運用保守エンジニアとは。SEで運用保守の仕事をするメリットとデメリットを解説
「システムエンジニアの運用と保守の仕事は、どんな仕事なのだろうか?」
「SEの運用や保守の違いが知りたい」
と思うことはありませんか?
システムエンジニアの運用保守の仕事に興味があっても、実際にはどのような仕事なのかで迷ってしまいますよね。
では、システムエンジニアの運用・保守の仕事にはどのようなものがあり、それぞれの違いは何なのでしょうか?
そこで今回は、
- システムエンジニア業務での運用と保守の違い
- システムエンジニアとして運用保守をするメリット・デメリット
- システムエンジニアに必要な能力・スキル
について詳しく解説します。
この記事を読めば、システムエンジニアの仕事の中で、運用保守がどのようなもので、その違いが何なのかまで理解できます。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
システムエンジニアの運用・保守の違い
システムエンジニアの運用と保守の仕事でどう違うのかを見ていきましょう。
同じにされることも多いですが、実は違いがあるのです。
- システムエンジニアとは?
- システムエンジニアの運用とは?
- システムエンジニアの保守とは?
それぞれの特徴を見ていきましょう。
1.システムエンジニアとは?
まずは、そもそもシステムエンジニアとは何かを見ていきます。
システムエンジニアと一言で言っても、さまざまな役割や業務があるからです。
例えば、システムエンジニアだと以下のような業務をおこないます。
- 要件のヒアリング
- 要件の定義
- 基本・詳細の設計
- 検証
- 運用・保守
プログラムやシステム開発のどの工程に関わるかにより、業務が分かれているのです。
2.システムエンジニアの運用とは?
システムエンジニアにおける運用業務とは、システムやプログラムの稼働においてとても大切な仕事のひとつです。
運用担当のシステムエンジニアは、以下のような役割を担っています。
- プログラムやネットワークなどの監視
- データの確認や管理、バックアップ
- セキュリティリスクのチェック
- 運用のマニュアル作り
システムを理解しているからこそ、トラブルをすぐに検知できます。
システムエンジニアがおこなう業務の中でも、とても大切な仕事のひとつといえるでしょう。
3.システムエンジニアの保守とは?
システムエンジニアの保守業務では、突発的におこる仕事への対応が求められます。
その仕事内容は主に、急に発生したトラブルへの対応やトラブル元の修正・改善をおこなうことなどです。
具体的には、バグの修正をおこなったり、システムのアップデートをおこなったりします。
運用担当が監視して発見したエラーやバグを、保守担当で直していくのです。
SE(システムエンジニア)とは?仕事内容・スキル・年収・資格など徹底解説システムエンジニアで運用保守の仕事をするメリット6選
こちらでは、システムエンジニアで運用保守の仕事をするメリットについてみていきましょう。
システムエンジニアの仕事の中でも、開発過程の仕事とは大きく異なります。
- スキルアップしやすい
- システムの全体が見える
- 高度な専門知識が不要
- 問題解決力が身につく
- コミュニケーションの能力が上がる
- 安定している
ひとつずつ見ていきます。
1.スキルアップしやすい
運用保守の業務のメリットとして、スキルアップしやすいことが挙げられます。
なぜスキルアップしやすいかというと、幅広い知識が必要とされることや、短い期間で問題解決を求められることが多いからです。
とくにトラブル対応では以下のような知識が求められるでしょう。
- ハードウェア
- OS
- サーバー
- ネットワーク
- システム
最初からすべて知っている人は少ないので、業務を通じて力がついていきます。
2.システムの全体が見える
システムの全体が見えるのも、運営保守の仕事の良いところです。
全体が見える理由は、トラブルやその原因を発見するために、システムの一部分だけでなく、利用者側からやシステム内部からなど、広範囲で監視する必要があるから。
システム全体を見渡して、異常がないかを確認するのが仕事なのです。
システムがどのように動くのかを見られるのは、大きなメリットといえるでしょう。
3.高度な専門知識が不要
運用保守の仕事では、必ずしも専門性の高い知識が必要というわけではありません。
なぜなら、ITにそこまで詳しくない社員やユーザーへの対応を求められる仕事でもあるからです。
例として、以下のようなものは運用保守担当がおこなう仕事の一部です。
- 導入した製品の電源が付かない
- Wi-Fiにうまくつながらない
- システムの使い方をもう一度詳しく教えてほしい
未経験でも始めやすいのが、運用保守の仕事といえるでしょう。
4.問題解決力が身につく
問題解決力が身につくのは、運用保守の仕事ならではのメリットといえます。
その理由としては、開発時には予期していなかったシステムトラブルの解決を求められるのが仕事だからです。
例えば、以下のような対応が事例として挙げられます。
- 導入した数十台の端末が動かなくなった
- ログやデータが正しく書き込まれない
- システムのバグが原因で、情報漏洩の危機
