仕事で保証人を求められたときはどうする?必要となる背景や適切な対応法を解説

公開日: 2021.04.30
更新日: 2024.01.11
仕事で保証人を求められたときはどうする?

「会社から身元保証人を求められたけれど、身元保証人ってどんなもの?」
「身元保証人をどんな人に頼めばよいのかわからない」
「会社から求められた条件に合う身元保証人がみつからない」

と思うことはありませんか?

身元保証人をお願いしようとしても、誰に、どのように説明すればよいのかわからないですよね。

では、仕事で身元保証人を求められたときに、どのような手順で対応するのがが適切なのでしょうか?

そこで今回は、

  • 仕事において身元保証人が必要となる背景
  • 身元保証人を頼むときに覚えておくべき注意点
  • 仕事の保証人がいない場合におこなうべき解決策

について詳しく解説します。

この記事を見れば仕事で求められた保証人についての理解が進み、保証人選びを迷わず対応できるようになります。

ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

仕事において身元保証人が必要となる3つの背景

保証人が必要な背景

さまざまな背景から、会社は身元保証人を必要とします。

身元保証人は一般的にイメージする借金の連帯保証人とは全く別のものです。

まずは会社が、なぜ身元保証人を求めるのかを知ることから始めましょう。

  1. 入社希望者の勤務態度を保証する
  2. 損害賠償の責任を負ってもらうため
  3. 身元保証人の必要性は会社によって違う

このような観点から、社員が真面目に働くことを証明してもらうために、会社があなたの周りにいる人に保証してもらう必要があるのです。

身元保証人が必要な理由や背景を、上の3つの点から見ていきましょう。

1.入社希望者の勤務態度を保証する

企業としては採用にあたって、入社する人に少なからず不安を持っています。

面接などの採用活動はおこないますが、一緒に働くまではその人のことを本当に理解するのは難しいからです。

「入社数日後に突然辞められた…」となっては、採用のコストパフォーマンスとしてよいものではないでしょう。

そこで会社は、身元保証人に次のことを保証してもらいます。

  • 入社する人が真面目に働いてくれる人であると保証できる
  • 入社する人は問題を起こす人ではない
  • 入社する人は会社、社会のルールを守る人である

このように身元保証人は、入社する人の身元が確かだと証明するための存在です。

これから入社する社員にとっては「信用されていない」と感じるかもしれませんが、企業側としては必要なおこないの1つなのです。

2.損害賠償の責任を負ってもらうため

身元保証人は、万が一の時に損害賠償の責任を負ってもらう目的もあります。

新入社員の業務態度が著しく悪く、クライアントに大きな迷惑をかけてしまった場合などは、金銭的な補償をしなければならない場合もあるでしょう。

そういった「明らかに新入社員の不備で発生した事故」に対し、会社が新入社員に損害賠償を求めたいと思うのも無理はありません。

  • 社員と連絡が取れなくなってしまった場合
  • 社員が経済的に損害賠償責任を負えない場合
  • 社員が損害賠償に応じない場合

そこで、たとえば上記のような場合に、会社は当事者に代わって身元保証人に損害賠償請求をおこないます。

身元保証人に連帯して賠償責任を負ってもらうことで、会社はリスクを抑えられるのです。

3.身元保証人の必要性は会社によって違う

そもそも「身元保証人」に関する決まりは会社によってさまざまです。

身元保証人の必要有無は会社が求めており、その会社の業務内容や取扱う商品によって違いがでます

次のように複数人求められることもあれば、必要としない会社もあるのです。

  • 特別な個人情報を取り扱うため、身元保証人は親族以外も含めて2人以上必要
  • 親族から身元保証人が1人必要

そのため、内定が決まったあとは、保証人関連の話は注意して聞いておく必要があります。

身元保証契約は会社との契約なので、それぞれの会社によって方針は異なることを理解しておきましょう。


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仕事において身元保証人が必要となる2つのケース

身元保証人が必要となるケース

仕事において身元保証人が必要となるケースがいくつかあります。

基本的には、会社と最初に契約するタイミングで必要となのが一般的です。

  1. 正社員として就職したとき
