契約社員もボーナスはもらえる?同一労働同一賃金の法制化でどう変わるのか徹底解説

公開日: 2020.06.15
更新日: 2024.01.11
契約社員もボーナスはもらえる?同一労働同一賃金の法制化でどう変わるのか徹底解説

「契約社員の給与は正社員と違う?」
「契約社員はボーナスがもらえないの?」

契約社員という働き方に興味がある人は、そんな疑問を感じていないでしょうか。

特にボーナスの有無は、仕事のモチベーションにも大きく影響するもの。

今回は、

  • 契約社員のボーナス事情は同一労働同一賃金で変わる
  • 契約社員と正社員・派遣社員の今後の違い
  • 契約社員として働くメリット・デメリット
  • 契約社員のボーナス額を上げる方法

についてお伝えします。

この記事を読めば、契約社員のボーナス事情について知ることができますよ。

契約社員の働き方や給与面に興味のある方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

契約社員はボーナスをもらえるの?

ボーナスをもらう男性

契約社員はボーナスをもらえるのかどうかが、まず気になるところ。

結論からお伝えすると、契約社員の約6割がこれまでボーナスを全くもらえない、あるいはもらえても少額の支給でした。(参照:東京都産業労働局「平成28年 契約社員に関する実態調査」

労働基準法では、ボーナスについての具体的な定めはありません。
つまり、ボーナスの支給は会社の義務ではないのです。

しかし、今後の契約社員のボーナス事情は変化していきます。

まずはこれまでどうだったのか、詳しくみていきましょう。

契約社員のボーナスは雇用契約次第だった

これまで、契約社員のボーナスを含む給与形態や福利厚生などの条件は、すべて雇用契約次第でした。

雇用契約の内容に「ボーナス(賞与)の支給」と記載があれば支給され、なければ支給されません。

ボーナスは給与とは別の特別な給与であり、会社の利益を社員に還元する意味合いで支給されるもの。

そのため、会社の方針や業績によって、支給される場合とされない場合があるのです。

ボーナスの支給を希望する場合は、契約内容に記載がある求人を探す必要がありました。

契約社員と正社員のボーナスの差は平均80万円以上

契約社員と正社員では、ボーナスの金額に平均80万円以上の差が出ています。

令和元年の厚生労働省の調査では、正社員のボーナスの平均金額は年間約108万円です。

一方、契約社員や派遣社員など、正社員以外のボーナスの平均金額は年間約22万円

年間で見ると、雇用形態によってボーナスの支給金額に大きな差が生まれています。

(参照:厚生労働省 「令和元年賃金構造基本統計調査」

契約社員にボーナスを支払わなくても法律上問題なかった

労働基準法では、ボーナス(賞与)についての規定はありません。

つまり、契約社員のボーナスを支払わなくても、会社として法律上の問題はなかったのです。

ボーナスを支給するかどうかは、会社の裁量次第でした。

しかし、今後は、この仕組みが変わることになります


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契約社員のボーナス事情は同一労働同一賃金で変わる【2020年4月開始】

契約社員のボーナス事情

これまで、契約社員のボーナスについては法律上の規定がなく、支給しなくても問題ありませんでした。

しかし、2020年4月から導入された「同一労働同一賃金」により、正社員と非正規社員間の不合理な待遇差の解消を目指す取り組みが始まったのです。(参照:厚生労働省

「同一労働同一賃金」とは、正社員と同じ仕事内容のパート社員、契約社員、派遣社員には、正社員と同じ賃金を与えるということ。

これによって、契約社員にも正社員と同等のボーナスを支給する動きが実現しました。

「同一労働同一賃金」の実現と内容について詳しくご説明します。

非正規雇用社員にもボーナスの支払いを命じる判決

2018年に正社員と非正規社員の間の「不合理な待遇の相違の禁止」を定めたパートタイム・有期雇用労働法が国会で成立し、2020年4月1日(中小企業は2020年4月)から施行されています。

