生成AI(ジェネレーティブAI)とAIの違いとは?ビジネスの活用事例を3つご紹介
現代の私生活およびビジネスシーンにおいて広く普及しており、もはや欠かすことのできない存在となっているのが「生成AI(ジェネレーティブAI)」です。
とはいえ「そもそも生成AIってどういう意味なんだろう」「じつは従来のAIとの違いがよくわかってない」という方は多いのではないでしょうか。
今回の記事では「生成AI」と「従来のAI」の違いをはじめ、生成AIの種類や具体的な活用例についてくわしく紹介していきます。
生成AI(ジェネレーティブAI)とは?
生成AI(Generative AI)は機械学習の分野のひとつで、主な目的は「データをもとに新しい情報を生成すること」です。
生成AIは生成モデルと呼ばれるアルゴリズムを使用し、画像、音声、テキストなどのデータを生成します。
後述でも紹介しますが、仕組みとしては「生成モデル」と呼ばれるニューラルネットワークを通じて入力データを受け取り、そのデータと類似した新しいデータを生成しています。
また代表的なモデルとして敵対的生成ネットワーク(GAN)、変分オートエンコーダ(VAE)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)などが挙げられます。
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従来のAIとの違い
従来のAIと生成AIの主な違いは「0から1を生み出せるか否か」です。
たとえば従来のAIの場合、すでに学習しているデータから最適な答えを模索し、もっとも近いものを提示します。
一方の生成AIはディープラーニング技術を用いて自ら学習することで、通常のAIに比べてオリジナリティの高いコンテンツを提示してくれます。
より噛み砕いていうと「新しいコンテンツを生成してくれるか否か」というニュアンスになるでしょう。
また、それぞれの違いを一覧にまとめると以下のようになります。
従来のAI | 生成AI | |
学習方法 | 過去に学習したデータをもとに検索・分類・提示 | ディープラーニング技術による自己学習・作成・提示 |
根本的な目的 | 将来予測および特定 | 新たなコンテンツの創出 |
主な用途 | 作業効率化および自動化 | 新たなコンテンツの創出 |
生成AIの種類
ひとえに生成AIといっても、さまざまなジャンル・種類が存在します。
ここではとくに代表的な以下の4つについて解説していきます。
- テキスト生成
- 画像生成
- 音声生成
- 動画生成
テキスト生成
テキスト生成は生成AIの代表的な種類のひとつで、自然言語処理(NLP)の技術を使用し、与えられたテキストデータから新しい文章を生成するものです。
主な手法にはリカレントニューラルネットワーク(RNN)や長短期記憶ネットワーク(LSTM)、トランスフォーマーなどがあり、文章の流れや文法、意味を理解したうえ自然な文章を生成してくれます。
文章の自動要約や機械翻訳、チャットボットおよび小説や詩の自動生成など、さまざまな用途に活用されています。
画像生成
画像生成も近年急激に技術力を伸ばしている生成AIの分野のひとつで、主にディープラーニングが用いられています。
代表的な手法は、生成器と識別器と呼ばれる2つのネットワークで構成された「敵対的生成ネットワーク(GAN)」です。
生成器はランダムノイズから画像を生成し、識別器は本物の画像と生成された画像を区別します。
画像生成もデザインやイラストにおける下書きなど、あらゆる分野で応用されています。
音声生成
生成AIのジャンルとして、音声生成も一般的になりつつあります。
主に深層学習モデルや自然言語処理技術を用いて、テキストから音声を合成する手法をとっていることが特徴です。
使用モデルには音声の特徴や響きを捉え、自然な音声を合成できる「WaveNet」や「Tacotron」などが使用されます。
音声アシスタントおよび自動音声合成の分野で役立てられ、用途が広がっています。
動画生成
生成AIは、動画を自動生成することも可能です。
静止画から次のフレームを生成し、連続したフレームを組み合わせて動画を生成する「生成モデル」、そして静止画の系列から動画を生成する手法「シーケンスモデル」が使用されます。
生成AIによる動画のクオリティは上がっているものの、それでも人間の手による再編集・微調整はまだまだ必要です。
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生成AIの仕組み・モデル
生成AIの仕組み、およびモデルにはさまざまな種類が存在します。
本記事ではとくに代表的な以下6つについてご紹介します。
- VAE
- GAN
- 拡散モデル
- フローベース生成モデル
- GPT-3
- GPT-4
VAE
VAE(Variational Autoencoder)はあらかじめ用意された訓練データから、類似画像を作り出す技術のことです。
オートエンコーダとデコーダから構成されており、入力データを効果的にエンコードし、それを元にして新しいデータを生成しています。
類似した特徴を持つデータを生成したり、潜在空間内での操作によってデータを変換したりすることが可能になるため、製造工場における不良品検知システムなどで役立てられています。
GAN
GAN(敵対的生成ネットワーク)は既存のデータから共通点を学習してオリジナルコンテンツを生成したり、既存データに沿って変換したりすることが可能です。