どんなシステムも、導入時には万全の態勢で納品するものです。
それでも予期できなかったトラブルに対応するので、問題解決力が身についていきます。
5.コミュニケーションの能力が上がる
エンジニアとして、運用保守の仕事に携わると、コミュニケーション能力が上がります。
なぜかというと、運用保守の業務では、直接システムに手を加えるだけでなく、困っている人とシステムの間に入って、問題を解決するのが仕事だからです。
ときには自分だけでは解決できない問題もあるでしょう。
そんなときには、焦っている使用者をなだめたり、安心させたりするのも仕事のうち。
コミュニケーション力が自然と上がっていくのが、運用保守の仕事といえます。
6.安定している
運用保守の仕事は安定しているのがメリットといえます。
その理由は、大きなトラブルがない限りは、パターン化されたルーティン業務が多いからです。
システムを開発したら、必ず運用や保守の担当は必要になります。
自分の専門性に自信が無い方は、安定した運用保守の業務で、少しずつ知識を身につけていくのが良いといえます。
システムエンジニアで運用保守の仕事をするデメリット3選
システムエンジニアで、運用保守の仕事をするデメリットも見ていきましょう。
なぜなら、運用保守の仕事には、メリットだけでなくデメリットも存在し、事前に知っておくべきだからです。
- 給与が低め
- 専門的な知識が身につきにくい
- 拘束時間が長い
ひとつずつ見ていきましょう。
1.給与が低め
システムエンジニア業務の中でも、運用・保守を担当すると、給与が低めになってしまうことがあります。
その理由としては、高い専門性が必要とされないケースが多いことが挙げられます。
未経験者でも始めやすいメリットがあるものの、給与が低めなのは、デメリットといえるでしょう。
2.専門的な知識が身につきにくい
専門的な知識が身につきにくいのも、運用保守を担当するデメリットといえます。
システム周りのトラブルなどは、同じ種類のものであるとは限らないからです。
ネットワーク関係のトラブルもあれば、サーバー関係のトラブルや、PC・ハードウェア関係のものもあります。
これをやりたい、学びたいと、身につけたい分野が決まっている人にはデメリットといえるでしょう。
3.拘束時間が長い
運用保守の担当をすると、拘束時間が長くなってしまうことも考えられます。
なぜなら、システムのトラブルはいつ起こるかわからないから。
人が十分にいる会社であれば、正しいシフトが組めるので、業務時間に及ぼす影響は少ないかもしれません。
ただしシステムによっては、休日や夜勤のシフトがあることもあるでしょう。
運用・保守担当のシステムエンジニアに必要な3つのスキル・能力
こちらでは、運用・保守担当のシステムエンジニアに必要とされるスキルを見ていきます。
もしあなたが、運用・保守に興味があるのであれば、今からでも取り組んでみましょう。
- コミュニケーション能力
- サーバー・ネットワークの知識
- ロジカルシンキング
ひとつずつご覧いただきます。
1.コミュニケーション能力
運用・保守の担当に必要な能力として、コミュニケーション能力が挙げられます。
その理由は、さまざまな部署や業種の人とやり取りをすることになるからです。
また、自分だけではすぐに解決できない場合には、急いでいるユーザーに、その理由やアドバイスを適切におこなわなければなりません。
運用・保守のエンジニアには、コミュニケーション能力は必須といえるでしょう。
2.サーバー・ネットワークの知識
サーバーやネットワークについての知識は、運用・保守担当のエンジニアに必要です。
なぜなら、システム周りのトラブルは、ネットワークやサーバーに関するものが比較的多いから。
もし、前もって勉強したいと思っているのなら、サーバーやネットワークについて詳しくなっておくと良いでしょう。
3.ロジカルシンキング
ロジカルシンキングも、運用・保守を担当するなら、必要な知識といえます。
ロジカルシンキングが身に付いていると、問題を解決するスピードが上がるからです。
常日頃から、以下のようなことを心掛けると良いでしょう。
- 日々の問題に仮説を立ててから取り組んで見る
- 仕事やスピーチなどがあれば、その目的を明確にして、進めてみる
- 文章や会話では、結論を話し、その理由をわかりやすく説明してみる
ロジカルシンキングが身に付いてくれば、運用・保守の仕事ではもちろん、ほかの仕事でも役に立つことは間違いありません。
【未経験者向け】サーバーエンジニアとは?キャリアや転職方法を解説運用・保守担当のエンジニアにおすすめの資格4選
運用・保守担当のエンジニアにおすすめの資格をご紹介していきます。
もし少しでも運用・保守の仕事に携わりたいのであれば、勉強を始めておくと良いでしょう。
- 応用情報技術者試験
- ITサービスマネージャ試験
- マイクロソフト認定資格プログラム
- CCNA(Cisco Certified Network Associsiate)
ひとつずつご説明します。
1.応用情報技術者試験
応用情報技術者試験とは、ITの活用に必要な応用的知識を確認する国家資格のひとつです。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営し、12ある試験の中で、最大4レベルあるうちのレベル3に位置づけられています。