この流れを受け、2019年2月15日に大阪高裁では、非正規雇用社員にもボーナスの支払いを命じるよう判決を下しました。(参照:ITmedia

正社員と非正規雇用社員の間に待遇差があるのは違法であると判断されたのです。

給与だけでなく福利厚生も同様の扱いに

今後は、正社員と非正規社員の間で仕事内容が同じ場合、同じ賃金を与えなければいけなくなります。

さらに「同一労働同一賃金」では賃金に加えて、福利厚生も同等の待遇にすることを定めました。

「同一労働同一賃金」を目指す取り組みのひとつ、パートタイム・有期雇用労働法の第8条では次のように規定しています。

不合理な待遇の禁止(第8条) 義 務

事業主は、基本給、賞与その他のそれぞれの待遇(※)について、通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者の①職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)、②職務の内容及び配置の変更の範囲、③その他の事情のうち、当該待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮して、通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者の間に不合理と認められる相違を設けてはならない。
※基本給、賞与、通勤手当、皆勤手当、福利厚生、教育訓練など
均衡:違いを意識して処遇(待遇)する

(参照:パートタイム・有期雇用労働法のポイント

上記のように「基本給、賞与、通勤手当、皆勤手当、福利厚生、教育訓練など」の待遇について相違を設けることを禁止しました。

契約社員は、正社員と同等の賃金とあらゆる待遇を受けることができるようになります。


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契約社員と正社員の違いは今後どうなる?

契約社員と正社員の違いは今後どうなる?

雇用形態による待遇の相違がなくなり、契約社員と正社員の違いは今後どうなるのでしょうか。

契約社員と正社員について、改めて確認していきましょう。

ここからは、今後の契約社員と正社員の違いについて、3点お伝えします。

  1. そもそもの違いは雇用期間に期限があるかどうか
  2. 給与や待遇は今後同等になる
  3. 正社員化を求められる可能性も

具体的にみていきましょう。

そもそもの違いは雇用期間に期限があるかどうか

契約した雇用期間に期限があるかどうかが、正社員と契約社員の違いになります。

そもそも契約社員は、雇用期間に期限がある雇用形態

3ヶ月、半年、1年、2年などの期間を定めて雇用契約を結びます。

契約終了後はそのまま退職するか、双方の合意があれば契約延長の場合も。

一方で、正社員はいつまで働くという雇用期間の期限はありません

給与や待遇は今後同等になる

「同一労働同一賃金」の取り組みにより、給与や待遇は今後同等になります

具体的には、基本給、賞与、通勤手当、皆勤手当、福利厚生、教育訓練などのあらゆる待遇が正社員と同様に受けられるように。

今後は、契約社員も正社員と同等のボーナスを支給されるのです。

契約社員という働き方は、これまで待遇の低さがネックでした。

待遇の改善で、今後は正社員と同様にキャリアの選択肢になりやすくなったといえるでしょう。

契約社員の正社員登用がすすむ可能性も

正社員と契約社員の待遇が同等になることで、これからは契約社員の正社員登用がすすむ可能性があります。

雇用主にとって契約社員は、正社員ほど責任や勤務地などを要求しないかわりに、正社員ほど賃金や待遇にコストをかけず雇用できる人材でした。

しかし正社員と同等の待遇を与えるとなると、正社員と同等の働きを要求しなければ割りに合わなくなります。

そのため、契約社員を正社員化し、これまでより責任のある仕事や転勤のある職に配置を変える可能性があるのです。

正社員になりたい契約社員の人にとっては、正社員登用へのチャンスが増えるでしょう。

契約社員と派遣社員の違いは今後どうなる?

契約社員と派遣社員の違いは今後どうなる?

