個人事業主がアルバイトをする3つのメリットと注意点を解説!

公開日: 2020.09.07
更新日: 2024.01.03
個人事業主がアルバイトをする3つのメリットとは?所得の種類や確定申告の手順も解説

個人事業主として働き始めて間もないころは、収入が安定せずに不安な気持ちを抱えることもあるでしょう。

個人事業主は、仕事を得られなければ収入もありません。

毎月安定した仕事を得られるまで、ある程度まとまった収入がほしいですよね。

そこで収入を得る選択肢として「アルバイト」を考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、

「個人事業主がアルバイトをするときの注意点って?」
「個人事業主がアルバイトをすると確定申告はどうなるの?」

という疑問が湧き上がってくるかもしれません。

そこで今回は、

  • 個人事業主がアルバイトをするメリット
  • 個人事業主がアルバイトをするときの注意点
  • 個人事業主でアルバイト収入がある場合の確定申告

などについてご紹介します。

個人事業主とアルバイトを上手く組み合わせれば、安定した収入を得ながら自由度の高い働き方ができます。

「個人事業主だけどアルバイトを検討している!」という方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

個人事業主がアルバイトをしても問題ないまず気になる点は「個人事業主でもアルバイトをしてもいいの?」ということですよね。

個人事業主がアルバイトをしても問題ない

結論から言うと、個人事業主でもアルバイトはできます

個人事業主はどこにも所属せずに個人の事業を営む働き方ですが、アルバイトは雇用される働き方です。

これらは並行しておこなうことができ、それぞれに支障が出ない範囲であれば特に問題はありません

個人事業主になるには」について詳しく解説している記事は以下をチェックしてください。

個人事業主になるには?申請の方法や用意しておくべきもの5選も紹介個人事業主になるには?申請の方法や用意しておくべきもの5選も紹介

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個人事業主がアルバイトをする3つのメリットとは?

個人事業主がアルバイトをする3つのメリットとは?

個人事業主でもアルバイトをすることは可能でした。

では、個人事業主がアルバイトをすることには、実際にどんなメリットがあるのでしょうか。

メリットがわかると、アルバイトをするかどうかの判断基準の材料になりますよね。

ここでは、3つのメリットをご紹介します。

  1. 収入が安定する
  2. 気分転換ができる
  3. 一定時間以上働けば各種社会保険が利用できることがある

詳しく見ていきましょう。

1.収入が安定する

個人事業主がアルバイトを始めれば、収入が安定します。

アルバイトは基本的に時給制など、働いたぶんだけ給料が出る形態ですよね。

たとえば、時給1,200円のアルバイトを1日8時間×週4日やれば、月に153,600円の安定収入になります。

どれくらい働けばどれくらいの収入を得られるかが明確なので、収入を安定させたいなら有効な方法です。

アルバイトをしながら個人の事業を営めば、安定した収入を得ながらやりたいことに取り組めるでしょう。

個人事業主は給与を経費にできるのかを知りたい方は以下の記事もチェックしてみてくださいね。

個人事業主は給与を経費にできる?知っておきたい3つのポイントを解説個人事業主は給与を経費にできる?知っておきたい3つのポイントを解説

2.気分転換ができる

個人事業を営んでいると、物事が上手くいかずに行き詰まることもあるでしょう。

その点、アルバイトは良い気分転換になります

たとえば、個人事業主は個人で仕事をしているので、孤独感を感じる人も多いです。
そこで接客業のアルバイトをすると、人と話す機会が増えて気分転換ができますよ。

アルバイトは与えられた仕事をこなせばいいので、仕事内容に慣れれば楽しむ余裕ができます

アルバイトで気分転換ができれば、事業にも前向きに取り組めるようになるでしょう。

3.一定時間以上働けば各種社会保険が利用できることもある

実は、アルバイトであっても条件を満たせば各種社会保険を利用できます

アルバイトが受けられる社会保険は、次の5つです。

  • 労災保険
  • 雇用保険
  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険

このうち「労災保険」は雇用形態に関わらず、全員加入が義務付けられています。

「労災保険」とは、従業員が仕事中や通勤中にケガや病気、傷害や死亡した場合に給付をおこなう保険です。

5つの保険のうち、「労災保険」はアルバイトを始めると自動的に加入できますよ。

「雇用保険」は、従業員が失業・育児・介護・職業訓練をする場合に給付をおこなう保険です。

「雇用保険」は次の2つの条件に該当した場合は加入する義務が生じます。

  • 1週の所定労働時間が20時間以上である
  • 31日以上の雇用見込みがある

労働時間と雇用期間に規定がある保険です。

一般的に「失業保険」と呼ばれるものは、「雇用保険」の失業手当の給付をさしています。

そして、原則としてセットで加入する「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」は、次の条件への該当が必要です。

  • 強制適用事業所会社が法人、あるいは従業員が5人以上の個人事業所であること。
  • 1週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同じ会社で同様の業務に従事している正社員の4分の3であること
  • 常時雇用していること(雇用期間の定めがなく継続的な雇用が見込まれる)

