月給と手取りの違いは?平均の金額も詳しく解説!
皆さんは月給と手取りが何かをしっかりと理解できていますか?
簡単な違いは、月給は支払われる報酬そのもの、手取りは税金や保険料を抜いて残った金額です。
この意味はなんとなくではわかっていても、詳しい定義や違いを知らない方は意外と多いのではないでしょうか。
今回は、少し曖昧な「月給」と「手取り」についてその違いを詳しく解説していきます!
月給と手取りについて
例えば転職活動をしているとします。
その時に、月給や手取りの認識が違うまま、転職条件の交渉をすると、給与をもらった後に「思っていたより少ない……」ということになりかねません。
それを防ぐためにも、月給や手取りなどの単語の意味の違いを理解しておきましょう。
月給と月収の違い
まず「月給」とは『基本給+固定手当』のことを指しています。
そして「月収」とは『基本給+固定手当+変動手当』のことを表します。
基本給は、その名の通り、基本的な給料なので通勤手当や残業手当、役職手当などの各種手当は含まれません。
また、各種手当も大きく分けて2種類あります。
固定手当は住宅手当や役職手当などの毎月固定で支払われる手当です。
変動手当は、通勤手当や残業手当などの状況や月によって変動する手当のことです。
固定手当、変動手当については後ほど更に詳しく解説します!
手取りとは
給与明細には「総支給金額」(基本給に各種手当を含めた額、いわゆる『額面給与』)の欄がありますよね。
「手取り」とは、この「総支給金額」から、所得税や住民税などの各種税金、年金や健康保険料などといった社会保険料が「控除」として引かれた金額のことを言います。
一般的には、社会保険や所得税などは、源泉徴収として銀行口座に振り込まれる時点で差し引かれます。
こうして差し引かれた給与明細の「差引支給額」の部分が手取りとなります。
ここで注意して頂きたいのが「総支給金額」として提示された金額が、そのまま「使える金額」ではないことです。
この「使える金額」のことを「可処分所得」という言い方をすることも覚えておくと便利です。
読んで字のごとく「処分することが可能な所得」という意味です。
つまり、使うことが可能な金額が、「手取り」として表記されています。
一般的には手取りは総支給金額の75~85%と言われており、おおまかな金額を計算するだけなら、今の月収や年収に0.75~0.85を掛けてみれば大体の金額が分かります。
逆算したい場合は、自分の手取りに1.25を掛ければ大体の月収が分かります。
加えて、平均的な月給と手取りの差は、大体月給の25%ほどになることが多いそうです。
また、厳密には同じ額面給与であっても、手取り額の割合には幅があります。
その理由として、前年の年収や養っている家族の人数など、さまざまな要素で「控除」として引かれる金額が変化するからです。
他にも、所得税は累進課税なので、給与が高くなれば所得税率も上がっていくでしょう。
そう考えると、手取りの割合は、60万円を超えたあたりで75%を切ることが分かります。
控除とは
まず、控除が適用されるのは給与明細の「総支給金額」です。
この総支給金額から、所得税や住民税、社会保険料などを天引きすることを「控除」と呼びます。
控除は大きく分けると「給与所得控除」と「特定支出控除」の2種類があります。
「給与所得控除」は、給与収入にあわせて一律で控除されるものです。
「特定支出控除」は、一定の金額を超えた場合に確定申告によって給与所得控除をした後の所得より超過分を控除できるというものです。
一定の額の基準は、平成28年以降、給与所得控除の半分となりました。
なお、特定支出控除として認められるのは、通勤費、転居費、研修費、資格取得費、職務に直接必要な衣服費や接待交際費などです。
給与収入 ― 給与所得控除 ― 特定支出控除 = 給与所得
源泉徴収について
「源泉徴収」とは、会社が社員の給与から、所得税を天引きして国に支払った金額です。
上記の控除の一部である所得税の天引きに当たります。
納税の義務があるとおり、働いて給与を得た人は、所得税を納める必要がありますね。
この所得税の支払いを、個人に代わって会社が行なってくれており、その支払および仕組みのことを「源泉徴収」と呼んでいます。
月給や手取りの仕組みを理解する上で覚えておきたい仕組みです!
年収と月収の関係
まず「年収」とは、各種税金や各種保険料を差し引く前の年間の総支給金額です。
年収にはボーナスや、そのほかの副収入も含まれます。
単に「年収」ではなく、「税込年収」や「額面年収」等と呼ばれることもあります。
ちなみに、年収を12カ月で割ったものが月収になりますが、単純に月収×12が年収になるとは限らないのでご注意ください!