2つのニューラルネットワークである「生成器」と「識別器」から構成されており、生成器がランダムノイズからデータを生成し、識別器がそのデータと本物のデータを区別・精査することで精度を高めているのが特徴です。
「生成器」と「識別器」が互いに競い合うような仕組みであることから、敵対的生成ネットワークという名称がついています。
主に画像生成AIツールなど、画像生成の分野で成功を収めています。
拡散モデル
拡散モデル(Diffusion model)は画像の自動生成において大きな成果を上げているモデルです。
主に以下の2つの要素で構成されています。
- 既存の画像にノイズ(Gaussian Noise)を足す「Forward process」
- ノイズを取り出すことで画像データを作る「Reverse Process」
主にForward processによってノイズが足されて壊れかけたデータを、Reverse Processが修復する形で学習を繰り返し、データ生成を実現する仕組みです。
こちらも主に画像生成AIで使われる技術で、さまざまなプラットフォームに欠かせない存在となっています。
フローベース生成モデル
フローベース生成モデルは、確率分布の変数変換則を活用した手法「正規化流」を用いた技術です。
この手法を活用することで、確率分布をより明確にモデル化することが可能になり、これによってより複雑な確率分布を生み出す(変換する)ことができます。
ただ前述の拡散モデルよりは処理速度は優れているものの、GANのスピードには劣るのが現状です。
GPT-3
GPT-3(Generative Pre-trained Transformer 3)は2020年にアメリカのOpenAI社が開発した大規模言語モデルです。
膨大なテキストデータで学習されており、まるで人間のような精度の文章生成、翻訳、質問応答、コード生成などあらゆるタスクを実行できます。
GPT-3はビジネスやクリエイティブ、広告文案の作成、顧客対応自動化、小説や詩の構成などに活用されています。
GPT-4
GPT-4(Generative Pre-trained Transformer 4)もアメリカのOpenAIが開発した最新の大規模言語モデルで、前述のGPT-3の後継モデルとして2023年3月に発表されました。
GPT-3と同様、膨大なテキストとコードのデータで学習されていますが以下の点が強化されています。
- 画像に関連する文章を生成したり、画像の説明を書いたりできる
- より論理的かつ一貫性のある自然な文章を生成することができる
- より専門的な知識が必要なタスクにも柔軟に対応できる
画像への対応をはじめ、より最新の情報および専門的な分野への対応力が強化されたことから「AI技術の進化を象徴する存在」となりました。
2024年4月現在では有料なのがネックですが、今後はアップデートや新モデル登場によってより安い値段で提供されるなど、さらに多くの分野で活用されることが期待されています。
生成AIの活用メリット
生成AIを活用する大きなメリットは、主に以下の4つといえるでしょう。
- 新たなアイデアを生み出せる
- プロトタイプの複数提案が容易になる
- ユーザーニーズに適したコンテンツが作れる
- 工数や金銭面でのコスト削減
まず生成AIによって「新しいアイデア」を生み出せること。生成AIは従来のAIと異なり、ディープラーニングによって前例にないコンテンツを考案してくれるためです。
そして新しいアイデアの提案が自動化できることで「下書きおよびプロトタイプの複数提案」が圧倒的に容易になります。
プロトタイプの数が多いということは、ユーザーニーズに沿ったコンテンツを形にしやすくなるため、この点も大きなメリットといえるでしょう。
加えて作業効率化による工数削減、そして完全自動化が実現することで人件費の削減など、コストの大きな削減も期待できるでしょう。
生成AIを活用した主なサービス
生成AIを活用したサービスには、以下のようなものが挙げられます。
- マルチモーダル生成AI:Gemini
- 画像生成系AI:Stable Diffusion
- テキスト生成系AI:ChatGPT
- 文字起こし生成系AI:Whisper
- アイコン生成系AI:Canva
それぞれ見ていきましょう。
マルチモーダル生成AI:Gemini
「Gemini」はGoogleが運営・提供するテキスト生成AIです。
2023年3月にリリースされた「Bard」の進化系として、2024年2月にリリースされたモデルとなります。
情報源はGoogle検索エンジンからリアルタイム性の高い情報となっているため、ユーザーの欲しい情報を柔軟に返してくれることが特徴です。
画像生成系AI:Stable Diffusion
Stable Diffusionは2022年にイギリスの「Stability AI」社によって開発・公開された、オープンソースの画像生成AIです。
従来のGANモデルと異なり潜在拡散モデルと呼ばれる新しい深層学習技術を採用しており、高画質かつ独創的な画像生成が可能となっています。
テキストから画像を生成できる手軽さのみならず、そのクオリティの高さや利便性の高さから画像生成AIとして不動の地位を築くことに成功しました。
Webデザインや芸術における下書きとして使用されたり、Stable Diffusionの技術を盛り込んだプラットフォームが続々と誕生したりするなど、用途を日々広げています。
テキスト生成系AI:ChatGPT
アメリカのOpenAI社が運営・提供を行うテキスト自動生成サービスです。
自動生成される文章の整合性、そして文章の自然さが大きな話題を集めました。
