リカレント教育とは?リスキリングとの違いや導入メリット・活用事例を紹介!
世界中の企業がDX推進に前のめりとなっている昨今、よく使われる用語として「リカレント教育」というものがあります。また似た用語として「リスキリング」というものもあり、どう違うのか疑問に思う方は少なくないはずです。
今回の記事では「リカレント教育」と「リスキリング」の違いをわかりやすく解説します。
またリカレント教育のメリット・デメリットやリカレントの具体例、導入の手順や注意したいポイントもまとめているため、DXに関する知見をさらに深めることができるでしょう。
リカレント教育とは?
リカレント教育とは主に企業が従業員に対し「長期的な学び直しの機会を与える」ことを指します。
具体的には従業員を長期休暇などの形でいったん職場から離れさせ、何らかの教育機関で学習してもらったり、ビジネススクールや大学に入学して本格的に学び直すということ。そして特定のタイミングでまた復帰するといった具合です。
一度仕事から離れて長期的に別のスキルを身につける過程で、新たな知見や気付きを得ることでスキルアップを図れるため、結果として社内全体のレベルの底上げが期待できます。
それだけでなく企業に依存しない各々の汎用的なスキルも磨けるので、「人生100年時代」を生きていくための知的財産を養うことがメリットです。
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リスキリングとは?
リスキリング(Re-Skilling)とは「スキルの学び直し」のことを指します。
わかりやすく言うと「現代の目まぐるしい技術の進化やトレンドの移り変わりに対応していくために、現状の実務で使われている知見や技術を新たに磨き直すこと」です。
この取り組みは海外では2016年頃から進められていますが、日本国内では2021年頃から政府の発表によって推進され、徐々に認知度が広がってきています。
リカレント教育とリスキリングの違いは?
リカレント教育とリスキリングはどちらも「社員によりモダンな知見やスキルを身につけてもらう」という目的は共通です。
リカレント教育とリスキリングのもっとも大きな違いは、一般的に「仕事から離れるか否か」です。
両者の違いを一覧にすると、以下のようになります。
目的 | 期間 | 実施責任 | |
リカレント教育 | 人生100年時代への対策 | 長期間 | 個人が主体 |
リスキリング | 技術革新・DX化への対策 | 短期間 | 企業および行政が主体 |
リカレント教育はいったん企業を離れ大学や教育機関で学習後、企業に戻るやり方。かたやリスキリングは「企業が業務の一貫として」従業員に学び直しの機会を与えるやり方です。
リスキリングは企業主体で従業員に教育させ、リカレント教育は個人主体で長期的に人生100年時代に向けて学び直すという違いもあります。
職場を離れられるリカレント教育のほうが、学習に集中できるといった点ではメリットと言えます。
リカレント教育での学び直しが注目を浴びている理由
リカレント教育での学び直しが、今になって注目を浴びていることには、以下のような理由があります。
- 政府がリカレント教育の重要性を示しているから
- 人生100年時代に向けた対策とされているから
- 現代の技術の進化や変化が目まぐるしいから
それぞれ、順を追って見ていきましょう。
政府がリカレント教育の重要性を示しているから
リカレント教育が注目される理由のひとつとして、政府が重要性を示していることが挙げられます。
具体的には2017年ころ、元総理大臣の安倍晋三氏が「人生100年時代構想会議」の中で、リカレント教育を推進させる旨の発言を行いました。
このころちょうど「人生100年時代」という言葉も世間に普及しつつある中、2016年に総務省統計局が実施した「社会人の学習時間の調査」にて1日平均6分と極めて少ないことがわかっていた背景もあり、リカレント教育の重要性を認識し始める企業が増えたというわけです。
人生100年時代に向けた対策とされているから
「人生100年時代に向けた対策」と釘打たれていることも、リカレント教育が注目を浴びる理由です。
そもそもなぜ「人生100年時代」がこれほどまでに注目されているかと言うと、以下の理由があります。
- 終身雇用が終焉を迎えているから
- 実際に日本人の平均寿命が伸びているから
企業が潰れない限り定年まで務められる日本特有の保証制度は、いまや当たり前ではなくなりました。逆に転職が当たり前になったことで、国民各々が「会社に依存しないスキル」の重要性を知り、リカレント教育に着目しています。
また平均寿命についても2020年時点では男性80歳、女性87歳のところ、2050年には平均寿命が男性は84歳、女性は90歳にまで伸びると内閣府が予測しています。