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会社から支給されるお金の例
ここでは、前述した基本給や固定手当、変動手当について詳しく解説していきます。
()内は固定手当と変動手当のどちらに当たるかを表しています。
お金の種類 | 内容 |
基本給 | 給与の基本となるお金。各種手当やインセンティブは含まない。 |
時間外手当(変動) | 会社が決めた所定の労働時間を超えて働いた場合、または法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いた場合に加算される手当。法廷労働時間を超えて働いた場合は、通常の賃金の25%以上割り増しされた賃金が支払われる。 |
通勤手当 (変動) | 通勤にかかる費用を補助するために支給される手当。通勤手当。 |
資格手当(固定) | 会社が定めた資格を保有している人に対して支給される手当。資格の種類に合わせて一定額が支給されるのが一般的。 |
役職手当(固定) | 管理職などの役職者に対して支給される手当。役職に合わせて一定額が支払われるのが一般的。 |
家族手当(固定) | 扶養家族がいる社員に対して、生活費などの補助を目的に一定額支給される手当。 |
住宅手当(固定) | 家賃補助や住宅ローンなど、住宅費を補助するために支給される手当。 |
控除されるお金の例
次は控除されるお金の代表的な例を見ていきましょう。
お金の種類 | 内容 |
健康保険料 | 健康保険に加入するためのお金。健康保険に加入していると、医療サービスや原則3割の自己負担で受けられたり、医療費が高額になったときの軽減措置を受けられたり、ケガや病気で働けなくなったときに手当金を受け取れる。保険料は、収入と保険者(加入している保険組合)によって異なり、算出された保険料と会社と社員が分割して負担する。 |
介護保険料 | 介護保険制度の財源として利用されるお金、40歳以上64歳以下の人は、健康保険料と合わせて支払わなければならない。保険料は、収入と保険者(加入している保険組合)によって異なり、算出された保険料を会社と社員が半分ずつ負担する。 |
厚生年金保険 | 厚生年金に加入するためのお金。公的年金制度には国民年金保険と厚生年金保険の2種類があり、会社員の場合は厚生年金保険に加入するのが一般的。一定期間、保険料を納めることで、原則として65歳になったとき「老齢年金」を受け取れるようになる。保険料は収入によって異なり、算出された保険料を会社と社員が半分ずつ負担する。 |
雇用保険 | 雇用保険に加入するためのお金。一定期間、雇用保険に加入していると、失業時に手当を受け取れるようになる。保険料は収入と勤めている会社の事業内容によって異なる。 |
所得税 | 所得のある人が納める税金。毎月の給与から概算払いをするが、年末調整あるいは確定申告で払いすぎた金額は清算・還付される。所得が多いほど金額は大きくなる。 |
住民税 | 1月1日時点で住んでいる都道府県、市区町村に支払う税金。年間の課税所得に応じて金額が決定される。 |
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月給の多い業種は何?
ここまで、月給や手取りについて解説してきましたが、実際に月給が多い業種とは何でしょうか?
金融、保険業界
厚生労働省の2019年度賃金構造基本統計調査によると、一番平均月給が高いのは金融、保険業でした。
この業界は平均月給だけでなく平均年収でも上位にあり、安定した収入が見込めます。
また、この業界の中で最も収入が高かったのは投信・投資顧問部門で、全体の平均が648万円となりました。
※DODA 平均年収ランキング最新版による調査結果
IT・通信業界
また、近年着々と平均年収を伸ばしているのが、IT・通信業界です。
DODA 平均年収ランキング最新版によると、プロジェクトの管理、推進を行うプロジェクトマネージャーでは全体の平均年収が656万円となりました。
また、近年のエンジニア不足や、IT業界の急成長という背景もあり、IT・通信業界の平均月収、平均年収は年々上がっています。
加えて、長時間業務などの待遇面が徐々に改善されたり、フリーランスなどのキャリアパスが広がるなど、とても見込みのある業界になっています。
サラリーマンの平均的な手取りは?
月給や年収の多い業種をご紹介しましたが『全体的なサラリーマンの手取りはどうなっているのか?』皆さん気になりますよね!
「新卒の平均的な手取り」「年齢別での手取り」を男女別のデータを踏まえ、ご紹介します!
新卒の平均的な手取り
厚生労働省の2019年度賃金構造基本統計調査によると、大学を卒業した人の初任給は平均21万200円という結果になりました。
控除される社会保険料のうち、健康保険と厚生年金は翌月控除としている会社が多いです。
そのため、この二つの社会保険料は初任給からは引かれません。
よって大学卒業者の初任給の手取りは約20万1500円と、初任給と比べてあまり減りませんね。
しかし、翌月からは健康保険と厚生年金の控除が始まります。
そのため、80%が手取りになるとして単純計算すると、約16万8200円となります。
また、大学卒業者の初任給を男女別で見ると、男性の21万2800円に対して女性は20万6900円となっており、5900円の差が出ています。
年齢別の平均的な手取り
【引用】令和元年民間給与実態調査結果 https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf
次に、年齢別では月収をいくらくらいもらっている人が多いのでしょうか?