また特定適用事業所の場合は、アルバイトが正社員の1週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数の4分の3未満であっても、次の条件をすべて満たすことで加入義務が生じます。

  • 1週の所定労働時間が20時間以上である
  • 1年以上の雇用期間が見込まれる
  • 月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)
  • 学生でない

「健康保険」は従業員や家族がケガ・病気・出産・死亡時に給付をおこなう保険。
「介護保険」は従業員が要支援・要介護状態時に、「厚生年金保険」は従業員が高齢・傷害・死亡時に給付する保険です。

「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」の保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担します。

以上のように、あらゆる条件によって社会保険に加入できるかどうかが変わるのです。

社会保険に加入できれば、給付を受けられたり、保険料の負担額を減らせたりします。

個人事業主がアルバイトをするメリットとして、条件次第で社会保険を利用できる点は魅力的ですね。

>> 個人事業主が負担する3つの社会保険料

個人事業主が負担する3つの社会保険料を解説!社会保険料を抑えるポイントも紹介個人事業主が負担する3つの社会保険料を解説!社会保険料を抑えるポイントも紹介

個人事業主がアルバイトをする際に注意したい3つのポイント

個人事業主がアルバイトをする際に注意したい3つのポイント

個人事業主がアルバイトをするメリットをお伝えしました。
安定した収入や保険を得られると、安心して働きやすくなりますね。

しかし、個人事業主がアルバイトをする際には注意したいポイントもあります。

アルバイトは雇用される働き方なので、個人事業主の仕事と上手くバランスを取りながら調整しなければなりません。

ご紹介するポイントは次の3つです。

  1. 拘束時間が増える
  2. 自分で労働料・体調を管理する
  3. 確定申告の仕方が変わる

さっそく見ていきましょう。

1.拘束時間が増える

アルバイトは時給制や日給制のものが多いですよね。
時間に対して給料が支払われるので、拘束時間が増えることになります。

個人事業主なら、1日、1週間、1ヶ月にどれくらい仕事をするのかを自分で決められますよね。

やり方次第では、短い時間で成果を出すこともできるかもしれません。

しかし、アルバイトは時間に対して給料が支払われることが多いです。
アルバイトを始めれば、拘束される時間が増えてしまいます。

「自由な時間を増やしたい」と考えて個人事業を営んでいる場合は、アルバイトをすることで理想の働き方ではなくなってしまうので注意しましょう。

>> 個人事業主が従業員を雇う流れ

個人事業主が従業員を雇う流れを7つのステップにわけて解説!税額控除や退職金も紹介個人事業主が従業員を雇う流れを7つのステップにわけて解説!税額控除や退職金も紹介

2.自分で労働量・体調を管理する

個人事業主がアルバイトを始めるときは、自分で労働量・体調をしっかり管理する必要があります。

事業とアルバイト、それぞれにどれくらいの時間や労力を費やすのか、体調に無理のないように管理しなければなりません。

個人事業主は働く時間を自分で決められるぶん、働きすぎてしまうケースもあります。

事業とアルバイトの仕事量のバランスや体調を考え、注意して管理しましょう。

3.確定申告の仕方が変わる

個人事業主がアルバイトをする場合、確定申告の仕方が変わることに注意が必要です。

個人事業だけの場合、確定申告は事業の所得のみを申告すれば良いことになります。

しかし、アルバイトは給与を受け取る雇用形態なので、必要な申告が増えるのです。

個人事業主が受けられる4つの給付金があることをご存知ですか?

「給付金」というと対象者が狭く限られていたり申請が複雑そうに感じたりして、自分には関係無いと思っていませんか?

この記事では、個人事業主が受けられる給付の内容や対象者を紹介しています。収入が安定せず、アルバイトを始めようと思っている方が対象となる給付金があるかもしれません。

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確定申告の前に知っておきたい「所得」について

確定申告の前に知っておきたい「所得」について

さて、個人事業主がアルバイトをする場合、確定申告の仕方が変わることをお伝えしました。

確定申告の仕方を詳しくご紹介する前に、まずは「所得」について確認しておきましょう。

個人事業主がアルバイトをするなら「所得」について一歩踏み込んだ知識が必要です。

さっそく見ていきましょう。

1.所得には種類がある

所得には種類があることをご存知でしょうか。

所得を細かく区分すると、次の10種類があります。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

さらに、このうち確定申告で青色申告ができるのは、事業所得と不動産所得だけです。

個人事業主がアルバイトをする場合の所得は、個人事業が事業所得、アルバイトが給与所得になります。

2.所得の種類によって計算方法が変わる

所得の種類は10種類あることをお伝えしましたが、それぞれ計算方法が異なります

  • 利子所得:収入金額=利子所得
  • 配当所得:収入金額ー元本取得に要した負債の利子=配当所得
  • 不動産所得:収入金額ー必要経費=不動産所得
  • 事業所得:収入金額ー必要経費=事業所得
  • 給与所得:収入金額ー給与所得控除=給与所得
  • 退職所得:(収入金額ー退職所得控除)×2分の1=退職所得
  • 山林所得:総収入金額ー必要経費ー特別控除額=山林所得
  • 譲渡所得:総収入金額ー(取得費+譲渡費用)ー特別控除額=譲渡所得
  • 一時所得:総収入金額ー収入を得るために支出した額ー特別控除額=一時所得
  • 雑所得:(公的年金等の収入金額ー公的年金等控除額)+(公的年金等以外の総収入金額ー必要経費)=雑所得

