ベンダーとは?IT業界での立ち位置や関係するビジネス用語9種類を解説
「ベンダーって何?」
「聞いたことはあるけど詳しい意味はわからない」
と困っている方も少なくないのではないでしょうか?
ベンダーは、IT業界でよく使われる言葉のひとつです。
この記事では、
- ベンダーの概要
- ベンダーに関連するビジネス用語
- 日本の代表的なITベンダー企業例
などについて、詳しくご紹介していきます。
ベンダーへの理解を深めたい方は、ぜひ最後まで読み進めてくださいね。
ベンダーとは?
ベンダーとは、英表記で「vendor」と書き、「ベンダ」と呼ばれることもあります。
もともとは、「売り手」を意味する言葉であり、製品やサービスを直接販売する会社を指します。
コンピューター、ソフトウェアなどIT関連製品の販売業者を指すケースが多いですが、食品業界など他の分野でも使われる用語です。
また、自動販売機もベンダーと言います。
飲料業界では、自動販売機の運営・設置を行う企業を「ベンダー」または「ベンダー企業」と呼んでいることも覚えておきましょう。
ベンダーに関連する用語3つ
「ベンダー」には、関連する用語も数多くあります。
混乱しないためにも、それぞれの意味を理解し覚えておきましょう。
ここでは、ベンダーに関連する代表的な3つの用語をご紹介します。
それではさっそく見ていきましょう!
1.メーカー
「メーカー」は英語で「maker」と表記し、製造業者や製造元を指す言葉です。
つまり、ベンダーが販売する製品を作る製造業者ということ。
また、IT業界では製造と販売を1つの会社で行うケースも少なくありません。
そのため、ベンダーとメーカーが区別されないケースもあります。
代表的なのは「アイリスオーヤマ」です。
アイリスオーヤマは、「メーカーベンダー」と呼ばれる独自の業態を誕生させました。
メーカーとベンダーの機能を併せ持ち、商流コストや物流コストのムダを省くなど多くのメリットを生んでいます。
(出典:アイリスオーヤマ)
2.サプライヤー
「サプライヤー」は、英語で「Supplier」と表記します。
サプライ(supply)とは「配給」という意味があり、その名の通り仕入先や供給元といった意味を持ちます。
たとえば、農家から買い取った果物を直接スーパーで販売するケースで考えてみましょう。
このとき農家はスーパーに野菜を提供しています。
そのため、農家はスーパーからするとサプライヤーであると言えるのです。
このように、供給先と供給元という関係がなりたてばサプライヤーと呼べます。
ベンダーとサプライヤーの違いは、「配給先」です。
ベンダーは仕入れた商品を消費者へ販売する会社を指します。
一方で、サプライヤーは消費者ではなく企業に対して商品を販売しています。
- ベンダー=消費者への配給
- サプライヤー=企業への配給
と覚えておくとよいでしょう。
3.ユーザー
「ユーザー」は、英語で「user」。
その名前の通り、商品の使用者や利用者を指す言葉です。
ITの分野では、ソフトウェアやシステム、サービスなどを使う人や集団を指します。
ベンダーとは対義語として使われることが多く、売買においては、
- 売り手:ベンダー
- 買い手:ユーザー
という仕組みになります。
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ベンダーを含むビジネス用語9種類を解説
ベンダーとは、製品やサービスを直接ユーザーに販売する会社を指す言葉でした。
ベンダーはIT業界でよく使われる言葉のひとつです。
他の用語と組み合わせて使われることも多く、さまざまな意味を持ちます。
では実際に、どのような用語があるのでしょうか?
ここからは、ベンダーを含む9つのビジネス用語をご紹介していきます。
それぞれの特徴を理解し、1つずつ覚えていきましょう!
