休業手当を出す必要はありません。

3.残業時間との相殺はできるのか

月給制の仕事の場合、欠勤をしたあとに残業時間と相殺することは難しいでしょう。

欠勤と残業時間を相殺させたいときは、あらかじめ変形労働時間制などを設ける、事前に承諾を得て振替休暇を決めているなどが必要です。

ただし、時給制の仕事の場合、欠勤と残業の相殺は可能と考えられていますよ。

労働基準法では、次のように定められています。

第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

(出典:労働基準法)

つまり、残業をした場合、時間外労働に対して割増賃金を支払うということです。

このため、事前に承諾を得ていれば、相殺することは不可能ではありません。

4.休日出勤との相殺はできるのか

休日出勤について、会社側が一方的に欠勤と休日出勤を相殺することはできません。

ただし、会社と労働者が個別に承諾を得ている場合は、相殺が可能です。

5.欠勤が理由で解雇されることはあるのか

解雇とは、会社の意思によって一方的に雇用契約を解除することです。
欠勤が理由で解雇されることは十分にありえます

本来は労働義務がある日に休むのが欠勤です。
欠勤が繰り返されると、業務に支障が生じます。

そのため、状況次第では欠勤も正当な解雇事由になるのです。

会社側が欠勤による解雇をおこなう場合、就業規則の解雇事由に次のことが記載されているでしょう。

  • 業務に耐えられない場合
  • 欠勤を繰り返した場合

事前に就業規則を確認しておくといいですよ。

とはいえ、いきなり解雇を言い渡すことは認められていません
欠勤についての懲戒処分を繰り返し、それでも改善されないときの最終手段であることが一般的です。


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欠勤をする際の注意点3つ

欠勤をする際の注意点

欠勤についての疑問をお伝えしました。
知識があれば、必要に応じて休みをとれるでしょう。

欠勤するときには、会社に迷惑をかけないように注意すべき点があります。

注意点に気をつけることで、欠勤中もスムーズに仕事がまわり、トラブルが起きにくくなりますよ。

ここでは、欠勤をする際の注意点3つについてご紹介します。

  1. 無断欠勤はしない
  2. 理由は明確にする
  3. メールよりも電話で連絡する

順番に見ていきましょう。

1.無断欠勤はしない

仕事を休む連絡をするのは、気が引けるかもしれません。
しかし、無断欠席は厳禁です。

連絡をせずに仕事を休むと、職場の人々はあなたを心配し、仕事にも大きな支障が出ます。

仕事はあなた1人の問題ではなく、会社全体で取り組むものです。
無断で急に休んでしまうと、会社全体でスムーズにまわりません。

また、クライアントなどの取引先に迷惑をかける可能性もあります。
状況が悪ければ、あなたの会社の信用を落とすことにもつながるでしょう。

休むときには必ず事前に連絡をしましょう。

2.理由は明確にする

有給を使って休む場合は理由を「私用」として問題ありませんが、欠勤の場合は理由を明確にしましょう

欠勤は、本来勤務すべき日に休むことを意味します。
労働者の権利として認められる有給とは違うのです。

たとえば、次のように理由を伝えるようにしましょう。

  • 体調不良のため
  • 家族の看病のため
  • 身内の不幸(忌引に該当しない親族の不幸など)

きちんと理由を明確にすることで、勤務すべき日に休むことについて誠実な姿勢を伝えられます。

3.メールよりも電話で連絡する

欠勤の連絡をする手段は、メールよりも電話を選びます。

メールで連絡をした場合、相手がメールを受け取って確認したかどうかがわかりません。

電話なら、欠勤する旨を確実に相手に伝えられます

特に、当日の始業前など急を要する場合は必ず電話で連絡をしましょう。

電話で欠勤の連絡をしたあとで、仕事の引き継ぎのために情報を共有する場合などはメールが便利です。

まとめ:制度をきちんと理解しておくことが大切

今回は、仕事を欠勤することについてご紹介しました。

仕事を休むための制度はさまざまです。
それぞれの意味を理解し、適切に使いましょう。

基本的には有給を使って休み、有給が使えないときに限り欠勤するようにします。

仕事を頻繁に欠勤すると、評価に影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。

欠勤について正しく理解し、充実して仕事に取り組みましょう。

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