  2. アルバイトを始めるとき

今回は上記2つのケースで、身元保証人を求められたときの具体的な場面を紹介していきます。

それぞれの内容を、具体的に見ていきましょう。

1.正社員として就職したとき

会社に就職するときに、雇用契約と同時に身元保証契約を結びます。

会社と就職する社員との契約を、身元保証人を立てて、保証してもらう必要があるからです。

  • 就職する人が就業規則を遵守すること
  • 就職する人が会社に損害を与えた場合、賠償責任を負うこと
  • 給料や解雇の条件

おもに上記のような取り決めをおこないます。

つまり、入社する企業で正社員として適切に業務をおこなうことを、身元保証人にも同意してもらう必要があるのです。

このことで、入社する社員も周囲に迷惑がかかることを理解できるため、不当なおこないをしないための抑止力となるでしょう。

これらを入社する社員と身元保証人の両方に確認する意味合いを持ちます。

2.アルバイトを始めるとき

アルバイトを始めるときも、身元保証人を求められるケースがあります。

これは、近年アルバイトをめぐる問題が数多く発生していることが原因です。

  • SNSへの投稿で飲食店が閉鎖に追い込まれる被害
  • 履歴書での経歴詐称によって会社が被害をうける

たとえばコンビニや居酒屋など、私たちがよく利用する店舗で、いいかげんな仕事をしていることが広まると、会社全体のイメージダウンにも繋がります。

こういった問題が発生している背景から、アルバイトでも会社の業績にマイナスの影響を与えかねません。

そのため、会社はアルバイト契約の際にも身元保証人を求めるのです。

仕事の身元保証人になる際に覚えておくべき4つの「責任範囲」

身元保証人になる際に覚えておくべき4つの責任範囲

自分が身元保証人になる場合には、責任範囲をきちんと覚えておく必要があります。

保証の責任が過大と感じる場合、安易に引き受けるべきではありません

  1. 身元保証契約の期間
  2. 保証責任制度
  3. 保証限度額の設定
  4. 会社側は身元保証人に対して通知義務がある

上の点は絶対に覚えておくべきなので、1つずつ見ていきましょう。

1.身元保証契約の期間

身元保証契約の存続期間は3年もしくは5年と定められています。

身元保証人に過度な責任の負担がかからないような配慮から、このような取り決めがおこなわれています。

  • 期間の定めのない契約は3年
  • 期間の定めがある場合は最長5年
  • 「契約期間終了後自動更新」の規定があっても自動更新は無効となる

つまり契約期間は最長5年で、会社が契約を延長したい場合は、5年経過後に新たな契約を結び直さなければなりません。

この点を覚えておき、契約のときに期間をしっかり確認すべきです。

2.保証責任限度

身元保証人は、会社が受けた損害額の全額を保証する必要はありません。

保証額を決定する裁判所は、さまざまな事情を考慮し、賠償金額を下げてくれます

  • 会社側に落ち度はなかったかどうか
  • 身元保証人がどのような経緯でなったのか
  • 当事者の勤務内容に大きな変化がなかったかどうか
  • 当事者の精神状態、健康状態に大きな変化はなかったかどうか

このような事情を判断した上で、身元保証人が払うべき金額は損害額の何割程度が妥当なのか決定されます。

つまり、保証責任すべてを身元保証人が負うわけではありません。

言い換えると、もし過度な要求をされた場合は、会社側が不当な金額を求めている可能性もあります。

この点を覚えておき、少なくとも「すべての請求を受け入れる必要はない」と考えておきましょう。

3.保証限度額の設定

あらかじめ、保証限度額というものを制定しておく必要があります。

仮に保証限度額を定めていない無制限の保証だった場合、誰も安心して身元保証人になることができません

  • 保証限度額を定めていない契約は無効
  • 上限金額が書かれていれば、その金額以上保証する必要はない

このように守られていますので、不当な金額を請求されないよう覚えておきましょう。

4.会社側は身元保証人に対して通知義務がある

会社は身元保証人に対して重大な事実がある場合、通知しなければなりません。

身元保証人が状況を何も知らないで、損害賠償責任を負わせることがないようにするためです。

次のようなときには通知義務があります。

  • 労働者の不適任・不誠実のため身元保証人の責任が生じるおそれがあるとき
  • 労働者の任務(職務内容)・勤務地の変更により身元保証人の責任が加重し又はその監督を困難にするとき

(出典:身元保証に関する法律)

