Webデザインの職業訓練とは?7つのメリットや受講方法4ステップを詳しく解説
IT人材の需要増加とともに、Web業界に就職や転職を志す人が増えています。
IT職種の中でもとくに、比較的未経験から目指しやすいWebデザイナーに関心を持っている人は多くいるでしょう。
最近では、厚生労働省が支援する職業訓練でもWebデザインが学べるようになりました。
そこで、
「職業訓練って実際のところどうなの?」
「本当にWebデザイナーになれるの?」
「お金がほとんどかからないって本当?」
と気になっている方も少なくないのではないでしょうか?
そこでこの記事では、
- 職業訓練の概要や学べる内容
- 職業訓練を受講するメリット・デメリット
- 職業訓練を受けるためにやるべきことや必要なもの
などについて詳しくご紹介していきます。
この記事を読めば、職業訓練の内容のほとんどが理解できますよ!
職業訓練を受けるかどうかで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてくださいね。
また、Webデザイナーに必要なスキルや将来性などについて興味がある方はこちらの記事もぜひ参考にしてください。
Webデザイナーに有利な資格13選!持つメリットや勉強方法も紹介
Webデザインの職業訓練の概要を解説
職業訓練とは、就職に役立つ知識やスキルを基本的には無料で習得できる公的な制度です。
正式には、「公的職業訓練(ハローワーク)」といいます。
職業訓練にはITや建設、ファッションなどさまざまなコースがあり、Webデザインもその中の1つです。
職業訓練のWebデザインコースで学べる内容には、以下のようなカリキュラムがあります。
学科 | ・グラフィックデザイン基礎 ・DTP基礎 ・ポートフォリオ制作基礎 ・レイアウトデザイン基礎 ・HTML/CSS基礎 ・JavaScript基礎 |
実技 | ・イラスト・ロゴ制作実習 ・写真合成・修正加工実習 ・WEBデザイン実習 ・JavaScriptプログラミング実習 ・スマートフォンサイト制作実習 ・商業デザイン総合制作実習 |
目指せる資格 | ・Illustrator®クリエイター能力認定試験 エキスパート ・Photoshop®クリエイター能力認定試験 エキスパート ・Webクリエイター能力認定試験 エキスパート |
ただし、都道府県によっても学校やコースは異なるため、事前にお住まいの地域のハローワークで確認するようにしてくださいね。
職業訓練のメリット7つ
Webデザイナーになるためには、「独学」や「プログラミングスクールに通う」などさまざまな方法があります。
その中でも、職業訓練を選ぶメリットにはどのようなことがあるのでしょうか?
ここでは、職業訓練でWebデザインを学ぶ7つのメリットについて詳しくご紹介していきます。
解説していく内容は以下の通りです。
- 無料で受講できる
- 失業保険がすぐにもらえる
- 失業保険の受給手続きを代行してもらえる
- 条件が合えばお金をもらいながら通える
- MacやAdobeのソフトが学割価格で購入できる
- 一緒に学ぶ仲間ができる
- 独学と違い先生に質問ができる
それでは順番に見ていきましょう!