それでは順番に解説していきます。
1.シングルベンダー
「シングルベンダー」には2つの意味があります。
1つ目は、1つの会社の製品のみを扱う販売会社のこと。
そして2つ目は、システム構築を行う際に使用する機器のメーカーを1つに絞ることです。
1つのベンダー製品のみを組み合わせてシステム開発を行えるため、シングルベンダーには開発効率が上がりやすいメリットがあります。
2.マルチベンダー
「マルチベンダー」は、シングルベンダーの反対の意味で使われる言葉です。
シングルベンダーと同じように、マルチベンダーも2つの意味を持ちます。
1つ目は、複数のメーカー製品を販売する会社のこと。
そして2つ目は、複数のメーカーの製品を使ってシステムを構築することです。
マルチベンダーは製品を選ぶ選択肢が増えることから、コストを下げてシステム開発を行えるメリットがあります。
3.ベンダーコントロール
「ベンダーコントロール」とは社内SEのひとつで、エンジニアの知識を活かしてシステムを発注する仕事を指します。
社内SEは一般的に、自社のシステム構築や運用保守、ヘルプデスクなどを行う仕事です。
社内システムなどの開発も社内SEの業務の1つですが、大規模な企業や組織では社内だけでシステム開発を行うのは難しくなります。
そんなときには、さまざまなベンダーにシステムの設計や構築などを依頼します。
システム開発において、社内の関係部署や担当者からの要望を的確にベンダー側に伝え、円滑に進めていくのがベンダーコントロールです。
4.ベンダーコード
「ベンダーコード」は、どこのメーカーの製品であるかを特定するコードのことです。
パソコンなどのIT機器には、MACアドレスと呼ばれる固有識別番号がついています。
MACアドレスには「MAC」とついていますが、MacOSとは関係ありません。
MACアドレスは一般的に12桁の16進数で「00-00-00-XX-XX-XX」と表現されます。
前半6桁がメーカー固有のアドレスで、後半6桁が製品のアドレスです。
つまり、「前半6桁の番号を見ればどこのメーカーの製品かを判断できる」ということです。
すべての製品に違う番号が与えられるため、世界中で同じMACアドレスを持つ製品は存在しません。
5.ベンダーロックイン
「ベンダーロックイン」とは、特定のベンダーの独自技術に大きく依存した製品などを採用した際に、他ベンダーの提供する同種の製品などへの乗り換えが困難になる現象のこと。
簡単に言うと、特定のメーカーや販売会社が、ユーザーを自社製品で囲い込むことと考えるとわかりやすいでしょう。
ソフトウェアによるベンダーロックインの例には、マイクロソフト社の「Microsoft Office」が挙げられます。
Microsoft OfficeはWindows向けソフトウェアであり、違うOSからはファイルが開けないことからベンターロックインの状態にありました。
このように、1つのベンダー独自の製品や技術を採用したことで、後から違うベンターに乗り換えるのが難しくなる現象をベンダーロックインと言います。
6.開発ベンダー
「開発ベンダー」とは、販売だけでなくIT製品の開発も行うベンダーを指します。
つまり、製造から販売まで行う企業のことです。
IT業界では、自社で開発・製造した製品を販売している企業が少なくありません。
開発ベンダーと聞いたら、製品やサービスの開発を自社で行い、ユーザーへの販売も行っている企業であると覚えておきましょう。
7.ベンダー資格
「ベンダー資格」とは、ソフトウェアやネットワーク機器などのIT関連製品を製造・販売するベンダーが運営する民間資格制度のこと。
主なベンダー資格には、
- AWS認定
- シスコ認定コンサルタント
- マイクロソフト認定プロフェッショナル
- オラクルマスター
- Linux技術者認定
などがあります。
これらに合格することで、一定のスキルの保有を証明できます。
そのため、就職活動やキャリアアップのために取得する人も多くいます。
8.ベンダープレフィックス
「ベンダープレフィックス」は、記述したプロパティが拡張機能であることを、各ブラウザに示すために使われる識別子です。
勧告されたばかりのプロパティにベンダープレフィックスをつけることで、ブラウザは新しいプロパティに対応できます。
ベンダープレフィックスにはさまざまな種類があり、対応させるブラウザによって使い分けなくてはいけません。
たとえば、以下のような決まりがあります。
- Google Chromeには「-webkit-」
- Internet Explorerには「-ms-」
ただし、仕様が変更されたり新しい機能が追加されるなどの可能性もあります。
そのため、新しいプロパティを使用する際はベンダープレフィックスをつけないプロパティも併用して記述しておく必要があることも覚えておきましょう。
9.ITベンダー
「ITベンダー」は、企業が必要とする情報技術に関連した機器やソフトウェア、システムなどを販売する企業のこと。
情報システムを購入して使用するユーザー企業からは、SIer(システムインテグレータ)と呼ばれることもあります。
ただし、一般的なITベンダーとSIerには違いがあることを覚えておきましょう。
ITベンダーは製造した商品をユーザーに販売するのに対して、SIerは顧客によって提供するサービスをカスタマイズします。
SIerについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
SIerを徹底的に解説!SE・自社開発との違いや5つの問題点も紹介日本の代表的なITベンダー5選
日本には、どのようなITベンダー企業があるのでしょうか?