つまり身元保証人は、通知を受けたとき、身元保証契約を一方的に解除できるともいえます。

このような有利な条件があることもきちんと覚えておくべきでしょう。


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仕事の身元保証人としてふさわしい人の3つの条件

身元保証人としてふさわしい人の3つの条件

身元保証人は誰でもなれるわけではありません。

条件は会社によって異なりますが、身元保証人の役割を果たすためにふさわしい共通の条件があります

  1. 一定の収入があること
  2. 本人と生計を同一にしていないこと
  3. 二親等以内の親族ではないこと

これらが条件となりますので、1つずつ見ていきましょう。

1.一定の収入があること

一定の安定した収入があることが、身元保証人の第1条件です。

収入がない場合、身元引受人を引き受けてもらっても、会社から認められないケースもあります。

損害賠償責任が生じた際に収入がなければ、身元保証人の責任を果たすことができないからです。

  • 正社員で毎年一定の収入がある
  • アルバイトでも勤続年数が長く安定している
  • フリーランスでも毎年安定した収入がある

このように身元保証人に一定の収入があることは重要なポイントです。

2.本人と生計を同一にしていないこと

本人と生計が同一である場合、身元保証人になれないケースもあります。

本人が損害賠償責任に応じられない場合、生計を同一にしている人も責任を果たせない可能性が高いからです。

その場合、次のような人に頼むことになります。

  • 別々に暮らし、収入がある兄弟
  • 別々に暮らしている親戚
  • 収入のある先輩や友人

同居している親や配偶者は生計を同一にしているため、このケースでは身元保証人になれません。

3.二親等以内の親族ではないこと

二親等以内の親族が身元保証人になれないケースもあります。

会社としては、万が一の場合、関係性が近いと保証できないリスクが高いと考えるのです。

親、兄弟はもちろん、祖父母も二親等以内の親族に含まれます。

  • 頼りになる友人
  • 恩師や先輩

このように親族以外の人にお願いするのが現実的でしょう。

もちろん会社によっては、この条件がないところも多くあります。

ですが、今回紹介したように二親等以内の親族ではないことが条件の場合もあるので、契約内容をきちんと確認しなければなりません。

仕事の身元保証人は誰に頼むべき?4つの例を紹介

身元保証人を頼む相手

身元保証人は収入があれば誰に頼んでもよいというものではありません。

環境は人それぞれ異なりますが、身元保証人を頼むべき人はある程度決まっています

  1. 両親
  2. 配偶者
  3. 親族
  4. 友人

4つの例を紹介しますので、誰に頼むべきなのか見ていきましょう。

1.両親

一般的に身元保証人は両親に頼むものです。

大きな責任が伴いますので、特別な事情がない限りは両親が理想的といえます。

  • 両親が働いておらず、年金受給者
  • 両親と連絡をとっていない
  • 両親に保証能力がない

このような事情がない限り、両親に頼むのが望ましいでしょう。

2.配偶者

配偶者も身元保証人として相応しいものです。

身元の正確さを重視するという位置づけで配偶者は身元保証人に適しています。

  • 専業主婦の場合
  • パートタイマーで自分の扶養家族の場合

配偶者がこのように収入面で不安がある人もいます。

しかしそういった場合でも、配偶者は当事者と最も近い存在なので、身元保証人に相応しいといえます。

3.親族

「両親」だけでなく、条件に合致していれば、親族にも身元保証人を依頼することは可能です。

育った環境によっては頼りになる親族がいる人も多いでしょう。

候補が何人かいる場合は次の点をポイントに優先順位が高くなります。

  • 収入の安定性
  • 年齢の若い順
  • 近くに住んでいる人

頼れる親族がいる場合、身元保証人を頼むことは問題ありません。

4.友人

友人でも身元がしっかりしていて、安定的な収入があれば身元保証人になれます。

親族と疎遠になっている場合など、友人の存在は大きいものです。

  • 両親が高齢で収入がない場合
  • 配偶者に収入がなく扶養家族となっている場合
  • 身寄りがない場合

このようなケースでは現役で働いている友人に頼むべきです。

仕事の保証人を頼むときに覚えておくべき2つの注意点

保証人を頼むときに覚えておくべき注意点

身元保証人を頼む時にはどんなに親しい間柄であっても、注意点があります。

下の注意点を理解しないで依頼すると、信頼関係を壊しかねません

  1. 会社が指定する条件に合う人に依頼する
  2. 身元保証人についてきちんと説明する

それぞれどのような点に注意すべきか確認しましょう。

1.会社が指定する条件に合う人に依頼する

身元保証人を依頼するのは、会社が指定する条件に合う人でなければなりません。