1.無料で受講できる
独学でも、書籍やサービスを購入すると何かと出費がかさみますよね。
ただし、職業訓練はテキスト代などが自己負担となりますが、基本的に無料で受講可能です。
さらに、条件が合えば失業給付金をもらいながら勉強ができます。
無料でしっかりと基礎からWebデザインを学べるのは大きなメリットでしょう。
2.失業保険がすぐにもらえる
失業保険は自己都合の退職の場合、通常3ヶ月の給付制限がかけられます。
しかし、職業訓練を開始すれば給付制限がなくなり、すぐに失業手当てを受け取れるようになるのです。
給付制限がなくなり、すぐに失業保険がもらえるのは大きなメリットでしょう。
また、受講機関によっては、失業手当の受給期間が通常より延長される場合もあります。
たとえば6ヶ月の職業訓練を受ければ、通常の失業保険よりも3ヶ月分多くの手当てが受けられる、ということです。
受給残日数などの条件もあるため、詳しい内容はハローワーク窓口で相談してみください。
3.失業保険の受給手続きを代行してもらえる
原則として離職前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あれば、雇用保険の基本手当ての受給資格があります。
(出典:厚生労働省)
雇用保険は失業した人が安定した生活を送りつつ、1日でも早く就職するために給付される制度です。
そのため離職した人が失業保険を受給するためには、通常1ヶ月ごとの失業認定日にハローワークに行き、職員と就職活動の状況などを報告する必要があります。
このように失業保険の受給手続きは、1度で簡単に完了するわけではないのです。
一方で、公共職業訓練を受講すれば、通常は自分で行わなくてはならない失業保険の受給手続きを代行してくれます。
失業手当の給付が遅れることなく決まった日に受けられるのは大きなメリットでしょう。
4.条件が合えばお金をもらいながら通える
また、公共職業訓練には「職業訓練給付金」という制度もあります。
これは、職業訓練期間中の生活を支援するための給付が受けられる制度です。
支給額は、月額10万円。
さらに、条件があえば学校までの交通費や寄宿手当がもらえる場合もあります。
ただし、誰もが給付を受けられるわけではありません。
職業訓練受講給付金(求職者支援制度)の対象となるのは、以下のすべての要件を満たす「特定求職者」です。
- ハローワークに求職の申込みをしていること
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
条件が合うかどうかが気になる方は、近くのハローワークに相談してみましょう。
5.MacやAdobeのソフトが学割価格で購入できる
職業訓練を受講すれば、MacやAdobeのソフトが学割価格で購入できます。
AdobeのCreative Cloudは学割価格なら、最大65%OFFで購入可能。
具体的な価格は以下の通りです。
- コンプリートプラン(一般):5,680 円/月 (税別)
- ンプリートプラン(学割):1,980 円/月 (税別)
※次年度以降は月額2,980円(税別)
(出典:Adobe 公式サイト)
内容は一般価格のものとまったく同じであるため、とてもお得に利用できます。
Macも、学割料金なら通常よりも6,000円〜20,000円ほどお得に購入可能。
(出典:Apple 公式サイト)
ほとんどの職業訓練が対象ですが、気になる方は事前に確認してみてください。
6.一緒に学ぶ仲間ができる
大人になってから、同じことを数ヶ月間いろんな人と学ぶ環境はかなり貴重です。
一緒に学ぶ仲間ができるのは大きなメリットといえます。
職業訓練を通して仲間同士で情報を交換しあったり、わからないところは教えあったりなどいい関係性が築けるでしょう。
また、職業訓練には、年齢や性別などに決まりがありません。
これまでの職歴がまったく異なる人や、今まで接したことがないような人と出会えるのも職業訓練ならでは。
さまざまな人と幅広いコミュニケーションをとれるのは、よい経験となるでしょう。
7.独学と違い先生に質問ができる
わからないことがあれば、先生に直接質問できるのも職業訓練のメリット。
独学だと質問できる人がいないため、さまざまな問題につまづき挫折してしまいがちです。
専門知識を持った先生に質問できるのは大きなメリットでしょう。
デザイナーに必要なスキルの効率的な独学方法について興味がある方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
職業訓練のデメリット5つ
職業訓練のメリットを見ると、とても魅力的に感じますよね。
しかし、職業訓練にはメリットだけではなくデメリットもあります。
デメリットも知ったうえで、受講を検討してくださいね。
それでは職業訓練の5つのデメリットについて見ていきましょう!