すなわち定年退職の年齢のさらなる引き上げや年金制度の終了など、さまざまなリスクが懸念されます。そのため多くの方が「会社に頼らず稼げるスキル」を欲しているのです。
現代の技術の進化や変化が目まぐるしいから
近年のIT技術は技術の進化や変化が目まぐるしく、古い知識やスキルだけでは対応できないことが増えてきています。
そのため一度学んだことを定期的に振り返ったり、新しい知識やスキルを学習し直す必要が生じているのです。
現代の職場ではひとつのスキルの深い知見もそうですが、柔軟性や適応力が求められることも多いため、企業・従業員ともにリカレント教育を通じた新しいアプローチを学ぶことが求められています。
企業でリカレント教育を行うメリット
企業でリカレント教育を行うことには、さまざまなメリットがあります。ここではとくに代表的な以下の3つをご紹介します。
- キャリアパスの選択肢が広がる
- 社内全体の生産再向上が期待できる
- 社員に対する支援が手厚いことをアピールできる
キャリアパスの選択肢が広がる
企業でのリカレント教育のメリット1つ目は、キャリアパスの選択肢が広がることです。
従業員が新しいスキルを学んだり学び直しを行うことは、自らの知的財産を身につけたり、強化するということです。そうなればキャリアアップ転職などもできるようになったりと、各々の自由度は高まり選択肢も広がります。
企業としてはそれで離れていく従業員がいればデメリットですが、大半の従業員は「こういった学びの機会を与えてくれた企業に感謝」といった気持ちから、企業に残ってくれます。たとえ高度なスキルを身に着けても、転職は大きな環境の変化が伴うことは変わらないため相応の勇気がないとできないからです。
社内全体の生産再向上が期待できる
社内全体の生産性向上が期待できることも、リカレント教育の大きなメリットです。ひとりひとりのスキルの向上は、全体の生産性向上に大きく寄与するものだからです。
具体的には新しいアイデアや技術を取り入れることで、業務プロセスの改善や革新が促進されます。またリカレント教育によってモダンな技術に触れることができれば、従業員のモチベーションや働きがいにも影響を与えます。
結果として離職率低下や労働力・生産性の向上につながりやすくなるのがメリットです。
社員に対する支援が手厚いことをアピールできる
こちらは主にリカレント教育を受ける従業員ではなく、実施する企業側のメリットになります。
たとえば企業の教育に関する取り組みとして
- 従業員に対しリカレント教育を行っています
- このような教育を経て、このような成果につながりました
のようなことをアピールすれば「この企業は従業員に対する支援が手厚い企業なんだな」という印象を与えられるからです。
現代の就職希望者は、その企業でしか使えないスキルよりも、いろんな企業で使える汎用的なスキルを求めているもの。企業が自己成長を支援し、積極的に教育プログラムを提供していることは、魅力的な要素となるでしょう。
社内でリカレント教育を行うデメリット
社内でリカレント教育を行うことには、いくつかのデメリットもあります。ここでは、代表的な以下の2つをご紹介します。
- 実施までに手間がかかる
- リカレント教育を受けた社員が転職する可能性は否めない
実施までに手間がかかる
実施までに手間がかかることが、社内でリカレント教育を行うデメリットです。
具体的にはリカレント教育の目的や教育内容の考案、教育期間中の人員やタスクの調整など、考えることは多岐にわたります。
とくに「教育を受けない従業員」に影響を与えないよう教育プログラムを実施するためには、計画性と配慮が必須です。
あらかじめ教育の目的や重要性、具体的な期間を説明のうえスケジュール調整などを行い、理解を得ておくことが大切です。
リカレント教育を受けた社員が転職する可能性は否めない
リカレント教育によって高度なスキルと実績を身に付けた従業員は、それを活かしてキャリアアップ転職に踏み切ってしまう可能性もあります。
これはリカレント教育の「企業よりも個人主体で、企業を離れ長期にわたって行われる」という性質ならではのデメリットといえます。
対策としては「リカレント教育で身に付けたスキルを実務に反映させ、何らかの成果につながれば昇給」など、インセンティブを設けることなどが挙げられます。
ただ前述でも述べていますが、リカレント教育を受けた従業員は「こういった学びの機会を与えてくれた企業に感謝」といった気持ちゆえ、企業に残ってくれる方が多いです。高度なスキルを身に着けても、転職は大きな環境の変化が伴うため、相応の勇気が必要だからです。
リカレント教育で活用できる助成金や支援制度は?
