税理士を目指すのを辞めたい…6つの理由と別の道に進むための方法
「会計事務所で働いているけど、人間関係がつらい」
「税理士資格取得は難易度が高く、勉強のモチベーションがない」
と思うことはありませんか?
税理士を目指して勉強していても、なかなか結果が実らないと焦ったり、嫌になってきたりしますよね。
そこで今回は、資格取得を目指している段階から別の道に進む方法をご紹介します。
そこで今回は、
- 税理士として働くのを辞めたいと思う理由
- 別の道に進みたいと思った時にすること
- 具体的なおすすめの転職先
について詳しく解説します。
この記事を読めば、税理士を目指すのを辞めるべきなのか判断できます。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
税理士を諦めたい6つの理由
就業に際して国家資格の保有が必要となり、年収は高いイメージのある税理士。
安定している職業として人気のある税理士ですが、下記のような理由で辞めたいと感じる人が多いようです。
- 労働時間が長い
- 人間関係に嫌気が差す
- 自身のスキル不足を感じる
- 同じことの繰り返しが多い
- 繁忙期は土日休みが取れない
- 税理士試験の勉強ができない
それでは、順番に見ていきましょう。
1.労働時間が長い
税理士の労働時間は長過ぎることから、退職を考える方も多いです。
なぜなら、基本は8時間労働で定時上がりが可能な職種であるものの、人手不足で残業しなければいけないことがあるからです。
また確定申告の時期である2月から3月は繁忙期のため、残業時間が45時間以上になることも。
税理士の仕事は、常に緊張感を持っておこなわなければいけない仕事なので、労働時間が長さは辞めたい理由に繋がります。
2.人間関係に嫌気が差す
税理士を辞めたい理由には、人間関係に嫌気が指すことがあります。
年齢差がある職場が多いため、コミュニケーションがうまくいかず孤独感を感じる人も多いからです。
たとえば周りが60歳以上の職員ばかりの環境に、30代半ばの職員が1人しかいないというような状況を想像してみてください。
このような状況では、何か悩みなどがあっても相談が難しく、ストレスが溜まってしまい辞めたくなります。
3.自身のスキル不足を感じる
周りの税理士と比較して自分のスキル不足を感じることも、辞めたい理由に挙げられます。
なぜなら、税理士の世界は高齢化が進んでおり、時には自分の親世代の先輩と業務をすることも多いからです。
それだけ年齢が離れていると、業務知識や経験に差が出てしまうのは当然ですが、
- 経験者の当たり前を難しく考えてしまう
- 上司と先輩の指導を上手く理解できない
- 同じミスを何度も繰り返してしまう
- ケアレスミスを起こしてしまう
といった際に、スキル不足を感じて落ち込んでしまうケースもよくあるでしょう。
スキル不足で職場の先輩に迷惑をかけ、税理士を続ける自信がなくなってしまう人も多いです。
4.同じことの繰り返しが多い
税理士業務は、良くも悪くもルーティンワークが多いです。
具体的な仕事内容として、
- 税務の代理
- メールの返信
- 税務書類の作成
- 会計処理の支援
- クライアントからの相談
- 事業に対してのアドバイス
など、細かい確認事項が多く、同じ業務を繰り返すことが苦手な人にとってはかなり苦痛に感じるでしょう。
また、業務効率化を図ろうと思っても職場には高齢の職員が多く、思うようにやり方を変えられないケースも。
とくに若い税理士の間では、業務改善の余地が無い環境の中でストレスを感じる人も多いでしょう。
5.繁忙期は土日休みが取れない
職場にもよりますが、繁忙期には土日休みが取れない場合もあります。
税理士は、契約している企業や個人事業主の顧客が多いことで、確定申告の時期は仕事量が多くなるからです。
具体的には、申告時期である2月から3月だけでなく、以下のような理由から11月から5月までが繁忙期と言われています。
- 11月から年末調整が始まる
- 毎年2月から3月までにクライアントの確定申告を作成する
- 法人と契約している場合、5月ごろの決算申告月が集中する
また確定申告のシーズンは既存顧客の対応にプラスして、新規顧客からの依頼も増えるため、土日まで出社せざるを得ないことも。
繁忙期は土日も関係なく働くことが多く、プライベートな時間が取れないということもあるので、辞めたい理由のひとつに挙げられます。
6.税理士試験の勉強ができない
税理士を目指して会計事務所で働いている場合、業務が忙しすぎて税理士試験の勉強ができないという場合があります。
会計事務所で仕事をしながら試験勉強までするとなると、かなりハードな生活になり、きつい思いをするからです。
