「やりがい搾取をされている」5つの事例と対策
やりがい搾取は、働く本人や経営者たちに自覚がないことも多く、「しょうがない、そういうものだ」と思い込んでしまっている場合があります。
この記事では、昔やりがい搾取を受けていた私がやりがい搾取の5つの事例と、その対策をお伝えします。
やりがい搾取は放っておくと取り返しのつかない事態になることもあるので、該当する方はすぐに対処しましょう。
やりがい搾取とは?やりがいを理由に不当に働かせること
やりがい搾取とは、知識や経験などの「やりがい」を理由に労働に見合う賃金を支払わず、不当に働かせることを指します。
たとえば「本来ならこの経験はむしろお金を払う価値がある」などと言われたら、それはやりがい搾取をされる仕事かもしれません。
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やりがい搾取の何がよくない?
やりがい搾取がよくないことだと理解してはいても、具体的に何がどうよくないか深く考えたことがない方もいるかと思います。
「やりがいのある仕事だから、給料が低くてもしょうがない」というのは、危険な考え方です。やりがい搾取によってどんなことが起こるのかみてみます。
①あなたの人生が台無しになってしまうかも
やりがい搾取にあい続けることで、あなたの人生が台無しになってしまう可能性があります。たとえば労働時間や拘束時間が長いことで休養や睡眠が十分に取れないことがあるかもしれません。
そうした生活をずっと続けていると慢性的な体の不調から、完治しない病気になってしまったり心が病んでしまう可能性もあります。
体調不良になってしまうと、働き続けるのが困難になるだけでなく日常生活に支障が出てしまいます。
②本来受け取れるはずの賃金が減少してしまうかも
やりがい搾取はあなたが本来受け取れるはず・受け取るべき賃金を不当に奪います。
本来受け取れるはずの賃金が受け取れないと、生活が苦しくなったり、何かを我慢しなければならない状態になったりします。
決して金銭的な意味合いだけでなく、心にゆとりをもった生活も送れなくなってしまうので、やりがい搾取にあう環境は避けたいところです。
やりがい搾取はなぜ生まれる?よくある事例
ではやりがい搾取はなぜ生まれてしまうのでしょうか?それにはさまざまな要因があります。
- 業界特有の体質・風潮
- せっかく夢の仕事へ就けたから…
- ネームバリューや役職などステータスへの未練
- 顧客や同僚へ遠慮してしまう
- 雇ってくれた会社への感謝
①業界特有の体質・風潮
やりがい搾取が生まれてしまう背景に、業界特有の体質・風潮が挙げられます。
職人さんの世界が典型なパターンです。伝統工芸品の職人さんや寿司職人さんなど、「修行中は給与はなし」なんてこともよく聞く話です。
これは技術の習得まで長い時間がかかり、その期間は新人指導で精一杯で給与を払う金銭的余裕がない、という厳しい現実があるようです。
②せっかく夢の仕事へ就けたから…
「せっかく夢の仕事へ就けたから、これくらいのことで辞めるわけにいかない!」そう思ってなかなかその環境から抜け出すことに、踏ん切りがつかないこともあるかと思います。
私も希望職種に未経験で転職し、入社したあとにみなし残業だと言われても「未経験で採用してもらったししょうがないか」と、思ったことがあります。
このパターンは、それまで憧れ続けてきた年月やそこに至るまでの努力が無駄になってしまう、と思ってしまうことで起こりがちです。
③ネームバリューや役職などステータスへの未練
周囲に羨ましがられる有名大手に就職した、管理職のポジションについた、なのにここで辞めるなんて、と会社のネームバリューや現在の役職に執着し、やりがい搾取から逃れられないケースもあるでしょう。
上記の「せっかく夢の仕事へ就いたのに」と共通して、それまでの頑張りが無駄になってしまうと思いがちなパターンです。
④顧客や同僚へ遠慮してしまう
自分が仕事を辞めたら、今取引している顧客に迷惑が掛かってしまう、残された同僚にも迷惑がかかってしまう。こう思って、今いる環境から抜け出せない方も多そうです。
このように考える方は、突然会社を辞めた同僚の仕事の尻ぬぐいをさせられた経験があったり、取引先の担当者が居なくなったことで案件がとん挫した経験した人が持っていることが多いです
「会社を辞めることは周囲に迷惑を掛かることだ」と思い込んでいることが多そうです。
