リスキリングで使える補助金・助成金の種類【最新版】対象講座もご紹介

キャリアの見直しやスキルのアップデートを考えると、どうしても費用面での悩みがつきものです。
実は今、国や自治体が提供するリスキリングのための補助金や助成金がかなり充実してきています。
自己負担を抑えて学び直しができるチャンスが広がっているにもかかわらず、その制度の内容や対象講座は意外と知られていません。
この記事では、どんな補助金があり、どの講座で使えるのかを具体的にご紹介していきます。
自分に合う支援制度を見つけるきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
リスキリングが注目されている背景とは?

リスキリングとは、今の仕事や新たな業務に必要なスキルを新たに学び直すことを指します。
近年この考え方が注目されている理由は、AIやデジタル技術の進化、働き方の多様化などによって、仕事に求められるスキルが急速に変化しているからです。
とくに現代の多くの企業では、従業員に新しい役割を担ってもらうための再教育が重要視されています。
また個人でも「このままで大丈夫かな…」と将来に不安を感じる方が増えており、自分の市場価値を上げるため、リスキリングに取り組む人が増えているのです。
そもそもリスキリングの概要がわからないという方は、以下の記事が参考になります。
リスキリングで使える補助金・助成金の種類
リスキリングに取り組む際、費用の負担を軽くする方法として「補助金」や「助成金」の活用があります。
金銭面がネックになっている方にとって心強い味方になりますが、制度ごとに対象者や支給条件が異なるため、自分が受けられるかどうかを事前に確認しておくことが大切です。
ここでは代表的な制度をピックアップし、内容や支給金額などについてわかりやすく紹介していきます。
①教育訓練給付金
教育訓練給付金は、厚生労働省が運営する制度で、リスキリングを支援する目的のもと、指定された講座を受講した人に受講費の一部を補助してくれます。
対象者は、雇用保険の加入歴が一定期間以上ある方で、パートやアルバイトでも要件を満たせば利用できます。
給付金の内容は講座の種類によって異なり、一般教育訓練では費用の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練では40%(上限20万円)、専門実践教育訓練では最大70%(年間最大56万円)まで補助される場合もあります。
資格取得や賃金アップにつながった際には、追加で支給されるケースもあるので、該当する講座がないか確認しておきましょう。
②リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は経済産業省が主導する制度で、キャリア相談から講座受講、転職支援までを一括でサポートしてくれます。
対象は在職中で転職を視野に入れている方で、初回の面談を受ける時点で働いていることが条件です。
リスキリング講座の費用は受講完了後に最大40万円(費用の半額)が補助され、さらに
「1年以内に転職し、1年間継続して働いていること」
が確認されれば追加で16万円(費用の1/5)が支給されます。
助成金は講座の提供事業者に支払われる形式ですが、個人の金銭負担が大きく軽減される点が魅力です。
転職を見据えて学び直しを考えている方には、非常に心強い制度といえるでしょう。
③人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、企業が従業員に対してスキルアップや専門知識の習得を目的とした研修を実施した場合、その研修費用や実施期間中の給与の一部を国が補助してくれる制度です。
従業員の成長を支えることが企業全体の底上げにもつながるという観点から設けられた制度であり、企業規模や職種に関わらず多くの企業で活用されています。
この助成金には複数のコースがあり、対象となる内容や補助範囲がそれぞれ異なります。
1.人材育成支援コース
2.教育訓練休暇等付与コース
3.建設労働者認定訓練コース
4.建設労働者技能実習コース
5.人への投資促進コース
6.事業展開等リスキリング支援コース
7.障碍者職業能力開発コース
ここからは、それぞれのコースについて順に紹介していきます。
1.人材育成支援コース
人材育成支援コースは、企業が従業員に業務に必要な知識や技術を習得させるための訓練を行う際に、その費用や研修中の賃金を国がサポートしてくれる制度です。
たとえばOJTを含む研修や、非正規社員の正社員化を目指す研修などが対象になります。
研修にかかる費用の45〜100%が補助されるうえ、受講者1人あたり1時間につき760円(中小企業以外は380円)の賃金助成もあります。
リスキリング講座の開講費にも使えるため、企業の人材強化や職場環境の改善を進めたいと考えている方には、うってつけの支援策といえます。
2.教育訓練休暇等付与コース
教育訓練休暇等付与コースは、企業が従業員に対してリスキリングなどの教育訓練を行う際に、有給で休暇を与えた場合の費用を補助する制度です。
対象となるのは
- 3年間で5日以上の取得が可能な制度
- 全被保険者が対象
- 制度が労働協約で定められ、労基署に提出済み
など、いくつかの条件を満たした場合に限られます。
社員数に応じた対象者の人数要件も設けられており、企業規模によって対応が異なります。
たとえば、外部の専門学校を使った学習支援でも有給付与を通じてリスキリングを後押しできるため、制度を整えることで社員の成長を組織的に支援しやすくなります。
3.建設労働者認定訓練コース
建設労働者認定訓練コースは、建設現場で働く労働者のスキル向上を目的とした教育や研修に対して、費用の一部を助成する制度です。
具体的には、対象経費の6分の1、かつ1人あたり1日3,800円が上限となっており、研修の実施にかかるコストを軽減できます。
補助には上限があるため全額支援ではないものの、建設業における人材育成の取り組みを後押しする制度として活用する価値は高いでしょう。
4.建設労働者技能実習コース
建設労働者技能実習コースは、座学中心の「建設労働者認定訓練コース」に加えて、より実践的な技能訓練やトレーニングを行う場合に利用できる補助制度です。
内容によっては資格取得にかかる費用も対象となり、実務に直結したスキルアップが可能になります。
補助率や金額は企業の規模によって異なりますが、現場で即戦力となる人材を育てたい企業にとっては、有効な支援策といえます。
5.人への投資促進コース
人への投資促進コースは、企業による人材育成を支援する制度で、デジタルスキルを含む先端分野の研修や、従業員の自主的なリスキリングにも活用できます。
対象となる訓練には、高度デジタル人材育成、定額制のオンライン講座、自発的なスキルアップを目的とした研修などがあり、多様な学習スタイルに対応しています。
在籍中の企業を通じて申請できるため、個人でリスキリングを考えている方も、制度をうまく活用することで、学習のハードルをグッと下げられるでしょう。
6.事業展開等リスキリング支援コース
事業展開等リスキリング支援コースは、企業が新しい分野に進出する際に必要な社員のスキル習得を支援する制度です。
DX推進やカーボンニュートラル対応のために行う研修などが対象になります。
訓練は10時間以上かつ業務とは切り離したOFF-JTである必要があり、要件を満たせば費用の一部を補助してもらえるのが特徴。
新たな挑戦を支える人材育成の土台として、ぜひ活用したい制度のひとつです。
7.障害者職業能力開発コース
障害者職業能力開発コースは、障害のある方が職場でスムーズに働けるように支援する制度です。
仕事に必要なスキルや知識を身につけるための訓練費用のほか、バリアフリー対応や専用設備の導入・更新など、働きやすい環境づくりにかかる費用も補助対象になります。
多様な人材が安心して活躍できる職場を目指す企業にとって、大きな後押しとなる制度です。