ここでは、日本の代表的なITベンダー企業を5社ご紹介していきます。
1.富士通
(出典:富士通)
「富士通」は1935年に日本で創立した日本屈指の大手企業のひとつ。
IDCが発表した「国内ITサービス市場ベンダー 売上ランキング」で富士通は1位を獲得しました。
(出典:IDC )
富⼠通グループは、⽇本を含む世界6リージョン180カ国以上で事業を展開しており、グローバルなサービス体制を築いています。
その高い技術力と豊富な実績において、ITサービスでは国内No.1、グローバル上位のシェアを占めています。
2.日立製作所
(出典:日立製作所)
1910年に創業した「日立製作所」。
世界有数の総合電機メーカーとしても知られています。
IDCが発表した「国内ITサービス市場ベンダー 売上ランキング」で日立製作所は2位を獲得しました。
(出典:IDC)
日立製作所は、ITセグメント、エネルギーセグメント、インダストリーセグメントなど、合計8つの事業部門を抱えています。
IT事業ではシステムインテグレーション、情報処理機器および通信機器等の開発を主に行っています。
IoTと連携するクラウドコンピューティング関連事業を強化しているのも日立製作所の特徴のひとつです。
3.NTTデータ
(出典:NTTデータ)
「NTTデータ」は、1988年に設立された大手企業。
IDCが発表した「国内ITサービス市場ベンダー 売上ランキング」でNTTデータは3位を獲得しています。
(出典:IDC)
NTTデータは、中央官庁や地方自治体向けのシステム開発を得意としている企業です。
システムインテグレーション、ネットワークシステムサービスなど、ITに関する事業を幅広く展開しています。
4.NEC
(出典:NEC)
「NEC」は1899年に設立した日本の大企業のひとつ。
2020年には、ハワイ州の主要5空港に、生体認証・映像分析技術とサーマルカメラを組み合わせた感染症対策ソリューションを提供したことでも話題になりました。
IT事業においては国内の通信事業者向けに、ネットワーク構築に必要な機器や運用管理のための基盤システム、運用サービスなどを提供しています。
5.日本IBM
(出典:日本IBM)
「日本IBM」は米IBMの日本法人。
ハードウェアの販売、ソフトウェア・情報システムの開発などを行う大手ITベンダー企業です。
ビジネスに活用できる自社開発のAIサービス「IBM Watson」も注目を集めています。
他にも、「CIMON」「US Open」など、さまざまな領域でAIを活用したサービスを提供しています。
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まとめ:ベンダーはIT業界でよく聞く言葉
今回は「ベンダー」の概要や、関連するビジネス用語を中心にご紹介しました。
ベンダーは、IT業界でよく使う用語のひとつです。
これからIT業界への就職や転職を目指す方はぜひ本記事を参考に、ベンダーへの理解を深めてくださいね。
また、IT業界には専門用語が多くあります。
IT業界でおさえておくべき用語について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。