⑤雇ってくれた会社への感謝
就職難で仕事を得るのに大変な苦労をした方は、「またあの苦労をしなければならないのなら少しくらい我慢しよう」と思いがちです。
苦しんでいるときに雇用してくれた会社を恩人のように思い、「会社だって苦しいときなのだから自分も耐えなくちゃ」と思い込んでしまっています。
自分がやりがい搾取されいることや、現状に疑問すら抱かないのがこのパターンです。
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あなたはやりがい搾取を受けている?いない?チェックリスト
これまで紹介したパターンをみても、自分がやりがい搾取されているかいまいち実感がないという方は、チェックリストをやってみてください。
1つでも当てはまったらやりがい搾取の可能性があり、要注意です。
- 終電ギリギリまで残業をしたり、会社に泊まり込みで働いたことがある
- 残業はすべてみなし残業である
- やりがいのある仕事だから、給料や休みが少なくても仕方がない
- 休日に上司に呼び出されるのは自分がいたらないから仕方がない
- 貴重な経験ができるなら拘束時間が長くても頑張れる
- 長く会社にいるが給料があがったことがない
- いままで有給休暇を取得したことがない
- 休日出勤をしても代休はない
- 社会保険料を払っていない(会社が加入していない)
- 会社(社長)の理念に賛同するよう強制される
やりがい搾取に合わないための対策
では、ここからはやりがい搾取にあわないために何ができるのか見てみましょう。
残念ながら個人でできることには限界があるので、会社を辞めることも最終手段として視野に入れておきましょう。
退職せず、会社に残ってできることは5つあります
退職せず、会社に残ってできることは5つあります。
- 社内の全員で認識を改める
- 第三者機関による相談窓口を設ける
- 気軽に相談できる機会をつくる
- 労働条件や報酬を交渉する
- 会社のために自己犠牲をするのやめる
- 弁護士や専門家に相談する
1つ1つ見てみましょう。
①社内の全員で認識を改める
同僚や周囲の人間にやりがい搾取にあっているという自覚がなかったり、自分の会社でやりがい搾取が起こっていると経営者に自覚がないケースもあります。
そんなときは、どうしたらこの現状を変えることができるのか、社内の全員で話し合い、認識を改める必要があるでしょう。
②第三者機関による相談窓口を設ける
可能であれば、第三者機関による相談窓口を設けましょう。
社内に派閥があったり上司・部下の関係が良好でない場合は、利害関係のない第三者に相談することで社外から間接的に体制を改善できることもあります。
③気軽に相談できる機会をつくる
たとえば、部下が上司に相談したいことがあっても、自分のために時間を作ってほしい、自分の話を聞いてほしいとはなかなか言い出しにくいいものです。
相談したいことがあるときに、相談するまでのプロセスが手間だったり勇気を必要としていまうと、相談することなくそのまま退職を選んでしまう人もいます。
私も実際、いつも忙しそうにしているかイライラしている上司に声をかけづらく、相談しないまま退職届を出したことがあります。
そういったことが起こらないよう、話しやすい環境や機会を積極的に作るのは非常に重要なことです。
④労働条件や報酬を交渉する
労働条件や報酬を交渉し現状よりも待遇が良くなれば、会社を辞めなくてもやりがい搾取から逃れられることになります。
残業が恒久化していたり、休日出勤が多い場合などは待遇の改善を交渉してみましょう。
⑤会社のために自己犠牲をするのをやめる
自己犠牲をやめるのも1つの方法です。具体的には、いままでやっていた「誰かがやらなければならないこと」をするのをやめてみたり、少しでも早く帰れるように始業前の1時間前に来ていたのをやめる、などです。
「自分がやらなければならない」と思っていてもどうにかなり、「現状のままでは仕事がまわらない」と周囲や経営者に気づかせるきっかけになるかもしれません。
⑥弁護士や専門家に相談する
上記のこと一通り試したり、試すことすら現実的でないときは思い切って弁護士や専門家に相談しましょう。
弁護士だなんてそんな大袈裟な…と思うかもしれませんが、やりがい搾取はそこまで「大ごとな問題」です。