税理士試験は国家資格の中でも難関だといわれており、目安として年間1,000時間以上の勉強時間が必要で、これを満たすには平日でも2時間から3時間は必要でしょう。
たとえば、仕事をしながら勉強をして試験を無事合格出来ればいいですが、不合格の場合はかなりダメージが大きいです。
勉強中を「もっとしたい」と思っても、できないことにストレスも溜まりやすく、事務所を退職して試験勉強だけに集中した方がいいのではと感じる人もいます。
仕事が忙しいあなたへ。「余裕がある人」になるための5つの方法税理士を目指すのを辞めた方がいい3つの例
次に、税理士を辞めた方がいい場合について解説します。
士業の世界は民間企業とは異なる文化があり、馴染めないことで心身ともに、ダメージを受けてしまうことがあります。
具体的には、下記のようなケースです。
- 心身に悪影響が出ている
- 上司が尊敬できない
- 仕事の無茶振りが多すぎる
当てはまっているものがひとつでもあれば、退職を検討しましょう。
1.心身に悪影響が出ている
肉体的、精神的に悪影響が出てきている場合、税理士を辞めるか、あるいは休職することおすすめします。
ストレスを抱えすぎると、さまざまな異変が体へと起きてくるので、心身に異常が出たらまずは自分を守ることが大切です。
具体的な悪影響の内容として、
- 朝起きると憂鬱な気持ちになる
- 体の疲れが取れない
- 胃腸の調子が悪い
- 食欲が落ちた
- 将来を考えることが怖い
- 話すことを億劫に感じる
- 仕事や物事に集中できない
- 明日が来ることに怯えてしまう
- なかなか寝付けない、眠れない
など、このような心身の異常を放置すると、今後の自分がまともに仕事できない可能性も。
今の職場でストレスを感じていて、体調の変化が解決できないような事柄であれば、すぐにでも転職活動をした方がいいでしょう。
2.上司が尊敬できない
税理士事務所を辞めた方がいい例として、上司が尊敬できないことです。
なぜなら尊敬できないことから、つい態度に出てしまい、人間関係の悪化や将来の自分が同じ道を辿る可能性があるからです。
具体的に尊敬できない上司の例として、
- パワハラや暴力を振るう
- 新人や若者にセクハラをする
- 服装がだらしない
など、特徴を持っている方が挙げられます。
苦手な人と同じ空間で働くことは、ストレスの原因や今後の自分に悪影響を及ぼす可能性があるので、早めに離れるべきでしょう。
転職先を調べる際は、どのような人物が働いているのか直接見ることも重要になります。
3.仕事の無茶振りが多すぎる
度の過ぎた仕事の無茶振りが横行している職場の場合、辞めることをおすすめします。
一度、無茶な仕事を対応することによって、さらに無茶振りな業務が増えてしまうからです。
たとえば、新入社員のように何も業務がわからない方に、引き継ぎもなしに前任者が担当していた案件を振るような職場もあります。
引き継ぎもなく新規案件を担当することはベテランでも難しく、担当件数が多かった人が急に辞めてしまうと、後に残された職員の担当する件数が増えて困ることも。
そのときに人手が足りず、新入りに仕事を任せてしまうといった無茶振りもあるので、退職すべき職場です。
「パワハラで辞めたい」パワハラが原因の退職。辞める前に取るべき4つの行動!注意点を徹底解説別の道に進みたいと思った時にすること
税理士を辞めたいと感じたら、まずはしっかりとプランを練りましょう。
辞めた方が良いのか、続けるべきなのかを決めるのは最終的には自分です。
- 仕事に詳しい人に相談する
- 自分の価値を客観的に見直す
- 転職を考えてみる
迷いがある状態でだらだらと働いていると、周りの人にも迷惑をかけてしまいます。
上記を参考にしつつ、自分の決心をクリアにしていきましょう。
1.仕事に詳しい人に相談する
税理士事務所を辞めたいと思ったら、仕事に詳しい人に相談することがおすすめです。
税理士の仕事内容がよく分かっている先輩や同僚に相談するのが良いでしょう。
家族や友人だと税理士に関しての知識がないので、深いことまで理解してもらえず満足できる回答は難しいことがあります。
また、職場に相談できる人がいない場合は、ほかの信頼できる会計事務所で働いている方もおすすめ。
実際に相談することで、
- 自分の状況を話すことでストレスが減る
- 第三者からの意見やアドバイスがもらえる
- 同じ悩みや不満を共有できるので仲間意識が芽生える
といった、前向きな発見や冷静な判断が可能になるので、思い悩んだときは仕事に詳しい方に時間をつくってもらいましょう。
2.自分の価値を客観的に見直す
税理士を目指すのを辞める前に、自分の価値を客観的に見直すことも大切です。