- 選考試験がある
- 週に5日間通う必要がある
- 授業のペースが早い
- 民間のスクールと比較するとサポートの質は落ちる
- 就職が約束されているわけではない
1.選考試験がある
職業訓練を受講するには、選考試験に合格する必要があります。
試験の内容は、主に筆記試験や面接。
筆記試験はSPIよりも少し簡単な問題が出題され、面接では志望動機や就職への意欲を聞かれることが多いようです。
また、選考試験に合格しても、受講開始までに数ヶ月かかることもあります。
タイミングによっては受けたい内容のコースがないなど、必ずしも希望通りにいくわけではない点はデメリットといえるでしょう。
2.週に5日間通う必要がある
職業訓練は原則として、週に5日間出席しなければいけません。
ハローワークが定める「やむを得ない理由」以外で訓練を1回でも欠席(遅刻・欠課・早退を含む)すると、その月(給付金支給単位期間)の「職業訓練受講給付金」は支給されないのです。
さらに、欠席が「やむを得ない理由」による場合でも、8割以上の出席率がなければ職業訓練受講給付金を受給できません。
やむを得ない理由による欠席の例には以下のようなものがあります。
やむを得ない理由による欠席の例 | 必要となる書類 |
本人の病気または負傷のため | 次のうちいずれか1点 ・医師または担当医療機関の証明書 ・医療機関または調剤薬局の領収書 (※調剤薬局の領収書は処方箋に基づき調剤された薬の領収書に限る) ・処方箋 |
親族の看護のため | 同上 |
再就職に資するものと判断できるセミナーなどの受講のため | ・面接事業主の証明書 ・セミナー参加証 |
列車遅延、交通事故、天災その他やむを得ない理由のため | ・遅延証明書 ・事故証明書 |
職業訓練に受講するからには、当然毎日出席したいものです。
しかし、人間誰しもたまには休みたいと思ってしまうことがあるもの。
職業訓練にはメリットも多いものの、厳しいルールがあることも覚えておきましょう。
3.授業のペースが早い
職業訓練の期間は基本的に3ヶ月から6ヶ月のコースが多いです。
その短い期間の中で、本来なら1年〜2年ほどかけて学ぶ内容を勉強します。
そのため、授業のペースは早いです。
まったくの初心者の場合には、「授業についていけない」と感じてしまう人も多くいます。
初心者は予習や復習が欠かせないでしょう。
授業のペースが早いことに不安を感じるなら、マンツーマンでサポートしてくれる民間のスクールがおすすめです。
DMM WEBCAMPの転職コース専門技術講座なら、Webデザインはもちろん最先端技術であるAIのスキルや知識も身につけられます。
さらにくわしく知りたい方は、こちらの記事をぜひ参考にしてください。
4.民間のスクールと比較するとサポートの質は落ちる
職業訓練は基本的に無料で受講できますが、教材や講師を選べるわけではありません。
実際に職業訓練でWebデザインを教える先生が、現役のWebデザイナーではない可能性もあります。
その場合には、実践スキルがしっかりと学べないかもしれません。
一方、民間のスクールは実績にこだわっています。
たとえば、
- 講師は現役のWebデザイナーのみ
- 転職成功率が高い
- 転職保証が付いている
など、サポート体制も万全であることがほとんどです。
しっかりとしたサポートを受けながらスキルを身につけたいなら、民間のスクールがおすすめですよ。
Webデザイナーを目指す人におすすめのスクールに興味がある方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
5.就職が約束されているわけではない
職業訓練に行っても必ずしも就職できるわけではありません。
厚生労働省のデータによるとIT分野の就職者数は62.7%。
デザイン分野は55.5%です。
(出典:求職者支援制度の実施状況について(平成27年度:分野別就職状況))
一方、民間スクールでの就職率のほとんどが90%以上を誇っています。
そのため「絶対に就職したい!」と思っている方は、民間のスクールが向いているかもしれません。
これらのメリットとデメリットを比較したうえで、受講を検討してみるとよいでしょう。
Webデザイナーも目指せるプログラミングスクールに興味がある方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
Webデザインの職業訓練で学べる3つのこと
職業訓練のWebデザインコースでは具体的にどのようなことが学べるのでしょうか?
ここでは、Webデザインの職業訓練で学べる3つスキルについてご紹介していきます。
1.デザイン
デザインの分野では、Webデザイナーの仕事に欠かせない2つのソフトを主に学びます。
具体的には、
- Photoshop(フォトショップ)
- Illustrator(イラストレーター)
です。
職業訓練では、これらのソフトを基礎から学習していきます。
2.コーディング
また、コーディングスキルも学びます。
コーディングとは、プログラミング言語を使ってソースコードを作成することです。
コーディングもWebデザイナーの業務の1つです。
職業訓練では主に、
- HTML
- CSS
- JavaScript
などの言語を中心に学習します。
「HTMLとCSSを独学してみたい!」という方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
非公開: HTML・CSSの独学でWebデザイナーになるためのステップ3.就職方法
職業訓練の目的は、できるだけ短い失業期間で再就職を可能にすることです。
そのため、プロのキャリアコンサルによる就職活動の授業を通して、就職方法についても学びます。
具体的には、
- 自己分析
- 面接の対策
- 就職活動の準備
などです。
未経験からWebデザイナーになるための具体的な方法について興味がある方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
【未経験】本気でWebデザイナーを目指す人がするべきこと職業訓練を受けるための4ステップ
実際に、職業訓練を受けるためには何をすればよいのでしょうか?