やりがい搾取が職場からなくなれば、助かるのはあなただけではありません。自分はことを荒立てている、など思う必要はありませんよ。
会社を辞める場合
さまざまな方法を試してみても現状が改善されない場合は、残念ですが個人でできることはないかもしれません。
会社を辞めるのが1番現実的な解決策でしょう。
退職すると決めた場合も、いくつかやっておいたほうがいいことがあります。
- 体を壊してしまう前に!退職する
- 損害賠償請求をするなら弁護士に相談する
- 残業がない会社へ行く
- 福利厚生がしっかりしている会社へ行く
順番に説明します。
①体を壊してしまう前に!退職する
労働時間や拘束時間が長く、休みが少ない状態がずっと続いていると体も脳も疲れ切っていて冷静な判断ができないこともあります。
体に不調がでている場合は、取り返しのつかない事態になる前に退職しましょう。失った健康はなかなか取り戻せないことがあるので、注意が必要です。
②損害賠償請求をするなら弁護士に相談する
退職を申し出て、いままでの残業代が支払われていない、有給休暇の消化を拒否された、こういった場合は弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談するのは気が引けるかもしれませんが、残業代や有給休暇の消化は労働者の権利ですので気負う必要はありませんよ。あとは弁護士にお任せしましょう。
③残業がない会社へ行く
在職中に次の会社を決めてから辞めるのであれば、次の会社は「残業がない会社」を選びましょう。残業がなければ、十分な休息が得られ、体を壊すことなく毎日を過ごせるでしょう。
また、消極的な考え方にはなりますが、残業がなければ残業代の未払い問題も起こりえません。
④福利厚生がしっかりしている会社へ行く
同じく、在職中に次の会社を決めてから辞めるのであれば、次の会社は「福利厚生のしっかりしている会社」を選びましょう。
仮に転職して現職よりも手取り給料が下がることがあっても、住居手当などの福利厚生が充実していれば基本給が下がっても、月々の収支的には変わりがないこともあります。
やりがい搾取を受けやすい業界や職種
一概に全部そうとは言えませんが、やりがい搾取にあいやすいといわれる業界は以下の6つの業界です。
- ファッション業界
- サービス・接客業界
- アニメ業界
- 教育業界
- 介護・保育業界
それぞれ詳しくみていきます。
①ファッション業界:アパレル販売員、美容師など
接客中はずっと立ったまま、休憩が十分に取れない、そして販売ノルマが厳しいなど肉体的にも精神的にもきついことが多いです。
②サービス・接客業界:飲食店やコンビニなどの店長など
アルバイトが集まりにくい深夜や土日などを、店長や社員などでかためなんとかシフトをまわす、という状態が起きやすいのがこの業界です。
③アニメ業界
常に納期に追われている現場も多いようで、拘束時間が長く職場に泊まり込んでで働く人も少なくないのがアニメ業界です。
「アニメにかかわる仕事ができているのだから文句は言えない」と思い込んでいる人たちが多い業界です。
④教育業界:教師や塾講師など
授業以外にテストの採点や配布物の作成など、雑務が多いのが教師などの講師業です。
学校の教師は部活動の顧問をになったり、拘束時間の長さがたびたび問題になっています。
⑤テーマパーク業界
お客様の笑顔のために、と知らず知らずのうちに自分を追い込んでしまいがちな人が多い印象なのが、テーマパーク業界です。
そのつらさに辞めてしまう人がいても、憧れる人が多くすぐに次の働き手が見つかり、現場の問題点が改善されにくい体質があります。
⑥介護・保育業界:介護士、保育士など
高齢化・共働き世帯の増加によって近年人手不足が叫ばれているのが介護・保育業界です。
人手不足で忙しい現場が多く、加えて賃金の低さも問題となりやすいです。
まとめ:やりがい搾取されてる?と思ったら、取り返しのつかなくなる前に早めの対応を
やりがい搾取されている環境にずっといると、体を壊し、その後の人生を台無しにしてしまう結果になってしまうかもしれません。
心が疲れて冷静な判断もできなくなってきてしまい、体調を悪くしてしまう人もいます。
そうなる前に早めの対応をしましょう、まずは周囲に相談してみるだけでもいいでしょう。自分で自分のことを追い詰めず、環境を変えましょう。
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