強みやスキルの棚卸しをすることで、退職するかどうかの決心がつく場合もあります。
自分のスキルをに見直す方法として、
- 自分が介在したことで成果が変わったと思うことを洗い流す
- 今までの成績や実績を紙に書き出して見える化していく
- 仕事上で他人から褒められた経験を思い出す
といった、この3つを具体的に分析していきましょう。
この方法を実践することで、あなた自身のスキルと強みを浮き彫りにでき、転職するときの自信に繋がります。
3.転職を考えてみる
税理士を辞めたいと感じたら、転職を考えてみるのも良いでしょう。
会計事務所で経験してきた知識や実績は一般企業でも必要とされるので、とくに経理職の転職先はおすすめです。
たとえば会計職だと、会計事務所での実務経験が条件となる案件も多め。
ですが、経理へと転職することによって、仕事量や残業が減ったり、年収が上がったという方の声を聞きます。
会計事務所だけに拘らなければ、もっと良い条件の職場に転職することも可能なので、視野を広げてみましょう。
副業の場合、会計事務所が就業規則等で副業を禁止している場合もあるため、先に確認が必要です。
※税理士事務所経験があっても税理士資格を取得していない場合、もしくは、税理士資格を取得していても税理士登録していなければ、
副業・独立などにより税務業務を行うことはできません。
大学生でもできる!今すぐにでも始められるおすすめ副業11選具体的なおすすめの転職先
次に、おすすめの異業種の転職先を紹介します。
- 外資系企業
- 金融機関
税理士になるためのスキルや事務所での経験を活かせる職場になっているので、ぜひ参考にしてみてください。
順番に見ていきましょう。
1.外資系企業
外資系企業の経理として、セカンドキャリアをつくるのも良いでしょう。
おすすめな理由は、高年収を得られる可能性が高いからです。
そのほか外資系企業の経理業務を特徴をまとめると、以下の詳細が挙げられます。
- 会計基準が日本ではなく、本国のものを採用
- 扱う通貨が円ではなく、本国の通貨
- 親会社と子会社の決算期が異なる場合、親会社の決算月に合わせて連結決算をする
また、業務の中で英語で書かれた契約書を読むこともあるので、
- 国際会計検定「BATIC」
- 米国公認会計士「USCPA」
といった、国際的な試験を受け、海外でも活躍できる資格を保有していることで、採用の際にかなり有利になるでしょう。
自分の可能性を広げたい方や多様性への理解を深めたい方など、本気で目指したい場合は挑戦してみることもおすすめです。
2.金融機関の経理
安定を第一に求める人であれば、金融機関の経理部門が向いています。
同じ職場で安定的に働きたいと思っている人には、金融機関はぴったりの職場です。
また、金融機関では金融関連の仕事以外にも、
- 中小企業の合併や買収
- 事業継承
- クライアントの業務効率のサポート
といった業務をすることもあり、幅広い業務実績が身に付けられるでしょう。
ですが、金融機関の経理部門は、ほかの業界への転職があまりできない場合もあるため、転職を5回以上している方には不向きです。
税理士事務所を円満に辞める5つの方法
税理士を辞める決意が固まったら、具体的に行動を起こしていきましょう。
士業の世界は民間の会社よりもさらに、礼儀作法や慣習に厳しいことが多いです。
- 直属の上司に1ヶ月前に報告する
- 退職理由は前向きな理由を伝える
- 繁忙期を避けて退職時期を考える
- 仕事の引き継ぎを完璧におこなう
- 在職中に転職に向けて動いていく
転職活動で不利にならないようにするためにも、きちんとした手続きを踏んで円満退職を目指しましょう。
1.直属の上司に1ヶ月前に報告する
退職日が決まったら、直属の上司に1ヶ月前に退職の意を伝えましょう。
民法の場合、期間を定めてない雇用契約は、解約の申し入れ後の2週間で終わると言われています。
ですが、以下の業務をしなければいけないため、1ヶ月以上前の伝えることをおすすめします。
- 引き継ぎ業務
- 書類の手続き
- クライアントや責任者への挨拶まわり
また、就業規則によっては「30日前の申し出」と記載されている企業や会社もあるので、契約書を確認しておきましょう。
報告が遅いことで会社側に迷惑をかけてしまい、よく思われない可能性があるため、迷惑がかからない時期に退職をすることで、快く送り出してもらえるでしょう。
2.退職理由は前向きな理由を伝える
退職理由はマイナスな内容ではなく、明るい前向きな理由を伝えるようにしましょう。
もしも「仕事内容がきつい」「人間関係が憂鬱」といった理由を伝えてしまうと、引き止めに合う可能性が高くなるからです。
具体的には、
- 別の企業で新しい知識やスキルを身に付けたい