ここでは、職業訓練を受けるためにやるべきことを4ステップでご紹介していきます。
1.ハローワークで相談をする
まずは、ハローワークで職業相談と求職の申し込みを行います。
職業訓練を受けるためには、
- 訓練の必要がある
- 受講するために必要な能力がある
と認められる必要があります。
2.申し込み
ハローワークで相談をしたら、希望のコースに申し込みましょう。
訓練校とコースを選ぶ際には、
- 自宅からの通所時間
- 訓練期間の長さ
- 身につけたいスキルや資格
などを意識するといいですよ。
お近くのハローワークや各都道府県のホームページなどにも、職業訓練校の内容が記載されているのでぜひチェックしてみください。
また、申し込みの際に必要なものは事項で詳しくご紹介していきます。
3.面接試験
入学の申し込みが完了したら、選考試験を受けます。
コースによっては、面接と筆記の両方の試験がある場合も。
ただし、3ヶ月などの短期間のコースのほとんどは面接試験だけの場合が多いです。
面接では、
- コースへの志望動機
- 今までどのような就職活動を行ってきたか?
- コースで学んだことをどうやって今後のキャリアに活かしていきたいか?
などの内容が問われます。
コースの内容を事前にしっかりと頭に入れておくことで、説得力のある回答ができるはずですよ。
面接での緊張を乗り越える方法について興味がある方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
4.受講開始
選考試験に合格したらいよいよ受講開始です!
受講が開始するまでに、合格したコースを管轄するハローワークで入学手続きを行い「就職支援計画」の交付を受けます。
就職支援計画は今後の就職活動にも関係する大切な書類です。
受講が開始される前にしっかりと読んでおきましょう。
Webデザイン以外の職業訓練のコースも知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
ハローワーク職業訓練コース一覧!無料でも学べるおすすめ講座15選!職業訓練の申し込みに必要なもの
それでは最後に、職業訓練の申し込みに必要な4つのものをご紹介していきます。
申し込みを行う前にしっかりと準備しておきましょう!
- 受講申込書
- 雇用保険受給者資格証
- 申込にあたっての質問用紙
- 証明写真
1.受講申込書
受講申込書は、ハローワークで相談をした際に受け取れる書類です。
必要事項を記入したうえで、募集期間内にハローワークに提出しましょう。
訓練実施機関に持参または、郵送でも提出できます。
2.雇用保険受給者資格証
「雇用保険受給者資格証」は公共職業訓練が受けられるかどうかの判別に必ず必要な書類です。
雇用保険受給者資格証は、
- 応募者に職業訓練を受ける資格があるか
- 応募者の失業手当の所定給付日数はどれだけ残っているか
これら2点の確認を行うために用いられます。
もしも応募時点で持っていない場合には、ハローワークの職員に相談しておきましょう。
3.申込にあたっての質問用紙
質問用紙は、ハローワークから渡される書類です。
- 志望動機
- 訓練後の希望就職先
- 就職への意欲
など、面接で聞かれるような質問が記載されています。
手書きで書く用紙となっているため、できるだけ丁寧に書きましょう。
字がそれほどきれいでなくても、文字の大きさを統一するだけでも印象が変わります。
質問の事前練習にもなりますので、しっかりと準備しておきましょう。
4.証明写真
証明写真も必要です。
サイズはタテ40mm×ヨコ30mmのものを用意しましょう。
また、3ヶ月以内に撮影したものが適切です。
証明写真1つで人の印象は変わります。
できるだけ印象のよい写真を用意しておきましょう。
まとめ:まずはハローワークで相談してみよう
今回は、Webデザインの職業訓練の内容などについて詳しくお伝えしていきました。
職業訓練は給付金を受けながら、専門知識やスキル習得を目指せる素晴らしい制度です。
職業訓練を受講し技術を身につければ、よりよい転職を目指してキャリアアップしていけます。
また、未経験から受講する方も多いため、一緒に学習できる仲間も見つけられるでしょう。
まずは近くのハローワークで相談してみて、自分に合うコースがあるなら積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
Webデザイナーに有利な資格について興味がある方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
Webデザイナーに有利な資格13選!持つメリットや勉強方法も紹介