せっかく、引き受けてもらっても会社に受け入れてもらえなければ、その人に迷惑をかけてしまいます

  • 会社が指定する条件を正確に把握する
  • 条件に合う人の中で、最も信頼できる人に依頼する
  • 条件に合うか不安な場合は会社に事前相談する

責任が伴うことなので、条件はしっかり確認したうえで依頼するべきです。

2.身元保証人について丁寧に説明する

家族はもちろんのこと、親族や友人に身元保証人を依頼する際は、丁寧に説明する必要があります。

借金の連帯保証人のように「保証人」という言葉をネガティブにとらえる人は多いです。

そのため、あなたとの関係性が遠ければ遠いほど、綿密に身元保証人の説明をする必要があるでしょう。

  • 身元保証人の役割
  • 身元保証人の期間
  • 身元保証人の責任限度と保証額

これらを丁寧に説明し、不安感を払しょくしてから依頼することをおすすめします。

仕事の身元保証人に関する3つの疑問点

身元保証人に関して疑問に思うこと

実際に身元保証人を決めても、会社に提出する際に疑問点がでてくるでしょう。

身元保証人契約は頻繁におこなうことではないので、具体的な手続きはわかりにくものです。

今回は疑問になりやすい点と3つをあげました。

  1. 身元保証書は提出しなければいけないのか
  2. 保証人欄は代筆可能か
  3. 身元保証人の印鑑証明は必要か

気になる点ですので、1つ1つ解説していきます。

1.身元保証書は提出しなくてはいけないのか

会社から身元保証書の提出を求められた場合、必ず提出しなければなりません。

会社にとって身元保証書は、万が一の場合の保険という立ち位置です。

よって身元保証書の提出を義務付けることは合理的なことといえます。

  • 身元保証書には法律で有効期限が定められている(3年〜5年)
  • 身元保証書の提出を拒否したため、解雇された事例がある

このような理由から、会社から求められた身元保証書は提出すべきです。

2.保証人欄は代筆可能か

身元保証人欄は必ず本人に記載してもらまなければなりません。

安易に代筆してしまうと、私文書偽造で訴えられる可能性もあります。

  • 実家が遠方で両親にお願いするとき
  • 遠方の親戚にお願いするとき
  • 恩師や先輩など目上の人にお願いするとき

このようなときは、代筆をしてしまおうと思うかもしれません。

しかしながら、代筆は犯罪行為です。

早めに連絡をし、必ず本人に書いてもらいましょう。

3.身元保証人の印鑑証明は必要か

身元保証人の印鑑が実印指定の場合、印鑑証明書が必要です。

次の理由から会社は印鑑証明書の提出を求めます。

  • 実印が本物であるのを確認するため
  • 印鑑証明書は本人しか取得できないため、提出によって保証人の意思を確認するため

提出書類をきちんと確認し、早めに印鑑証明書を準備してもらいましょう。

仕事の保証人がいない場合におこなうべき2つの解決策

身元保証人が立てられないときにすべきこと

会社から指定された身元保証人がいない場合でも解決策はあります。

苦労して就職が決まった会社を、身元保証人がいないという理由であきらめるのはもったいないことです。

  1. 会社に相談する
  2. 身元保証人代行サービスを利用する

2つの解決策を説明しますので、見ていきましょう。

1.会社に相談する

身元保証人がいない場合、まずは会社に相談するべきです。

会社は採用を内定した人には入社してほしいため、柔軟に対応してくれます

  • 本来2人必要の保証人を1人だけでよいとしてくれる
  • 親族でなければならないところ、友人でもよいとしてくれる
  • 身元保証人そのものを不要にしてくれる

このような対応をしてくれる可能性がありますので、まずは状況を会社に相談してみましょう。

2.身元保証人代行サービスを利用する

身元保証人が見つからない場合、身元保証人代行サービスをつかうのも1つの方法です。

一定のお金を払うことは必要ですが、代行サービス会社が身元保証人を引き受けてくれます

悪質な業者もありますので、下の点を意識して選びましょう。

  • 弁護士など有資格者が運営する会社であること
  • 価格は相場の50,000円程度であること
  • サービス範囲が明確で追加料金がかからない

会社に相談した上で、身元保証人代行サービスを利用しましょう。

まとめ:就職・転職の際は身元保証人を見つけておけると安心

就職や転職の際は身元保証人が必要です。

ギリギリになって焦ることがないように、会社との契約はしっかり確認しなければなりません

  • 身元保証人の責任範囲
  • 身元保証人を頼むべき人はどのような人か
  • 身元保証人を頼むときの注意点

これらを理解し、早めに身元保証人を見つけて、依頼すると就職や転職の際に安心です。

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