- 自分がさらに成長できる社会に貢献したい
といった、退職理由を伝えることで、上司に納得してもらえます。
また体調不良や病気など、やむを得ない事情で退職する場合は、素直に伝えても問題はないでしょう。
このように希望した日に退職ができなくなることを防ぐためにも、退職理由の伝え方には工夫が必要です。
3.繁忙期を避けて退職時期を考える
退職時期は繁忙期を避けることによって、円満退職に近づけます。
迷惑をかけないようにするために、忙しい時期・プロジェクトの途中は避け、ある程度仕事の区切りがついたときがベストです。
具体的には、税理士が退職する時期は以下がおすすめです。
- 求人数が増える、3月から4月や9月から10月
- 確定申告が落ち着き始める年度末
- 繁忙期の時期が落ち着き、閑散期になる6月から10月の間
閑散期や業務量が少ない時期に辞めることによって、周りに迷惑をかけずに退職できます。
また、春や秋の季節は人事異動が多くなり、人材を募集する企業も増えるため、転職したい方におすすめ。
ですが、特定の業種だと求人募集の時期がずれることもあるので、先に転職先の募集時期などを調べた上で退職日を設定すると良いでしょう。
4.仕事の引き継ぎを完璧におこなう
期間に余裕を持って退職意志を伝えた後は、自分が担当している業務の引き継ぎをおこないます。
引き継ぎは退職者にとってもっとも重要なタスクなので、抜け漏れのないようにスケジュールを組んで、丁寧におこなっていきましょう。
5.在職中に転職に向けて動いていく
在職中に転職活動を始めることで、余裕を持って転職活動ができます。
先に退職日を決めて、逆算してスケジュールを組むとやるべきこともわかります。
転職先の企業の規模にもよりますが、可能であれば退職日の2ヶ月以上前から活動を始めると良いでしょう。
在職中に転職活動をすることで市場価値がわかったり、余裕をもって面接を迎えられたりとメリットが多め。
ですので、新しいスタートを切り開くためにも、在職中から転職活動をやっていきましょう。
仕事の引き継ぎ5ステップを解説!スムーズに進めるための7ポイントも紹介税理士を目指すのを辞める3つのメリット
次に税理士を目指すのを辞めた後のメリットについてお話しします。
一般的に安定していると思われがちな税理士ですが、辞めることによって得られるメリットもあります。
- 年収が上がった
- 人間関係のストレスが減る
- 税理士試験の勉強をしなくて良くなる
順番に見ていきましょう。
1.年収が上がった
会計事務所から民間企業などに転職をすると、年収が上がるケースも多いです。
とくに大手企業であれば、額面の給与だけでなく、福利厚生も充実していることが多いため、生活レベルも上がります。
一般的に上場企業であれば、労働時間が厳しく管理されている会社も充実しているため、自然と働き方もホワイトになるでしょう。
2.人間関係のストレスが減る
転職することによって、人間関係のストレスが減ると言われています。
なぜなら、税理士の仕事は特有の人間関係のストレスがあり、士業の業界は平均年齢がかなり高いため、若手の税理士は肩身が狭い思いをすることもあるからです。
- なかなか変わらない慣習
- 変えられない業務スタイル
などによって、ストレスを感じている税理士は、転職によってストレスから解放される可能性が高いでしょう。
人間関係のストレスが減ることで、心身ともに健康に働けるようになるので、強いストレスを感じている人ほど転職は有効です。
3.税理士試験の勉強をしなくて良くなる
税理士という仕事は、国家資格を有した誇りのある仕事でもありますが、実際に働いてみると悩みも多く、辞めたくなる人もいます。
辞めたい理由はさまざまですが、メリットとして挙げられるのは税理士試験の勉強をしなくて良いということです。
税理士は日常的に税に関して知識を深めておく必要があり、常に勉強をしておかないといけません。
税理士として働くことを辞めたらその勉強をする必要はなくなるので、心にゆとりが持てるようになるでしょう。
まとめ:税理士を目指すのを辞めたいときは、セカンドキャリアを意識して行動しよう
本記事では、税理士を目指すのを辞めたい人向けに、辞めた方が良いケースやおすすめの転職先について解説してきました。
- パラハラ、セクハラで安月給で悩んでいる人は転職を検討すべき
- 税理士資格の勉強で得た糧は転職において武器になる
- 税理士を目指すのが辛くなったときは別の道に進む選択肢もある
自分では大したことないスキルだと思っていても、スキルや実績を求めている企業はたくさんあります。
今の職場がつらいと感じたら異業種へも目を向け、広い視野でセカンドキャリアを築いていきましょう。