試験では以下の知識や技術が問われます。
- 経営戦略
- IT戦略
- システムの企画・要件定義
- システムの運用・管理
- システムの保守
- プロジェクトマネージャーの補佐的役割
応用情報技術者試験を学習すれば、運用・保守に必要な基本的な知識が身につくとされています。
2.ITサービスマネージャ試験
ITサービスマネージャ試験は、IPAが運営する試験の中で、最高レベル4の難易度が設定されているもののひとつです。
とくに企業内での役割が運用や管理、保守に携わる人に向けた資格のため、運用・保守担当のエンジニアは目指すべきだといえます。
合格するのに必要な知識・技術は以下のとおりです。
- システムの計画から運用、評価、改善がおこなえること
- システムの人的リソースや予算などを管理できる
- 導入しているハードウェアやソフトウェアについて、安定して稼働するようセットアップができる
難易度の高い試験ではありますが、学習することで、運用・保守に必要な知識が身につきます。
3.マイクロソフト認定資格プログラム
マイクロソフト認定資格プログラムとは、Windowsなどを手がけるマイクロソフト社が運営している、マイクロソフト製品の知識を認定する試験になります。
なぜこの資格が運用・保守担当に必要かと言うと、Windowsやマイクロソフト製品を導入している企業が多いからです。
資格を取得することで以下のようなメリットがあります。
- マイクロソフト製品を導入している企業では、重宝される
- 学習意欲の高さが証明できる
- いろいろな製品についての理解が深まる
とくにマイクロソフト社の製品を扱っている企業の運用・保守としては、学ぶべきことが多い試験といえます。
4.CCNA(Cisco Certified Network Associsiate)
CCNA(Cisco Certoified Network Associste)とは、アメリカ通信機器メーカーシスコが認定している、ネットワークの基本的な知識が問われる試験です。
運用・保守の仕事では、システムだけでなく、ネットワークに関するトラブル対応も求められるため、未経験者におすすめの試験といえます。
CCNAでは以下のような内容を学習できます。
- ネットワークの基礎
- IPサービス
- セキュリティ
CCNAを獲得することで、運用・保守の担当はもちろん、ネットワークエンジニアの道も開かれるかもしれません。
運用・保守エンジニアの仕事に関する質問
運用・保守エンジニアの仕事に関する質問を見ていきます。
よくある質問を見ておくことで、あなた自身がトラブルに直面したときも、早い解決が期待できます。
- システム運用保守の仕事はきつい?
- ITの運用保守業務がつまらないと言われる理由は?
- システム運用保守の仕事は将来性ある?
それぞれご覧ください。
1.システム運用保守の仕事はきつい?
システム運用・保守の仕事は、きついと言われることがあります。
その理由は、とくにその拘束時間です。
システムは、会社の営業時間とは関係なしに24時間稼働していることがほとんど。
そのトラブル対応を求められるのが、運用・保守なので、業務時間が長引くこともあるでしょう。
きちんと人員を配置して、シフトが組まれている会社に所属すれば、その問題は解決できるかもしれません。
2.ITの運用保守業務がつまらないと言われる理由は?
ITの運用保守業務がつまらないと言われるのは、業務がパターン化してしまうから。
とくにトラブルがないときの対応は、マニュアル通りの確認作業が多くなります。
もちろん、トラブルがないことが望ましいといえるので、運用・保守担当がルーティン通りに行動できるのは会社的には良いことといえるでしょう。
ただし、忙しく、学びたいという方には、少し不向きなところもあるともいえます。
3.システム運用保守の仕事は将来性ある?
システム運用保守の仕事は、将来性があるといえます。
その理由は、各企業は今後ますますIT化を進めていくことになるからです。
IT化を進めれば、そのシステムの運用や保守は必須になります。
また、トラブルなどにより企業が損害を被らないよう、経験者が担当するのが好ましいです。
今から運用・保守の経験を積んでおくことは、将来にも繋がることだといえるでしょう。
ネットワークエンジニアを徹底解説!仕事内容や必要なスキル、平均年収までまとめ:未経験者には、運用・保守エンジニアがおすすめ
当記事では、運用・保守エンジニアについて、その内容やメリット・デメリットなどをご紹介してきました。
- 運用・保守のエンジニアは、高い専門性が必要ないので、未経験者でもやりやすい
- 運用・保守エンジニアのメリットは、幅広くシステムに関われること
- 運用・保守のエンジニアは、今後も需要が高まっていく可能性がある
運用・保守のエンジニアは、きつい・退屈といわれることもあります。
ただし、システムやサービスを運営している企業にとっては、欠かせない、とても大切な役割です。
専門性の高さが問われない仕事なので、未経験者でも始めやすく、いろいろと学べるのが運用・保守の仕事。
当記事でご紹介した資格などを勉強しながら、運用・保守エンジニアを目指してみることをおすすめします。