従業員のリカレント教育にかかるお金は、国や自治体から一部負担してもらえます。そもそもリカレント教育は、政府が推奨しているものだからです。
リカレント教育で活用できる助成金、および支援制度は主に以下が挙げられます。
- 教育訓練給付金
- 一般教育訓練給付金
- 専門実践教育訓練給付金
- 特定一般教育訓練給付金
- 教育訓練支援給付金
上記それぞれ支給の条件や対象者、金額が異なります。従業員の保険加入状況や期間、リカレント教育の内容に合わせて、適切な給付金を選ぶようにしてください。
リカレント教育を実施した企業の事例
リカレント教育を実施し、見事成功を収めた企業はたくさんあります。この章ではその成功例として、以下の3つの企業をご紹介します。
- パーソルキャリア株式会社
- サイボウズ株式会社
- サントリーホールディングス株式会社
パーソルキャリア株式会社
転職エージェント「doda」でおなじみの、転職支援や求人紹介、アウトソーシングを行っている企業です。パーソルキャリア株式会社ではリカレント教育として、進学・留学の支援を行っています。
学習の日程に合わせて勤務日時や場所を自由に選べるようにし、学習を最優先させることで、徹底的にスキルを磨き上げることが可能になります。また期間についても最長で2年という余裕のある休業を設けていたりと、スキルアップに集中できる環境としては申し分ありません。
人の大きな決断を支援する業種ならではの、従業員の未来が考えられた取り組みです。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社はリカレント教育として、育児休暇ならぬ「育自分休暇」という名称の独自制度を設けています。どのようなものかというと「35歳以下の社員は最長6年の間、サイボウズへの復帰が確約された状態で退社できる」というものです。
主な目的は「いつでもサイボウズ社に復帰できる」という安心感をもった状態で、異業種への転職や海外留学など新しいチャレンジをしてもらうこと。そのチャレンジによって自分自身の知見や視野を広げ、人間的にも成長して復帰してもらうことが狙いです。
「今の環境を失う」という不安を抱えることなく、前向きにさまざまな分野へのチャレンジができる、誰もが一度は考えたことのある夢のような取り組みです。
サントリーホールディングス株式会社
サントリーホールディングス株式会社ではリカレント教育として「Suntory Self-Development Program(以下SDP)」という独自の自己啓発プログラムに取り組んでいます。
SDPは
- ライブ形式で学べる「応募型研修」
- 時間と場所を問わず学べる「Eラーニング」
- じっくり丁寧に取り組める「取り組める」
の3つに分類されています。
中でもグループ会社を含めた受講生が一斉に参加する応募型研修では、グループ会社間のコミュニケーションを通じた情報交換の観点でも有益です。
リカレント教育を行うまでの手順
社内でリカレント教育を導入するまでの手順は、大きく以下の5つとなります。
- 手順①:現状の問題・達成したい目的を明確化
- 手順②:リカレント教育の内容を固める
- 手順③:実施にあたっての調整を行う
- 手順④:リカレント教育の実施
- 手順⑤:リカレント教育で得たスキルを実務でアウトプット
それぞれ、順を追ってご紹介します。
手順①:現状の問題・達成したい目的を明確化
リカレント教育を行う際には、まず「教育対象者」や「組織の現状」を正確に把握し、教育を通じて解決したい課題や達成したい目的を明確にします。
教育の方向性や必要な内容を明確化し、より効果のある教育プログラムを構築することは、リカレント教育の失敗を防ぐために重要といえます。これを明確にしないことには方向性がぶれたり、従業員によって目的にブレが生じてしまうこともあるからです。
現状分析を行うときは、組織や個人のニーズや課題を十分に理解することが重要であり、定量的なデータだけでなく質的な視点も含めて総合的に考えます。
手順②:リカレント教育の内容を固める
次に教育の内容を具体化し、ルールや実施方法、期間、場合によってはカリキュラム内容を検討します。
教育内容を固めるときは周りの従業員との協力も活用し、対象者のレベルやニーズに合わせて内容を調整のうえ、教育の効果を最大化する仕組みを作ることが大切です。
手順③:実施にあたっての調整を行う
リカレント教育を実施するにあたっては教育の場所や期間、人員などのリソースや業務上のタスクのスケジュールも適切に調整する必要があります。
とくに難点となるのが「リカレント教育を受けない方の仕事量の増加」です。長期間にわたって自己学習を行うリカレント教育では、いなくなった従業員の分のタスクを代わりに誰かが処理しなければなりません。
残された従業員の理解を得ながら仕事量を調整しつつ、予算なども考慮しながら計画的に進めることが重要です。
手順④:リカレント教育の実施
準備が整ったら考案した内容に沿って、実際にリカレント教育を実施してもらいます。