契約社員と正社員の違いは、雇用期限の有無のみとなることをお伝えしました。

しかし、主な雇用形態には契約社員と正社員とのほかにも、派遣社員があります。

契約社員と派遣社員という働き方で迷う方も多いかもしれません。

次は、契約社員と派遣社員の違いは今後どうなるのかについてご説明します。

  1. そもそもの違いは勤め先を紹介してもらうかどうか
  2. 雇用先である派遣会社が「同一労働同一賃金」を実施する

そもそもの違いは勤め先を紹介してもらうかどうか

勤め先を紹介してもらうかどうかが、契約社員と派遣社員の違いになります。

派遣社員とは、派遣会社と雇用契約を結び、紹介してもらったほかの会社に勤める雇用形態

派遣会社との雇用契約には期限がありませんが、紹介された会社に勤める期間は3ヶ月〜1年など期限があります。

一方、契約社員は勤める会社と直接契約を結び、雇用期限付きで働く雇用形態です。

雇用の契約期間が満了すれば、自分で一から就職活動する必要があります。

契約社員は雇用先も勤め先も同じ会社であるのに対し、派遣社員は雇用先と勤め先が違うという点が異なります。

雇用先である派遣会社が「同一労働同一賃金」を実施する

派遣社員の場合は、勤め先の会社ではなく、雇用先である派遣会社が「同一労働同一賃金」を実施します。

給与や福利厚生などの待遇は、雇用先である派遣会社の正社員と同じ水準になるのです。

そのため、勤め先が変わっても、雇用先である派遣会社がそのままなら待遇が変わることはありません。

一方、契約社員の場合は、勤め先である会社と直接雇用関係を結んでいるため、勤め先の会社の正社員と同等の待遇になります。

契約社員として働くメリット

契約社員として働くメリット

契約社員は雇用期間に期限がある働き方で、今後は正社員と同等の待遇を受けられるようになります。

ここからは、正社員や派遣社員ではなく、あえて契約社員として働くメリットを考えてみましょう。

契約社員のよさを知り、自分にはどんな働き方があっているかの参考にしてください。

契約社員として働くメリットを2つご紹介します。

  1. ワークライフバランスを重視できる
  2. 正社員ほどの制約がないが同等の待遇が見込める
  3. 正社員化を目指すことが可能

さっそくみていきましょう。

ワークライフバランスを重視できる

契約社員のメリットは、ワークライフバランスを重視できる点にあります。

正社員だと、仕事量が多くて残業したり、職場の都合で転勤のために引っ越したりなど、仕事の比重が大きくなりがち。

契約社員は

  • 残業がほとんどない
  • 転勤がない

などの環境で働くことが可能です。

プライベートを仕事に左右されることが少なく、自分の時間を充実させられます

自分の生活や時間を大切にしたいという方には理想的な働き方といえるでしょう。

ただし、今後は正社員と同等の働きを求められる可能性もあるので注意が必要です。

正社員ほどの制約がないが同等の待遇が見込める

待遇の改善によって今後得られる大きなメリットは、正社員ほどの制約がない一方で同等の待遇が見込めること。

契約社員は、

  • 裁量権が少ない
  • 責任が少ない
  • 転勤の必要がない

など、正社員ほどの重い仕事は任されず、制約も少ないです。

しかし、「同一労働同一賃金」によって正社員と同等の待遇が与えられるようになります。

正社員ほど仕事に縛られることがなく、正社員と同等の待遇を与えられるという点は、魅力的なメリットといえるでしょう。

正社員を目指すことも可能

契約社員は正社員を目指すことができる働き方です。

いきなり正社員採用されるのは難しい場合でも、契約社員から正社員になるというステップを踏んで目指すこともできます。

今後は正社員と同等の待遇になることで、さらに正社員登用の可能性が高まるでしょう。

派遣社員では得られないメリットといえます。

契約社員として働くデメリット

契約社員として働くデメリット

契約社員の待遇は改善される方向にあるものの、デメリットはあります。

メリットだけでなく、デメリットを理解した上で、契約社員という働き方を捉えましょう。

今回は、契約社員として働くデメリットを2つお伝えします。

  1. 有期雇用のため正社員より安定しない
  2. 昇給や昇進は見込めない

有期雇用のため正社員より安定しない

契約社員は、雇用期間に期限があり正社員より安定しないといえます。