グラフは年齢と年収を表しているので月収を計算すると、20代の前半の男性では平均23.6万円、女性はやや少ない平均20.7万円となっています。
20代後半になると男性で平均33.6万円、女性で平均27.2万円となります。
男性は、その後年齢が上がるにつれて平均月収は上がり50代前半がピークになっています。
30代前半で平均39.1万、30代後半では平均44.0万円前後となっています。
一方女性は、30代から50代前半にかけてグラフはほとんど変化していません。
もちろん昇給し続ける女性もいますが、平均的に見ると女性は30代からは昇給しづらいようです。
これらの背景として、女性は結婚や出産、育児といったライフイベントがあります。
それらにより、働き方が変わるなどして収入に影響があると考えられます。
転職活動時の手取りに関する注意点
最後に、転職活動時などに気をつけるべき点を4点ご紹介します。
求人情報の給与は手取りではない
勘違いされやすいのが、求人情報などで目にする給料です。
基本的に求人情報の給料は、手取りではなくおおよその総支給金額です。
なので、求人情報の給料がそのままもらえると思っていたら、実際の振り込まれた金額は少なかった…なんてことにならないように気をつけてください。
求人情報の、大体の手取り金額を知りたい場合は給与情報に0.75~0.85を掛けてみましょう。
希望する給与は総支給金額で伝えよう!
転職活動時には、雇い主側と給与条件を交渉する場合があると思います。
そういった自分から給与を提示する場面では必ず総支給金額で伝えるようにして下さい。
そうでないと、自分側からは手取りで提示したつもりでも、雇い主側では総支給金額として認識され、実際の手取りが減ってしまう可能性があります。
なので、給与に関する話し合いでは、総支給金額(額面給付)で伝えることを覚えておきましょう!
前職、現職の給与も額面で伝える!
給与の話し合いでは、前職や現在の給料を伝える場合があるかもしれません。
その場合は雇い主側では、前職や現職の給料を参考にして、給料を決める場合があります。
これは上記と同じく、総支給金額として雇い主側は認識します。
なので、手取りを伝えてしまうと給与条件が低く設定されてしまう可能性があります。
こうならないためにも基本的には、給与条件を話し合う場合、総支給金額で伝えるようにしましょう。
月収より、基本給に注目すべき
転職時には月収に注目するのも大切ですが、基本給にも注目してみましょう。
基本給は、働くことで得られるさまざまなお金を計算する場合の基準になっていることは既にお伝えしました。
代表的な例が時間外手当(残業代)です。
法律上、「時間外手当」は会社が決めた所定の労働時間を超えて働いた場合、または法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いた場合に加算される手当です。
この手当は、通常の賃金の25%以上割り増しされた賃金が支払われますが、この場合の通常の賃金とは「基本給」になります。
よって、基本給が多い方が時間外手当も増えるということです。
具体的な例でいうと、月収は同じく20万でも、その内訳が「基本給20万」と「基本給15万+各種手当」では前者の方が手当がついた場合、給料が高くなることが予想されます。
他にも、基本給はボーナスや退職金にも影響を与えます。
基本的に多くの会社で、ボーナスは「基本給 × ◯ヶ月分」といった計算をされます。
なので、ボーナスが「基本給×3ヶ月」の場合、上記の基本給では「20万×3=60万」と「15万×3=45万」で15万円もの差がついてしまうのです。
退職金も同様に、「退職時の基本給(算定基礎額)×勤続年数ごとの係数×退職事由別の支給率」といった計算で金額が算出されることがあります。
よって、月給に占める基本給の割合が少ない会社に勤めていると、想定よりも退職金の金額が少なくなってしまう可能性があります。
ボーナスや残業代、退職金は収入を考える上で非常に重要なお金です。
転職してから、予想と全然違うといった状況にならないように、入社前にしっかりと確認することをおすすめします。
また、基本給の定義や賃金の計算方法は会社によって異なります。
採用担当者とコミュニケーションをとったり、就業規則を確認するなどして算出方法を把握しておくと安心ですね。
まとめ
今回は月給と手取りの違い、そこに関連するお金の仕組みを解説してきましたがどうだったでしょうか。
最後に、月給や月収、手取りについておさらいしましょう。
- 月給:「基本給」と、役職手当や資格手当のような「固定手当」を合わせたもの
- 月収:「基本給」と「固定手当」、残業代のような「変動手当」、ボーナスを合わせた年収を12で割った数字
- 手取り:月収から税金や社会保険料を差し引いたもので、実際に労働者の手元に入るお金
それぞれ混同されやすいですが意味が違うので、しっかりと認識しておきましょう。