リカレント教育中も参加者とのコミュニケーションを大切にしつつ、理解を深めるためのディスカッションや演習などを行います。また教育の進行状況を適宜評価したり、必要に応じてリカレント教育の内容を微調整することも重要です。
さらに教育の成果を確認するためのアウトプットやフィードバックを収集し、教育の効果を評価できるとなおいいでしょう。
手順⑤:リカレント教育で得たスキルを実務でアウトプット
最後にリカレント教育を受けた参加者が、得た知識やスキルを実務で活かすためのアウトプットを行います。リカレント教育は実務にアウトプットしてはじめて意味をもつものであり、インプットして終わりなら意味がありません。
アウトプットとはわかりやすい例でいうと「リカレント教育で学んだプログラミング技術で業務をひとつ自動化する」「最新ツールを実務に導入し、作業効率をよりスムーズにする」といった具合です。
リカレント教育を実施する際に注意したいポイント
リカレント教育を実施する際は、注意しておかなければならないポイントもあります。ここでは、以下の3つをご紹介します。
- 満足に学習できるだけの環境を構築する
- 社員にあらかじめ目的やゴールなどの情報を明確に提示する
- 社員が意欲的に学ぶ仕組みを考える
満足に学習できるだけの環境を構築する
リカレント教育を成功させるためには、リカレント教育を受ける方が満足に学べる環境を整えることが重要です。「満足に学べる環境」とは場所業務タスクの調整だけでなく、周りからの理解の獲得なども挙げられます。
またリカレント教育を受ける従業員に休みを与えるのであれば、仕事量の調整や代理の従業員への依頼も必要になってくるでしょう。またリカレント教育の費用を負担することも、従業員に金銭的不安を与えず学習に集中してもらうための取り組みとして有効です。
社員にあらかじめ目的やゴールなどの情報を明確に提示する
リカレント教育を実施する際には、社員に対してあらかじめ、明確な目的やゴールを提示することが重要になります。社員がなぜその教育を受ける必要があるのか、どのような成果が期待されるのかを理解していないと、従業員それぞれで学習内容の捉え方が変わってしまうためです。
目的やゴールが見えていれば、従業員どうしが目標を達成するための支援やフィードバックを適切に行えるようになり、それに伴ってモチベーションや学習効果が高まるため、リカレント教育の成果を最大化できます。
またカリキュラムを考案する企業側としても、目的から逆算したカリキュラム作成を行わないと方向性がぶれるリスクがあるので、必ず目的は明確にしましょう。
社員が意欲的に学ぶ仕組みを考える
「従業員が意欲的に学ぶ仕組み」も考慮しておかなければなりません。
たとえば「ただ会社に貢献するためにリカレント教育を行ってください」という方針では、従業員モチベーションの維持は極めて難しくなるでしょう。そのためリカレント教育を行う従業員に何らかのメリットを提示することは必須です。
リカレント教育で成功している企業は「リカレント教育によって、従業員にどんなベネフィットがあるのか」を提示しています。
他にも「リカレント教育後、実務へのアウトプットとその成果しだいで賞与への反映や昇給につなげる」といったインセンティブを設けるのもいいでしょう。
リカレント教育は慣れていない分野を学ぶ機会のため、モチベーション維持が難しいです。対策は入念に考えておきましょう。
DMM WEBCAMPには「リカレント教育」対象講座がたくさん
DMM WEBCAMPは経済産業省より「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」に認定され、さまざまな講座が教育訓練給付金の対象となっています。
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- AIコース
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このように、あらゆるジャンルのリカレント教育をたいへんおトクに実施できるので「自社でのリカレント教育実施ができず外注を考えている」という方はぜひDMM WEBCAMPをご検討ください。
まとめ
リカレント教育とは企業が従業員に対し「長期的な学び直しの機会」を与えること。大幅なスキルアップや成長を遂げて復帰してもらい、実務でより大きく活躍してもらうことが狙いです。
終身雇用も終焉を迎え、従業員の個々のスキルが重視されている昨今において重要な取り組みであることは間違いありません。政府が「人生100年時代」への対策として大々的に提唱したこともあり、いまやさまざまな企業が独自の形式ややり方でリカレント教育の導入に踏み切っています。
それに伴いリカレント教育のカリキュラムを提供する企業も増えているのが現状。DMM WEBCAMPも、経済産業省より補助金事業の認定を受けたITスクールのひとつです。
ぜひリカレント教育を実施して従業員のスキルアップを図り、円滑な事業推進を実現してください。