テキストのみならず、文章構成やプログラミングコードの生成も可能となっています。
ただChatGPTで生成するプログラミングコードは人間のエンジニアの手による手直し・微調整が不可欠なのが現状。
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扱う言語はAIとの相性も抜群なPythonとなっているので、AIはもとよりデータサイエンティストを目指す方にもぴったり。
さらに経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の認定講座の対象なので、受講料最大70%キャッシュバックを受けられます。
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文字起こし生成系AI:Whisper
WhisperはChatGPTで有名なOpenAI社が運営する文字起こしサービスです。
Webから情報を収集した多言語対応の音声データを学習させることで、非常に高いクオリティの文字起こしが可能となっています。
日本語のみならずドイツ語やスペイン語、イタリア語やポルトガル語といった比較的マイナーな言語にも対応しているため、外国人やグローバル企業の利用者も多いです。
会議の録音データの文字起こしなどの用途で、欠かせない存在となっています。
アイコン生成系AI:Canva
Canvaはオーストラリアの「Canva Pty Ltd」が運営するデザインツールです。
アイコン画像をはじめ、おしゃれな素材や画像、デザインテンプレートが無料で使えることから、趣味・ビジネスなどで欠かせない存在となっています。
画像のサンプルやテンプレートの種類の豊富さに定評があり、どんな方でも迷うことなく使えるUI/UXも魅力です。
生成AIの活用方法例
主にビジネスにおける生成AIの活用方法例としては、以下が挙げられます。
- 活用例①ChatGPT(テキスト生成)
- 活用例②Stable Diffusion(画像生成)
- 活用例③Rimo Voice(文字起こし)
- 活用例④Sora(動画生成)
- 活用例⑤VoxBox(音声生成)
それぞれ順を追って紹介します。
活用例①ChatGPT(テキスト生成)
OpenAI社が運営する「ChatGPT」は、生成AIの数ある例の中でもとくに代表的なものとして挙げられます。
質問に対する回答の整合性、そしてあたかも人間が考えたかのような自然でそれらしい文章はテキスト生成サービス発展の皮切りにもなり、多くのテキスト生成サービスの見本にもなっています。
活用例②Stable Diffusion(画像生成)
画像生成AIの活用例として代表的なのが、イギリスのスタートアップ企業「Stability AI」社が運営するStable Diffusionです。
「テキストを入力するだけで、それに沿った画像を生成してくれる」という夢のような技術を再現したサービスの先駆者といった存在で、生成される画像のクオリティは言わずもがなです。
Dream StudioやHugging Faceといったアプリケーションを通じて使う方法もあれば、自作のサービスや環境にインストールできるなど、幅広い使い方ができます。
活用例③Rimo Voice(文字起こし)
Rimo Voiceは「Rimo合同会社」が運営する文字起こしサービスです。
モダンなAI技術を採用していることから、動画および音声データの内容を正確に文字起こししてくれるのが特徴。
プラットフォーム全体のデザイン性による使いやすさ、またあらゆるオンライン会議ツールとの連携も可能で、利便性に優れています。
活用例④Sora(動画生成)
Sora(ソラ)はChatGPTでおなじみのOpenAI社が運営する動画生成サービスで「まったく新しい生成AI事例」として、注目を集めています。
具体的にはプロンプト(命令文)を入力するだけで、1分前後の動画を自動で生成してくれるといったもの。
Soraのサンプル動画数はすでに50以上と公開されていますが、人間によるカメラやドローンで撮影したものと遜色ないクオリティとなっています。
2024年4月現在ではまだ一般公開はされていませんが、正式にリリースされることで動画編集やコンテンツ制作に大きな変革をもたらすことは間違いないでしょう。
活用例⑤VoxBox(音声生成)
VoxBoxはソフトウェア開発会社「iMyFone Technology Co., Ltd.」が2023年にリリースした音声生成AIソフトです。
あらゆるファイルを音声読み上げファイルに変換できたり、ボイス変換などを気軽に利用できたりします。
たとえばテキストファイル、PDF、画像、オーディオファイルを読み込むことで、自分の声および任意の声で再生することが可能です。
YouTubeをはじめとするナレーションのレコーディング作業を自動化するなどの用途で重宝されています。
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まとめ
以上「生成AI」と「従来のAI」の違いから、生成AIの種類や具体的な活用例について解説してきました。
生成AIは「新たなコンテンツの生成(0→1)」ができるのが大きな特徴で、単純な作業効率化に加えてクリエイティブなジャンルで広く活用されています。
生成AIといえばChatGPTのようなテキストの自動生成をイメージする方は多いですが、いまや画像や動画、音声などあらゆるコンテンツがAIによって自動生成できるようになっています。
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