個人事業を営む人のなかには、おおまかに「所得=収入ー経費」と覚えて人もいるでしょう。

しかし細かく見ると、所得の種類によって計算方法がかなり違うことがわかりますね。

利子所得のように収入がそのまま所得になるものもあれば、雑所得のように細かい計算が必要なものも。

どの所得に該当するのかを見極めて、所得を計算することが大切です。

3.自分の所得の種類を知る

最後は、自分の所得がどの種類に該当するのかを知りましょう。

個人事業主の場合、所得の種類は事業所得か雑所得になります。

事業所得と認められるためには、次の条件を満たしていることが必要です。

  • 反復継続性がある
  • 営利性・有償性がある
  • 自己の計算と危険において独立して遂行する業務である
  • 事業として客観的に成立している

また、アルバイトは雇用されて給与を受け取る形態なので、給与所得ですね。

個人事業主がアルバイトをおこなう場合、事業所得と給与所得の2種類の所得について、確定申告をする必要があります。

個人事業主でアルバイト収入がある場合の確定申告の手順

個人事業主でアルバイト収入がある場合の確定申告の手順

「所得」についてお伝えしました。
これで、確定申告もスムーズに進められるでしょう。

では、個人事業主でアルバイト収入がある場合の確定申告の手順をご説明します。

具体的な手順は次の4つです。

  1. アルバイト先から源泉徴収票をもらう
  2. 確定申告書に事業所得と給与所得を分けて記入する
  3. 源泉徴収税額も忘れずに記入する
  4. 確定申告書の提出と納付をする

それでは順番にご説明していきます。

1.アルバイト先から源泉徴収票をもらう

まずはアルバイト先から源泉徴収票をもらいましょう

源泉徴収票は、アルバイトでの給与所得の数値を正確に申告するために必要です。

源泉徴収票のデータはアルバイト先が各市区町村に申告しているため、税務署は給与所得の申告が正しいかをチェックしています。

誤った数値を記入することのないように、源泉徴収票を受け取って正確に申告しましょう。

2.確定申告書に事業所得と給与所得を分けて記入する

次に、確定申告書に「事業所得」と「給与所得」を分けて記入しましょう。

確定申告書では「収入金額等」「所得金額」と分類されており、所得の種類ごとに記入する欄があります。

「事業所得」と「給与所得」は分けて記入する

それぞれ次のように分けて記入することが必要です。

  • 事業所得:所得税青色申告決算書(白色申告の場合は収支内訳書)を参照し、収入金額等と所得金額の事業(営業等㋐)に記入
  • 給与所得:給与所得の源泉徴収票のうち、給与収入の「支払金額」と所得金額の「給与所得控除の金額」を参照し、収入金額等と所得金額の給与㋕に記入

記入するときは、数値の間違いや計算ミスの内容に注意しましょう。

3.源泉徴収税額も忘れずに記入する

アルバイト収入は基本的に源泉徴収税額を天引きした金額が給料として入金されています。

そのため、「税金の計算」で「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税の額」欄の記入が必要です。

源泉徴収税額も忘れずに記入する

源泉徴収税額は所得税の前払いであり、納付税額から控除できるので、忘れずに記入しましょう。

4.確定申告書の提出と納付をする

記入ができたら、申告・納付期限までに確定申告書を提出し、所得税を納付します。

申告・納付期限は毎年3月15日です。

もし期限を過ぎてしまうと、次のデメリットがあるので注意しましょう。

  • 提出期限に遅れた場合:青色申告特別控除の最大額65万円が受けられない
  • 納付期限より遅れた場合:延滞税などのペナルティーが課せられる

確定申告は期限通りに申告・納付することが大切です。

個人事業主がアルバイトを始めた場合、確定申告の仕方が変わって戸惑うこともあるでしょう。

期限に遅れることのないよう、余裕を持って準備を進められるといいですね。

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まとめ:個人事業主がアルバイトをする場合は、それぞれの所得を把握し余裕をもって確定申告しよう。

今回は、個人事業主がアルバイトをする際の注意点や確定申告についてご紹介しました。

個人事業主にとって、アルバイトは安定した収入を得られる選択肢の1つです。

しかし、注意点をきちんと理解しておかなければ、せっかく個人事業主になったのに自由がなくなってしまったり、ハードな働き方になってしまいます。

それぞれの労働時間や所得を把握して、バランスよく働くことが大切です。
確定申告は余裕を持って進めるようにしましょう。

アルバイトを上手に取り入れて、よりよい働き方に近づけてくださいね。

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