東京都産業労働局の調査によると、契約社員のうち約2割は契約更新されません(参照:東京都産業労働局「平成28年 契約社員に関する実態調査」

契約更新しない場合、契約社員は次の就職先を見つける必要があります。

就職活動に不安のある人は、一度就職できても次の就職先のことを心配しながら働くことになりかねません。

契約社員は不景気になると契約を切られやすいリスクもあり、雇用状態が安定しないというデメリットになります。

昇給や昇進は見込めない

契約社員の場合、昇給や昇進ができる見込みは少ないです。

東京都産業労働局の調査では、会社が契約社員を採用する理由として以下のように発表しました。

  • 1位:専門的・技術的な業務に対応するため
  • 2位:正社員としての適性をみるため
  • 3位:人件費の削減のため

(参照:東京都産業労働局 「平成28年 契約社員に関する実態調査」

3位に「人件費の削減のため」がランクインしており、雇用側の会社としては正社員のように給与を上げることやキャリアアップをすることには消極的といえます。

しかし、「正社員としての適性をみるため」という理由も多いことから、正社員登用後に昇給や昇進をすることは十分可能でしょう。

昇進や昇給を望むなら、正社員になることが最短の道です。

契約社員のボーナス額を上げる方法

契約社員のボーナス額を上げる方法

昇給は見込めない契約社員ですが、ボーナスの金額を上げる方法はあります

給与がどれくらいもらえるかは、仕事へのモチベーションを左右する大きな要因ですよね。

自分のためにも、ボーナスアップのための行動を起こしましょう。

契約社員がボーナス額を上げる方法は3つ

  1. ボーナスアップの交渉をする
  2. 正社員雇用を目指す
  3. 成果がわかりやすい職種に転職する

それぞれ実践する価値のある方法です。

詳しくみていきましょう。

ボーナスアップの交渉をする

ひとつめは、上司や人事などにボーナスアップの交渉をする方法です。

日頃からしっかりと仕事をこなし、求められる成果かそれ以上を出していれば、ボーナスの金額を増やしてもらえる可能性があります。

交渉する場合は、希望する金額に見合う働きをしていることが重要です。

契約社員でも3年以上の長期にわたって雇用され重要なポストについていたり、仕事に対して積極的で成果を上げるために励む姿勢を評価されれば、ボーナスが上がるかもしれません。

「これだけの働きをしているのだからボーナスアップをしてもいい」と思われるよう普段から成果を出し、準備を整えたうえで交渉にのぞみましょう。

正社員雇用を目指す

正社員雇用を目指すことも、ボーナスアップのひとつの方法です。

正社員になると、昇進や昇格によってボーナスアップできるようになります。

契約社員を採用している会社では、正社員登用をおこなっている会社も少なくありません。

正社員登用の条件は、会社によるため確認が必要ですが、基本的には仕事での成果が評価されます。

仕事に励んでしっかりと成果を出しつつ、正社員登用を希望していることを伝えましょう

成果がわかりやすい職種に転職する

さいごは、成果がわかりやすい職種に転職する方法

成果がわかりやすい職種とは、営業や専門職など、個人の成果が数字や成果物で目に見える職のこと。

一般的な正社員の場合、仕事での成果が見えにくく、評価の妥当性がわかりづらい会社が多いです。

しかし営業職や専門職なら、契約社員であっても成果が明確で、ボーナスなどの報酬に反映されやすい傾向にあります。

新規顧客の営業職なら成約件数、エンジニアなどの専門職なら開発したシステムなど、個人の成果の分だけボーナスが上がるでしょう。

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まとめ:ワークライフバランスを大切にしながら働くなら専門職がおすすめ

今回は、契約社員のボーナスについてお伝えしました。

これからは、同一労働同一賃金によって契約社員の待遇が改善され、ボーナスも支給されるようになるでしょう。

しかし一方で、契約社員の正社員化が求められる可能性もあります。

契約社員の良さはワークワイフバランスを大切にできる点でしたが、正社員化するとそのメリットがなくなることも考えられるでしょう。

ワークライフバランスを大切にしながら働き続けたいという方には、スキルを身につけて専門職に転職する道がおすすめです。

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